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政府・3メガバンク・規制当局の関係者が一堂に|MoneyX 2026レポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

想定を超える盛況に

次世代金融カンファレンス「MoneyX 2026」が2月27日、東京・ザ プリンス パークタワー東京で開催された。

金融庁・Fintech協会が共同主催する「Japan Fintech Week」の認定イベントとして位置づけられ、官民双方からの注目を集めた。

WebX実行委員会が主催し、JPYC・Progmat・SBIホールディングス・CoinPostが企画・運営を担当する本イベントには、片山さつき財務大臣をはじめ、3メガバンクのデジタル戦略責任者、米英シンガポールの規制当局、グローバル金融機関の幹部らが集結。円建てステーブルコインの本格始動を受け、その制度設計・技術実装・国際展開をめぐる議論が一日を通じて展開された。

金融業界関係者をはじめ約3,000名が事前登録し、多くの方がご来場。注目セッションでは会場が満席となるなど、業界からの高い関心を集めた。

Co-Producer(協力)として株式会社テレビ東京が参画し、当日は会場内に専用のインタビューブースを設置。登壇者への個別取材が行われた。北尾吉孝SBIホールディングス会長兼社長をはじめとする各セッションの登壇者が次々とカメラの前に立ち、ステーブルコインや日本の金融デジタル化の行方について率直な見解を語った。

業界トップが一堂に会したこの機会を捉え、テレビ東京のクルーが終日精力的に取材を続ける姿も、会場の熱気を象徴するひとコマとなった。

テレビ東京取材時の映像はテレ東BIZ公式サイトで視聴可能。また、テレ東BIZ公式YouTubeチャンネルでも配信されている。

基調講演

  • 片山さつき(財務大臣 / 内閣府特命担当大臣(金融))

ビデオメッセージで登壇した片山大臣は、昨年10月に国内初の円建てステーブルコイン発行が開始され、わずか約3カ月で累計発行額が10億円を突破したことを紹介し、「日本は暗号資産やステーブルコインに関する制度整備を世界に先駆けて進めてきた」と強調した。

ステーブルコインの意義については、送金の高速化・低コスト化にとどまらないと指摘。貿易金融では貨物の輸送・通関情報とブロックチェーン上の代金決済を連動させる業務プロセス全体の効率化、証券決済では国債・社債・株式の権利移転をブロックチェーンで記録しステーブルコインによる決済と連動させる実証実験への支援決定を報告した。

今夏を目途に金融庁内にデジタル金融資産を専管する新局を設置し、体制の抜本的拡充を図る方針も明らかにした。

関連:片山財務大臣、ステーブルコインの「社会実装」推進を表明|MoneyX 2026

SC・トークン化預金・CBDCが共鳴する社会経済システムの新OS創造

  • 平子惠生(ディーカレットDCP 取締役 副社長執行役員 COO)
  • 鳩貝淳一郎(財務省 デジタル通貨企画官)
  • 齊藤達哉(Progmat 代表取締役 Founder and CEO)
  • 岡部典孝(JPYC 代表取締役)
  • 副島豊(SBI金融経済研究所 研究主幹)※モデレーター

「Connected Money Paradigm」セッションでは、ステーブルコイン・トークン化預金・CBDCの3種のデジタルマネーがどう共存し社会経済の基盤を刷新するかが議論された。

JPYCの岡部氏は、累計発行残高が約13〜14億円に達し月次平均約69%のペースで成長していると報告。同日発表したシリーズBファーストクローズで累計調達額が17.8億円に達したことも明かし、同社のビジョンを「人間だけでなくAIエージェントやロボットも使えるお金」と表現した。

ディーカレットDCPの平子氏は、企業の入出金管理を完全オンチェーン化し送金から会計仕訳の消し込みまで全自動で完結させる構想を示した。

財務省の鳩貝氏はCBDCについて、民間事業者がカバーしない「決済空白地帯」の受け皿として機能すると述べ、「人は支払いという行為によって社会と繋がっている」と決済アクセスの確保を公的機関の責務と位置づけた。Progmatの齊藤氏は、異なるネットワーク間の相互運用性確保に向け、インターネットのTCP/IPのようなトラストレスなプロトコルの確立が不可欠だと議論を締めくくった。

