ビットコイン VS ゴールド、デジタル資産の新たな魅力とETF承認が実現した場合の影響を探る Matrixport、NYDIGレポートを紐解く
デジタルゴールドを超える役割
デジタル資産プラットフォームMatrixportは9日、「Bitcoin Is Better Than Digital Gold(ビットコインはデジタルゴールドより優れている)」と題したレポートを発表した。
このレポートは、ビットコインが単なる「デジタルゴールド」としての役割に留まらず、多様化への道を開いていると指摘。具体的には、国境をまたいだ資産移動における革新や、機関投資家にとって投機対象、リスクヘッジとしての魅力が高まっていると述べた。
また、今後、現物型ビットコインETFが米国で承認された場合に、市場にもたらす影響についても分析した。
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ビットコインの優位性
ビットコインの総供給量は2,100万BTCに限定されており、その希少性から、BTCは価値保存(ストアオブバリュー)の価値提案が打ち出されてきた。
Matrixportは、これに加えてビットコインが投機的要素と独立性を併せ持ち、市場の揺れに対しても頑健なアセットであると評価。市場の不安定な時期においても、投資家にとってリスクヘッジの選択肢になり得ると述べた。
また、物理的な資産である金と異なり、ビットコインの所有と移動はデジタルキー(秘密鍵)によって行われる。Matrixportは、この特徴が物理的な盗難や没収などのリスクからユーザーを解放し、ビットコインへの投資理由を強固にすると指摘した。
Matrixportの調査責任者、マルクス・ティーレン氏は「ビットコインは国境を越えた価値の移動を迅速かつ比較的目立たなく可能にする」と指摘、伝統的な資産と比較してその優位性を主張している。
ビットコインは国境を超えた取引が可能であり、個人や企業にとって理想的なソリューションとなると指摘している。「国境を越えて価値を迅速かつ慎重に移動できるその能力は、国際貿易と送金に革命をもたらす可能性がある」。
また、供給量が固定された性質から、ビットコインはインフレヘッジとしての役割が期待される。
米国のマネーサプライの急減や逼迫するGDP債務比率を根拠に、Matrixportは年末にかけて経済停滞によるインフレ率の低下が見込まれると指摘。米国政府と連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ率向上に向けた金融政策や財政施策を検討する可能性がある。
Matrixportは、2019年に連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の引き上げを一時停止した際、ビットコイン価格が+325%の上昇を見せたことを指摘した。
ビットコインETF承認実現の影響
2023年10月現在、米国証券取引委員会(SEC)に対して、米金融大手ブラックロックを初めとする10以上のファンドマネージャーが、現物ビットコインを信託して受益証券を上場する、上場投資信託(ETF)を提供するための申請を行っている。
Matrixportは、米国における現物ビットコインETFの承認が市場に対する大きな影響をもたらし得ると分析。ビットコイン時価総額(5,400億ドル)と物理的なゴールドの時価総額(12.3兆ドル)を比較して、「ビットコインETFに200億〜300億ドルの資金流入が見込まれる」と主張した。
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NYDIGの見解
米大手暗号資産(仮想通貨)投資企業NYDIGも現物ビットコインETFの影響力を推測しており、Matrixportと同様に、300億ドル以上の資金がビットコイン市場に流入する可能性があると見ている。その根拠は、ビットコインと金の比較から来ている。
ビットコインは既に発売されているファンド形式で保有されている割合が高く、時価総額の4.9%に上る。これに対してゴールドファンドは、ゴールドの時価総額(12.3兆ドル)の1.6%(2,100億ドル)である。
NYDIGは、現物ビットコインETFの利点として、ブラックロックのブランドによる信頼性の強化、取引の手間の軽減、ポジション報告やリスク測定のシンプル化、税報告の手続きの単純化などを挙げた。
300億ドルという数字は、ビットコインのボラティリティが金より3.6倍高いというデータから算出された。同等のリスクエクスポージャーを保つにはビットコイン投資は金より抑えられる。この前提から、ビットコインETF承認による、追加需要は約300億ドルと推定されている。
異なる視点も
だが、全ての市場参加者が現物ビットコインETFの承認をポジティブに見ているわけではない。JPモルガンのアナリストは、現物ビットコインETFが「市場に大きなインパクトをもたらさない可能性が高い」と指摘している。彼らは、米国外市場における現物ビットコインETFが振るわない点を挙げて、米国においても成功が難しくなる可能性を指摘している。
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