香港取引所、国際取引でスマートコントラクト導入へ

決済促進プラットフォーム「Synapse」をローンチ

香港取引所清算有限公司(HKEX)は4日、スマートコントラクトを活用した決済促進プラットフォーム「Synapse(シナプス)」を9日に立ち上げると発表した。

シナプスは、スマートコントラクトを導入して取引後のワークフローを標準化・合理化し、決済リスクを軽減するものだ。業務効率と透明性も向上するとされる。

HKEXは、シナプスについて、中国本土の市場と香港の市場を接続する、独自の相互市場アクセスプログラム「Stock Connect(ストックコネクト)」の機能強化の一環であるとも説明した。

取引量増加にも対応

シナプスは、ストックコネクトにおける取引量の増加に対応するものでもある。HKEXは次のように述べた。

HKEXのシナプスは、取引上の手続きを削減しすべての市場参加者に対して、決済プロセスに対するリアルタイムの可視性や見通しを提供する。

資産運用会社、ブローカー、カストディアン、清算事業者は、リアルタイムのデータ同期とスケーラビリティ向上の恩恵を受け、ノースバウンド・ストックコネクトで増加している取引量に対応できるようになる。

2023年上半期のノースバウンド・ストックコネクトの1日平均売上高は総額約2.3兆円(1,093億人民元)で、前年比5%増、2020年の水準から50%増加した。

なお、ノースバウンドとは、ストックコネクトの中でも、香港証券取引所から上海証券取引所や深セン証券取引所に上場する株式を取引できるシステムのことだ。

ノースバウンド・ストックコネクトに参加している機関投資家は、シナプスにより、様々なタイムゾーンにまたがる取引後業務をより適切に管理することもできるようになる。

スマートコントラクトとは

あらかじめプログラムされた条件に応じて、自動的に契約を執行する仕組みを指す。スマートコントラクトの機能が実装されているブロックチェーンで代表的なのはイーサリアム。契約を締結する際には、仲介者や契約書作成などの事務作業が必要になる場合が多いため、自動的に契約を執行できるようにすることで、効率性向上やコスト削減などが期待できる。

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HKEXグループの新興ビジネス等責任者であるグレンダ・ソー氏は次のようにコメントした。

中国本土の株式市場へ国際的に参加することについて、次の成長段階を支えていく「ストックコネクト」の大きな機能強化である「シナプス」を立ち上げられることができて嬉しい。

このテクノロジーを活用したプラットフォームは、取引後の効率を向上させるだけでなく、より優れた強力なエコシステムの構築を進め、市場と投資家の成長をサポートする。

香港取引所清算有限公司(HKEX)とは、香港に位置する大手取引所・清算会社であり、香港証券取引所、香港先物取引所、ロンドン金属取引所などを運営している。

投資商品トークン化

香港では、香港証券先物委員会(SFC)が投資商品のトークン化をめぐって動きを見せているところだ。

SFCが認可した投資商品のトークン化に関するガイダンスをまもなく発表するとしている。トークン化できる商品としては、ミューチュアルファンド、仕組み商品、投資連動型保険スキームなど様々なものが可能だが、SFCによる要件をすべて満たす必要があるとした。

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