関連:ステーブルコイン・CBDC・トークン化預金は共存できるか 官民が「通貨の新OS」を議論|MoneyX 2026

クロスボーダー決済の未来

  • Yam Ki Chan(Circle Internet Group Vice President, Asia Pacific)
  • SB Seker(Binance Head of APAC)
  • 小柳建彦(日本経済新聞社 編集委員)※モデレーター

アジアにおける貿易インボイスの約75%が米ドル建てという実態の中、Chan氏は地域経済の成熟に伴いドル一極集中からローカル通貨建て仮想通貨へ需要が移行すると予測した。

日本市場については、改正資金決済法による世界的に先駆けた法的枠組みの整備を高く評価し、円建てステーブルコインの社会実装がアジア全体の金融ハブとしての地位強化につながる可能性に言及した。

Seker氏はバイナンスの健全性の根拠として、先週記録した過去最高水準の資金流入、世界20カ国以上でのライセンス取得、年間7万件に及ぶ各国当局からの要請に応えてきた実績を挙げた。

また、法定通貨とデジタル資産のシームレスな交換(オンランプ・オフランプ)の整備が経済規模の小さい国々で金融包摂を加速させる鍵になるとの議論も展開された。Chan氏はステーブルコインを「単なる決済手段ではなく、より優れたお金の形」と位置づけた。

関連:国際送金のドル依存脱却へ、サークルとバイナンス幹部がMoneyXで語る通貨の未来|MoneyX

世界の規制当局が、いま「お金のルール」を書き換える

  • Alan Lim(シンガポール金融管理局〈MAS〉 金融インフラ・AI局 局長)
  • Colin Payne(英国金融行動監視機構〈FCA〉 イノベーション部門 ヘッド)
  • Carole House(元米国ホワイトハウス顧問・Penumbra Strategies CEO)
  • Prof. Chia Tek Yew(NUS アジアデジタルファイナンス研究所 客員教授)※モデレーター

MASのLim氏は、シンガポールが数年前から定めてきた公平性・倫理・説明責任・透明性という原則は今日の文脈でも依然として有効だと述べ、大手金融機関が参加するAIリスク管理コンソーシアム「MindForge」の取り組みを紹介した。

FCAのPayne氏は英国の仮想通貨資産認可ゲートウェイが今年8月に正式開始されることを説明。「FTXを参入させなかった規制当局として、英国は仮想通貨分野で一切の妥協をしていない」とした上で、欧州のMiCAや米国の独自フレームワークとは異なる「バランスの取れた第三の枠組み」として英国を位置づけた。

同氏はセッション翌日、英国初のスターリングステーブルコインがFCA独自のデジタルサンドボックスで稼働したことも明らかにした。

元ホワイトハウス顧問のHouse氏は量子コンピュータのリスクに警鐘を鳴らした。仮想通貨が依存する暗号技術の大部分が量子コンピュータの暗号解読能力に対して極めて脆弱であり、インフラ刷新には5〜10年単位の時間が必要になると述べ、早急な棚卸しと近代化計画の策定を推奨した。

98の規制当局が参加するGFTNについてPayne氏は「昨日も17の規制当局を集めてAIエージェント型決済に関する会議を開催した。単なるペーパーワークではなく、実際のデジタルサンドボックスで実験を行い相互運用性を検証している」と述べた。

関連:米英星の当局・専門家、いま「お金のルール」を書き換える AI・量子脅威などを議論|MoneyX 2026

動き出した日本円ステーブルコインによる新たなデジタル円経済圏

  • 岡部典孝(JPYC株式会社 代表取締役)
  • Yang Hailey(Kaia Business Development Manager)
  • 栗原俊幸(LINE NEXT Inc. Web3 Business 日本事業統括本部長)
  • 各務貴仁(株式会社CoinPost 代表取締役社長)※モデレーター

