RWAプロトコルを強化、出金待機中の資金活用をサポートするEIP-7540とは

待機中の出金キューを担保に資金を借りる

イーサリアム技術フォーラムにて、新しい改善提案「EIP-7540」が19日に公開された。この提案は、リアルワールドアセット(RWA)、クロスチェーン融資、リキッドステーキングといったプロトコルのユーザビリティを強化する可能性がある。

特に、EIP-7540は「ERC-4626 Tokenized Vaults(トークン化金庫)」という既存規格の改善を目的としている。ERC-4626は利回りを保証する保管庫の運用に関するもので、特定の条件がスマートコントラクトにより実行される場合に限り、トークン預託者に報酬を提供するというもの。

新しいEIP-7540は、ERC-4626を強化し、非同期の入金および引き出しのフローに対応する能力を持つことを示す。

つまり、通常の同期的な方法での入金や引き出しができない場合や、特定の条件下でのみできる場合に、非同期的に保留中のステータスを確認する機能が追加される。

この確認に基づいて、MakerDAOやAave等のレンディングプロトコルの担保に使用するなど、他のDeFiプロトコルとの統合を合理化するのに役立つと期待される。

EIP-7540の導入によって、DeFiプラットフォームの動作はさらに柔軟に進化することが期待される。特定条件下でのトランザクションの実行や、待機時間のあるスマートコントラクトの操作が新たに実現する可能性がある。

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リキッドステーキングを例に

リキッドステーキングトークンは、主にステーキングした仮想通貨を代表するもの。例えば、ユーザーはイーサリアム(ETH)をステーキングすることで、stETHなどのリキッドステーキングトークンが付与される。stETHは、他のDeFiプロトコルで使用できるものとして設計されている。

また、多くのPoSブロックチェーンでは、ステーキング解除の際に待機時間が発生するが、EIP-7540の導入により、その期間中でも非同期での操作(例、MakerDAOやAave等での担保としての使用)が可能となる見込みだ。

この特性は、オフチェーンプロセスで資産取引や原簿管理、現金決済との照合などで時間を要するRWAプロトコルにも、恩恵をもたらす可能性がある。

EIP-7540の提案はまだ議論の初期段階にあり、イーサリアム・マジシャンズ・フォーラムでの議論を経て、承認プロセスに移行する予定だ。非同期トランザクションにはセキュリティ上の懸念もある点に注意が必要。提案の共同執筆者であるCentrifugeのCTO、Jeroen Offerijns氏は、非同期のフローが増えることで複雑性が増すため、より広範なテストと監査の必要性を強調している。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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