「仮想通貨のETFを今後承認する前に対策が必要」米議員がSEC委員長に書簡送付
仮想通貨ETFで対策要求
暗号資産(仮想通貨)大手ベンチャーキャピタルParadigmで政府業務を担当するAlexander Grieve氏は15日、米議員2名が米証券取引委員会(SEC)のGary Gensler委員長宛に送付した書簡をXで公開した。
書簡の中で議員はビットコイン(BTC)の現物ETF(上場投資信託)等の金融商品について、投資のリスクが高いなどと問題を指摘。SECにはこのような金融商品を承認する義務はないとし、今のリスクを考慮すれば承認すべきではないとも述べ、投資家保護対策を講じるよう求めた。
今回書簡を送付したのは民主党の上院議員であるLaphonza Butler氏とJack Reed氏。書簡は今月11日付けである。なお、書簡の中ではETFではなく、さらに包括的なETP(上場取引型金融商品)という用語を使っている。
両議員は仮想通貨は価格変動が大きいなどと指摘し、仮想通貨ETPのような特有の大きなリスクがある商品に一般の国民が投資できるようにするためには、正確で包括的な情報を提供することが重要であるとした。
その上で、FINRA(金融取引業規制機構)の最近の調査を引き合いに出し、「仮想通貨に関するブローカーと個人投資家のやりとりの約70%が、公正な開示ルールに違反していた」と述べている。中には、仮想通貨と現金を同一視したような説明がなされているケースもあり、投資家の誤解を招いているなどと指摘している。
また、本来はビットコインのETPである商品が、ETFと名付けられて提供されていることも問題視した。SECへの提出書類などで本来ETPである商品がETFと表現されていると指摘している。
議員は、ETPとETFの違いは小さいかもしれないが、重要な相違点があると説明。例えば、ETPは1940年投資会社法の完全な保護を受けられないと述べている。そして、ETPには複数の基本的な投資家保護対策は講じられていると認識しているが、両者の違いを個人投資家に伝わるようにすべきだと要求した。
関連:「ビットコイン現物ETFへの流入資金の多くは新規マネーではない可能性」JPモルガン分析
議員の要求
上述したように議員は書簡の最後では「リスクを考慮して仮想通貨のETPを承認すべきではない」と述べているが、その前にSECに対して3つの内容を求めている。
まず1つが「ビットコインETPについて、ブローカーや投資アドバイザーと投資家のやりとりを注意深く調査すること」。これは投資家が正確で完全な情報を入手できているかを確認することが目的だ。
2つ目が「仮想通貨のETPを勧めたブローカーや投資アドバイザーを調べること」。これはブローカーらが、SECが求めるように顧客の利益を最優先しているかを確認するよう要求している。
そして3つ目がETFではなくETPという用語を使うこと。議員はこういった取り組みによって投資家保護が強化されると主張した。
関連:SEC、ビットコイン現物ETFを2対3で上場承認 委員長ら経緯と見解を明かす
現在はイーサリアム(ETH)の現物ETF承認に注目が集まっているが、議員は仮想通貨の金融商品の承認を抑制すべきだと訴えている。ビットコインは価格操作や詐欺が課題だが、他の仮想通貨はさらに脆弱性が高いと指摘した。
なお、書簡は、単純に返信を待っているとだけ書いて締めくくられている。
関連:「イーサリアム現物ETFの5月の承認確率は35%まで低下」ブルームバーグのアナリストが指摘
ビットコインETF特集
ビットコインETFの仕組み、基本から徹底解説 | ブラックロックが仕掛けるビットコインETF、投資家必見のポイント |
ビットコインETF上場承認後のBTC価格はどう変わる? 米投資会社の資金流入予測 | ビットコイン半減期とは?市場価格への影響と注意点 |
初心者が学ぶトレード知識 | CoinPostアプリで個人投資家に優位性を |
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します