LINE NEXTの栗原氏は、近日リリース予定のWeb3ウォレット「Unify」にJPYCを採用したと報告した。LINEをインストールするだけで手軽にステーブルコインが利用できる世界を目指し、ミッションクリアでJPYCを獲得できるリワード設計やレンディング体験まで提供する構想を示した。

JPYCの岡部氏は、KaiaチェーンでのJPYC発行を検討していることを明かし、「アジア全域での日本円ステーブルコイン普及にはKaiaが近道」と説明した。HashPortウォレット上でPontaポイントとJPYCの交換やau PAYギフトへの変換がすでに稼働していることも紹介し、「ポイント経済圏とJPYCは非常に相性がいい」と語った。

Kaiaのヤン氏はインドネシアや中東を含むアジア各国でPoC実証実験を展開していると報告。RWA領域ではインドネシアの船舶をトークン化しシンガポールで30億円超規模で完売した実績を明かした。

岡部氏はJPYCの累計発行額を「100億・1000億・1兆・10兆」と10倍ずつ伸ばすマイルストーンを掲げ、5年後には「数十兆円規模のJPYCが発行され、そのうち99%はAIエージェントが処理している世界」も十分あり得ると展望を示した。

関連:JPYC×LINE連携で日本円ステーブルコインを日常決済へ|MoneyX2026

国際的なデジタルマネーの「現実」と「棲み分けの設計図」

  • 茅花充(SWIFT 東アジア統括責任者)
  • 杉村和俊(日本銀行 決済機構局企画役)
  • 鳩貝淳一郎(財務省 デジタル通貨企画官)
  • 齊藤達哉(株式会社Progmat 代表取締役 Founder and CEO)※モデレーター

SWIFTの茅花氏は、現在進行している「フラグメンテーション(分断化)」への危機感を示した。デジタルマネー領域で独自のインフラやルールが乱立するこの状況が進行すれば2030年までに世界経済に数兆ドル規模の損失が生じるとの試算を提示。現在30行以上のグローバル銀行とデジタルマネーの相互運用性確立に向けた取り組みを進めており、共同レジャーの開発とともにロードマップを数カ月以内に公表予定だとした。

日銀の杉村氏は、7つの広域エリアから40以上の金融機関が参加するBIS主導の実証実験「プロジェクト・アゴラ」について、民間銀行預金と中央銀行預金を共通の分散台帳プラットフォームに載せてアトミック決済を目指すものだと説明した。

財務省の鳩貝氏はリテールCBDCの役割として、QRコード決済など既存手段では取り残される層へのセーフティネット機能を挙げた。公的セクターと民間の役割分担をめぐる議論では「公的セクターの役割はあくまで踊り手(民間)が踊りやすい舞台を整えること」と明確にし、民間の領域には踏み込まない姿勢を示した。

関連:SWIFT・日銀・財務省が語るデジタルマネーの公民役割分担 「舞台を作るのが公的セクターの仕事」|MoneyX

北尾会長兼社長 基調講演:「圧倒的なスピード」でオンチェーン金融を世界展開

  • 北尾吉孝(SBIホールディングス株式会社 代表取締役 会長 兼 社長)

北尾氏はステーブルコインとオンチェーン金融を核としたグループの包括的な事業戦略を明らかにした。米国では2025年7月にステーブルコイン規制の連邦法ジーニアス法が成立しており、「実際に施行されれば規制・法的リスクが激減し、米SECとCFTCの管轄範囲も明確になる」と評価。

日本では暗号資産口座数が、株のNISA(少額投資非課税制度)の半数もの規模となる1,400万口座に達し預託金残高も5兆円を突破したとし、「すでに資産クラスとしての地位を十分確立している」と指摘した。

