米パンテラキャピタル、Web3業界の報酬水準について調査結果を発表
Web3業界の報酬調査
米暗号資産(仮想通貨)ファンド大手Pantera Capital(以下、パンテラ)は26日、Web3業界の報酬水準について調査結果を公表した。
透明性を高めることで、新たな才能をエコシステムに呼び込み、イノベーションの促進を図るというのが、その動機だという。
第2回目となる今回の調査には、77カ国から1,600人以上が回答。そのうちの99%は仮想通貨コミュニティのプロフェッショナルで、エンジニアリング、マーケティング、事業開発、財務会計、法務、マネジメントなど、その業務は多岐にわたる。
セクター別にみると、DeFiが40.7%とCeFiが26.1%で大半を占め、インフラ15.2%、ゲーム9%と続く。企業成長のステージ別では、シリーズC以降が37.7%、シリーズAが33.2%、シリーズBが14.9%、シードが11.8%だった。
回答者を地域で分けると、北米が35.1%、南米29.7%、ヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)が23.5%、アジア太平洋が11.6%となった。
給与水準と勤務体制
回答者の97%は、給与を米ドルなどの法定通貨で受け取り、仮想通貨で支払いを受けたのは3%にとどまった。仮想通貨で給与支払いを受けた回答者のうち、半数以上(56%)がステーブルコインUSDCを選択。25%がUSDT、13%がビットコインを選択した。
グローバル人材の労務管理サービスを提供する米Deel社によると、トルコやアルゼンチンなど自国通貨が不安定な国では、「年間2桁のインフレ率に対するヘッジ」として仮想通貨で給与受け取りを選択する傾向が強いという。一方、通貨が安定している国では、主要仮想通貨の価格下落に伴い、仮想通貨への関心が薄れていると指摘した。
勤務体制に関しては、Web2業界の人材がコロナ化を経てオフィスワークへの回帰を促しているのと対照的に、Web3業界では87.8%がリモートワーク(遠隔)、10.6%がハイブリッド型で仕事をしていることが明らかになった。
一方、技術系給与データサイト「Levels.fyi」に掲載された、主にWeb2企業からの2万9,000件の求人(2022年)のうち、リモートワークは28%にすぎなかったという。
報酬の分析
パンテラが調査した世界各国のエンジニアの570人の基本給中央値(2023年)は約1,788万円(12万ドル)で、平均値は約1,907万円(12.8万ドル)だった。
中央値を地域別に見ると、インフレ(物価高)が顕著な北米圏が最も高く(約2,374万円≒16万6,010ドル)、EMEA(約1,523万円≒10万2,226ドル)、南米(約1,349万円≒9万559ドル)、アジア・太平洋(約1,178万円≒7万5,000ドル)の順となった。
パンテラは、米国企業の役員報酬については、企業成長のステージごとに次のように報告した。
- シード:約2,194万円≒14万7,363ドル
- シリーズA:約3,061万円≒20万5,625ドル
- シリーズB:約4,420万円≒29万6,876ドル
- シリーズC+:約4,993万円≒33万5,400ドル
インセンティブとボーナス
調査結果によると、回答者の5人にひとりが仮想通貨によるインセンティブ受け取ったと回答。その内容は、非幹部職の中央値が約1,325万円(8万9,000ドル)となった一方で、役員報酬と思しき幹部職の報酬額では、その14倍以上の約1億9,355万円(130万ドル)という結果となった。
ボーナスに関しては、シードレベルの企業では15%、シリーズAでは32%、シリーズB以降では79%がボーナスを受け取る資格を有すると回答した。米国のボーナスの中央値は、約223万円(1万5,000ドル)だった。
パンテラはキャピタルは、希少価値の高いweb3の上級エンジニアの給与水準は現時点ではweb2エンジニアを上回ると結論付け、今回のような報酬に関するデータの提供により、Web3業界が雇用と報酬に関してより良い決定を行うことで、エコシステムの大きな成功につながると信じていると結んだ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します