スタートアップ育成のY Combinator、ステーブルコインへの取り組み推奨
「ステーブルコインは今後重要に」
スタートアップ育成企業Y Combinatorは14日、スタートアップ企業に取り組んでほしい分野のリストを発表した。「ステーブルコインを使った金融」も推奨分野の一つに挙げている。
Y Combinatorは、これまでAirbnb、Coinbase、Dropboxその他を支援してきたインキュベーターだ。同社のブラッド・フローラ氏は、ステーブルコインの将来性について次のように説明した。
ステーブルコインがマネーの未来で重要な部分を占めることは明らかのようにみえる。
私たちの育成した企業は、国際決済、取引手数料の削減、詐欺の回避、ユーザーの貯蓄をハイパーインフレから守るためなど、様々な用途で事業にステーブルコインを効果的に組み込んでいる。私たちがステーブルコインの将来性を認識しているのはこのためだ。
また、従来型金融もこうした流れを追うことになるだろうとも意見した。一例としては、決済大手PayPal(ペイパル)が独自のステーブルコインを発行したことを挙げている。
ペイパルは昨年8月、イーサリアム(ETH)ブロックチェーンを用いてステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」をローンチした。
世界的な大手企業による初のステーブルコイン発行事例となり、Web3への大企業の参入や、ステーブルコインの市場競争を促進することが期待されている。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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「ステーブルコインに巨大なチャンス」
フローラ氏は、世界的に5億人以上がインフレが30%以上の国に住んでいることや、米国の銀行が17兆ドル(約2,550兆円)の顧客預金を保有していることなどから、ステーブルコインのチャンスは巨大だとも主張した。
チャンスの大きさと比較すると、現時点ではまだ主要なステーブルコイン発行者や流動性プロバイダーは少数であると続けている。
ステーブルコインに参入する金融機関は近年増加しているところだ。
例えば、フランスの大手銀ソシエテ・ジェネラルの子会社は昨年12月、ユーロ建てステーブルコイン「EUR CoinVertible(EURCV)」をローンチしている。ドイツ銀行のDWSグループらも同月、ユーロ建てステーブルコインを発行する企業を設立すると発表した。
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日本においても昨年11月、三菱UFJ信託銀行、Progmat社、JPYC社が、ステーブルコイン「JPYC(信託型)」の発行拡張に関する共同検討を開始した。
「JPYC」とは、2021年1月に発行が開始された日本円ベースのステーブルコインで、資金決済法上の「前払式支払手段」として位置づけられている。
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