技術面では、レイヤー2技術の普及を「大きな進化」と評価し、AIエージェントによるトランザクションの爆発的増加がオンチェーン化を加速すると見通した。

具体的な事業計画として、スターテイルグループとのジョイントベンチャーで共同開発する円建てステーブルコイン「JPYSC」を早ければ2026年度第1四半期にローンチする方針を表明。

SBI VCトレードがCircle社とUSDCのジョイントベンチャーを設立しレンディングサービスも展開する計画も示した。

関連:SBI北尾会長兼社長、円建てステーブルコイン「JPYSC」を解説 米国の規制整備や日本の税制改革にも強い期待|MoneyX 2026

オンチェーン時代のB2Bモデル

  • 平子惠生(株式会社ディーカレットDCP 取締役 副社長執行役員 COO)
  • 小野沢宏晋(GMOあおぞらネット銀行株式会社 執行役員)
  • 岩田悟(株式会社ミロク情報サービス 営業本部 DX事業戦略室 参与)
  • 関口慶太(日本経済新聞社・NIKKEI Financial副編集長)※モデレーター

日本の企業決済は約1000兆円規模に上るが、そのほとんどがいまだデジタル化されていないとの問題提起から始まったセッションでは、トークン化預金プラットフォーム「DCJPY」を活用したB2B決済の変革が議論された。

GMOあおぞらネット銀行の小野沢氏は「トークンの動きと資金の流れを連動させることで、業務プロセスをプログラムとして埋め込み自動化できる」と述べ、「商流と金流の融合」の世界観を示した。

ディーカレットDCPの平子氏はシステム開発会社と個人事業主間の発注・請求・支払い業務をオンチェーン化したPoCを昨年12月に完了し、「2026年内の商用化を目指す」と表明。

ミロク情報サービスの岩田氏は地方中小企業でのDX推進の課題を指摘。平子氏は「地方中小企業では請求書の発行・受領・支払いを担う人材の高齢化が深刻で、後継者不足による事業継続リスクが生じている」と現場の実情を紹介し、トークン化預金とAIを組み合わせた業務全自動化の可能性を強調。モデレーターの関口氏は「3年後にはトークン化預金が当たり前に使われている世界になっているだろう」と締めくくった。

関連:商流と金流の融合でB2B決済を変革、トークン化預金と地方DXの可能性を議論|MoneyX 2026

ステーブルコインが切り拓くリテール決済の未来

  • 佐藤伸介(SLASH VISION CEO)
  • 安達源(株式会社ネットスターズ 取締役CFO)
  • 吉田世博(株式会社HashPort 代表取締役)
  • 小田玄紀(一般社団法人日本暗号資産等取引業協会 代表理事会長)※モデレーター

SLASH VISIONの佐藤氏はUSDCを即時チャージして全国のVisa加盟店で利用できるクリプトカード「Slash card」を紹介。加盟店側は通常のVisaネットワークで日本円を受け取るため、ステーブルコインを意識する必要が一切なく「社会実装に一番近い」と語った。

ネットスターズの安達氏は羽田空港でのQRコード決済PoCを報告し、「想像の遥か上の数字が毎日決済についている」と手応えを示した。

HashPortの吉田氏はノンカストディアルウォレットが116万ダウンロードを達成し、店頭QRコード決済の取引手数料をゼロ・ガス代もHashPort負担とすることで「Web2に近い決済体験」を実現していると述べた。

決済手数料の議論では、ステーブルコインで浮いたコストを消費者に還元できる店舗が競争優位を持つ構造が生まれつつあるとの見方が示された。JVCEAの小田氏は「3年以内に非常に大きなマーケットになっている」との見通しを示してセッションを締めくくった。

関連:ステーブルコインで買い物する時代へ、3社が語るリテール実装の現在地|MoneyX2026

プログラマブル・マネーの衝撃

  • 岡部典孝(JPYC株式会社 代表取締役)
  • 平野洋一郎(アステリア株式会社 代表取締役社長)
  • 中山五輪男(アステリア株式会社 CXO/ステーブルコイン事業部 事業部長)※モデレーター

