米ブロック社支援のマイニング企業Gridless、ケニアで再生エネルギーの利用促進
太陽光や地熱を活用したマイニング
アフリカの暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Gridlessは、ケニアの死火山の跡地で、太陽光発電や地熱エネルギーを利用してビットコイン(BTC)マイニングを行っている。CNBCが報じた。
マイニング事業により地域の再生可能エネルギー普及や電力供給にも一役買っている格好だ。
ケニアのナイバシャ湖のほとりに設置されたこの施設は、小型の住宅用トレーラーのような、電力容量500キロワットの移動式コンテナ1台が設置されているものだ。Gridlessがケニア、マラウイ、ザンビアで運営する6つのマイニング施設のうちの1つである。
Gridlessは2022年、シードラウンドでX(旧称ツイッター)創設者の起業家ジャック・ドーシー氏が率いるブロック社などから総額200万ドル(約3.1億円)を資金調達したスタートアップ企業だ。
ビットコイン採掘でミニグリッド電力の需要支える
Gridlessは、小規模のビットコイン採掘用データセンターと組み合わせることにより、再生可能エネルギーを地域に普及させようとしている。
自然エネルギーを活用したミニグリッド(小型発電施設)の採用にあたっては、投資利益率が低く、設備投資コストが高く、初期の電力消費量が少ないために資金の回収期間が長いことがある。このため、ミニグリッドは補助金なしでは成り立たないことも多い。
Gridlessは、電力の一部をマイニング施設が買い取ることにこうした課題に対する解決策を見出しており、次のように説明している。
ビットコインマイニングは、持続的で信頼性の高い電力需要を提供することで、再生可能エネルギーによる余剰電力の活用に役立つ。
当社は、地域の再生可能エネルギーを利用するミニグリッド発電事業者と連携して、その事業を支える買い手として電力を最大限に収益化する。
これにより、地域コミュニティにとっては、送電網の安定性が向上する、電力料金が安くなるなどの恩恵があると続けている。また、ビットコインネットワークをより分散化することができるとも述べた。
Gridlessによれば、こうしたミニグリッドとマイニングの組み合わせにより、これまでザンビアで1,200軒、マラウイで1,800軒、ケニアで5,000軒の住宅に電力を供給したという。
また、マイニングの分散化に関しては、ドイツ銀行のアナリストらが4月18日のメモで、「ラテンアメリカ、アフリカ、中東はエネルギーコストが低いため採掘事業者に注目されている」と述べたところだ。
アナリストらは、現在米国がビットコインマイニングに占める割合は40%で、ロシアが20%、中国が15%だと指摘している。
その上で、ビットコイン半減期後のマイニング報酬低下により、マイニング事業者がより安価なエネルギーを求めるようになるため、仮想通貨マイニングが行われる地域の割合などが変化する可能性があると予測した。
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半減期とは
ビットコインなど仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。仮想通貨にはインフレを防ぐために「発行上限」が定められているものが多く、一定周期で訪れる半減期の度に、新規発行量が半分に減る仕組みになっている。供給量が減ることで希少価値が大幅に上昇し、価格が高騰しやすくなるため、仮想通貨特有の注目イベントでもある。
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