次世代の金融を語る
MoneyX 2026では、国内外の金融大手4社が一堂に会し、「Connected Money Paradigm」と題したパネルセッションが行われた。Progmatの齊藤達哉氏がモデレーターを務め、トークン化マネーマーケットファンド(MMF)の現状と展望、日米市場の構造的な違い、そしてステーブルコインが証券決済にもたらす変革について率直な議論が展開された。
登壇者は、野村ホールディングス執行役員でデジタル・カンパニー長兼ウェルス・マネジメント部門マーケティング担当の池田肇氏、大和証券常務取締役の板屋篤氏、フランクリン・テンプルトン・ジャパンのディレクター/デジタル&フィンテック担当の湯浅光則氏、ブラックロックのグローバル・マーケッツ部長の田中勇毅氏の4名。モデレーターはProgmat代表取締役Founder and CEOの齊藤達哉氏が務めた。
トークン化MMFの進化
ブラックロックのグローバル・マーケッツ部長・田中勇毅氏は、同社が手がけるトークン化MMF「BUIDL」の現状をフェーズで整理した。
フェーズ1はステーブルコインの運用先として利回りを提供する役割で、USDCとのスワップを通じて資産規模が拡大してきた段階だ。フェーズ2はDeFiにおける担保活用やレバレッジ取引への展開、そしてフェーズ3では既存の伝統的金融との本格的な融合、たとえばレポ取引やレンディングへの活用を見据えていると述べた。
田中氏は「決済の器となるお金がなければ、この市場は成立しない。ステーブルコインの重要性はそこにある」と強調した。
フランクリン・テンプルトン・ジャパンの湯浅光則氏は、同社のトークン化MMFについて、運用会社として唯一、トークン化技術とレコードキーピングシステムを完全内製化している点を強みとして挙げた。
パブリックチェーン上でオンチェーン記録を行うことで透明性を確保し、権利移転の秒単位での利回り計算も自社開発ゆえに実現できると説明した。リテール向けにも公募形式で提供しており、米国ではアプリを通じた個人売買も進んでいるという。
日米市場の構造的差異
野村ホールディングスの池田肇氏は、日米のトークン化証券市場が異なる発展経路をたどった背景として、家計の金融資産に占める有価証券比率の差を挙げた。米国では6割近くに達する一方、日本はようやく2割を超えた水準にとどまる。
この差が、米国では既存の機関投資家向け金融商品(MMF・米国債・株式)のトークン化による取引コスト削減を軸に進化が進んだのに対し、日本では不動産の小口化・流動化を通じた「資産運用の裾野拡大」という方向性をたどった背景にあると指摘した。
国内の不動産セキュリティトークンは5年間で発行額2800億円規模に育ったが、24時間365日取引や機関投資家の参入といった「当初うたわれたメリット」はまだ十分に実現されていないと率直に認めた。「そのパズルの欠けていたピースがステーブルコインだ」と池田氏は述べ、円建てステーブルコインの登場によって初めてデジタル証券本来の価値が引き出せると展望を示した。
24時間決済と機関投資家参入が鍵
大和証券常務取締役の板屋篤氏は、複数のステーブルコインやトークン化証券を組み合わせたDVP(Delivery versus Payment:証券引渡しと代金決済の同時履行)の実証実験を継続していると述べた上で、「どのマネーが勝つかより、まず可能性を捨てないことが大事だ」と実証実験の意義を語った。
プログマ齊藤氏は、個人投資家にとっての24時間365日取引は「深夜3時にパソコンの前に座りたい人はいない」と現実的に見切りつつも、海外の機関投資家が日本資産にアクセスしようとした際に「今は日本の深夜なので取引できない」という状況が続けば、日本市場はオンチェーン金融の世界でガラパゴス化するリスクがあると強く警鐘を鳴らした。
ステーブルコインと証券トークンが組み合わさることで取引・決済の高度化が実現し、機関投資家の参入が促されれば市場は大きく変わると各登壇者の意見は一致した。実務面ではKYC・AML対応、夜間対応体制、顧客資産保全など関係者が多岐にわたることから「一社でできる話ではない」と池田氏が指摘し、業界横断での連携の重要性を改めて示して議論を締めくくった。



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