アステリアの平野氏は、1万社以上が導入するデータ連携ソフト「ASTERIA Warp」を介して100以上の既存業務システムとJPYCを接続する「JPYC Gateway」の4月提供開始を発表。自社勘定でJPYC10億円を保有する方針も明らかにした。

「人がお金を管理していてはスピードがボトルネックになる」と指摘し、AIエージェント時代の企業決済インフラとして位置づけ。ウォレット管理・承認権限・既存システム連携・監査対応など7つのハードルを解決し、「特別な知識がなくても使える環境を整える」と述べた。

岡部氏は「AIエージェントが24時間365日休まず決済を行う時代には、人間の経済圏よりはるかに大きい規模の経済がステーブルコインで動く」との見方を示し、すでに日本でもAIエージェントがJPYCを使って仕事の発注を自律的に行っている事例があると紹介した。

平野氏は「月次決済や60日後払いといった従来の仕組みでは経済は速くならない。ステーブルコインこそ経済速度を上げ、生産性を高める根幹だ」と語った。

関連:アステリアが企業向けJPYC決済基盤を4月提供開始、自社で10億円保有へ|MoneyX

オンチェーン金融の世界的フロンティア:日米ギャップと日本市場の次の商機

  • 池田肇(野村ホールディングス 執行役員 デジタル・カンパニー長兼ウェルス・マネジメント部門マーケティング担当)
  • 板屋篤(大和証券株式会社 常務取締役)
  • 湯浅光則(フランクリン・テンプルトン・ジャパン ディレクター/デジタル&フィンテック)
  • 田中勇毅(ブラックロック グローバル・マーケッツ部長)
  • 齊藤達哉(株式会社Progmat 代表取締役 Founder and CEO)※モデレーター

ブラックロックの田中氏はトークン化MMF「BUIDL」の展開をフェーズで整理した。現在はステーブルコインの運用先としての利回り提供から、DeFiでの担保活用、さらに伝統的金融との本格融合へと進化しつつあると説明し、「決済の器となるお金がなければ、この市場は成立しない。ステーブルコインの重要性はそこにある」と強調した。

フランクリン・テンプルトンの湯浅氏は、トークン化MMFをパブリックチェーン上で完全内製化した唯一の運用会社として透明性を確保し、米国ではアプリを通じた個人売買も進んでいると報告した。

野村ホールディングスの池田氏は、国内不動産セキュリティトークンが5年間で発行額2800億円規模に育ちながらも「当初うたわれたメリット」が十分実現されていなかった点を率直に認め、「そのパズルの欠けていたピースがステーブルコインだ」と述べた。

大和証券の板屋氏は複数のステーブルコインやトークン化証券を組み合わせたDVP実証実験を継続していると報告し、業界横断での連携の重要性が改めて示された。

関連:トークン化証券とステーブルコインが切り拓く次世代金融とは?野村・大和・ブラックロック・フランクリン|MoneyX2026

3メガバンクが語る金融の未来

  • 磯和啓雄(三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務・グループCDIO)
  • 上ノ山信宏(みずほフィナンシャルグループ 執行役常務・グループCDO)
  • 野呂崇享(三菱UFJフィナンシャル・グループ 執行役員 法人デジタル戦略部長兼デジタル戦略統括部部長)
  • 三浦知宏(金融庁 監督局銀行第一課長)※モデレーター

三井住友FGの磯和氏は2024年10月に4年半分の予算として500億円をAI投資に充てたことを明かし、現在は200人規模の部門横断チームで「AI-Ready」なデータ基盤の構築に着手中だと述べた。

みずほFGの上ノ山氏は、バブル世代の大量退職が約5年に迫る中「オペレーショナルモデルを本当に変えてこないと、今のビジネスすら維持できるのか」という危機感を示した。

三菱UFJFGの野呂氏はステーブルコインを「金融サービス業から金融インフラサービス業へのトランスフォーメーション」の核に位置づけ、QRコード決済の台頭を「みすみす見逃してきた大きな反省」と振り返った上で、3メガバンクがステーブルコインの規格統一に向けて金融庁とともに取り組んでいることを明らかにした

磯和氏はJPYCのトランザクションの約95%がAIエージェントによるものだと紹介し、「AIが主に使うお金がステーブルコインで、人間が主に使うものが現金という時代が来る可能性がある」と指摘した。

関連:3メガバンクが語る、AI活用とステーブルコインの展望|MoneyX2026

SCにおけるDefiエコシステムの拡大

  • Nischint Sanghavi(Visa Head of Digital Currencies, Asia Pacific)
  • Fernando Vazquez(Chainlink Labs President, Capital Markets)
  • 原田均(Alpaca 共同創業者・CTO・CPO)
  • Angelina Kwan(Stratford Finance CEO)※モデレーター

VisaのSanghaviは、USDCを活用したネットワーク内決済が今年累計約45億ドル(約7,000億円)規模に達していると報告した。日本について「主要市場の中でステーブルコインを理論から規制された現実へ最初に移行させた国の一つ」と評価し、「今この議論を東京でしていることはまさに絶好のタイミングだ」と述べた。

Chainlink LabsのVazquezは「技術的な相互運用性はすでに解決済みで、真の課題は規制上の相互運用性だ」と強調。ステーブルコインの準備金を複数法域で二重に積む必要が生じる問題を挙げ、規制標準化に向けた官民連携の必要性を訴えた。

AlpacaのCTO原田氏は「ドバイのDIFCのように、現在利用可能なテクノロジーに合わせてゼロから設計できる特区が日本にも生まれてほしい」と述べた。

各登壇者は今年の予測として、アジア太平洋における強力なローカルステーブルコインの登場(Sanghavi)、子どもへのお小遣いもステーブルコインで渡せる日常(Vazquez)、投資対象ではなく実際の決済手段としての活用の本格化(原田)をそれぞれ挙げ、ステーブルコインが「日常」に近づく年になるとの見通しで一致した。

関連:伝統的金融とDeFiの融合が加速、業界大手が語るステーブルコイン拡大の現在地|MoneyX 2026

閉会の挨拶

  • 酒井良(WebX CEO)

閉会挨拶に立ったWebX実行委員会代表理事の酒井氏は、まず協賛・パートナー各社への感謝を述べたうえで、ステーブルコイン市場の急成長を数字で振り返った。2020年2月27日時点の市場規模は約6,800億円だったが、6年後の本日時点では約70倍の46兆円へ。

「デジタル通貨に絞ったカンファレンスでどこまで来ていただけるか不安もあったが、運営一同が気持ちを入れてやり切れた」と振り返り、集まった業界関係者への感謝を改めて伝えた。

最後に酒井氏は次のイベントを予告した。WebX 2026は7月13・14日の2日間、同じザ プリンス パークタワー東京での開催を予定している。「メディアとしてのオンラインの発信と、カンファレンスとしてのオフラインの発信、この両輪でこの業界を皆さんと一緒に盛り上げていきたい」と締めくくり、MoneyX 2026の全プログラムが終了した。

「通貨の新時代」が幕を開けた一日

会場は終日、熱気に包まれた。人気セッションでは座席が埋まり切り、通路や壁際に立ったまま聴講する参加者が続出。財務大臣からメガバンクCDO、海外規制当局、グローバル金融機関のトップまでが一堂に会した登壇陣の豪華さが、その熱量をさらに高めた。

本カンファレンスが掲げた「通貨の進化と社会実装」というテーマは、一日を通じてまさに体現された。円建てステーブルコインの正式始動を受け、制度・技術・国際展開のすべての側面で「いつかの話」が「今年の計画」に変わっていることが、登壇者の具体的な数字と事業スケジュールから如実に伝わった。

通貨そのものの再設計が静かに、しかし確実に始まっている。MoneyX 2026はその現場を目撃する場となった。

業界関係者からは、早くも次回のMoneyX開催に期待する声が上がっている。

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