CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨に軸足移す中国人投資家相次ぐ、深刻な中国株低迷を受け=報道

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

グレーゾーンの取引

深刻な中国株式市場の低迷に直面している中国人投資家の間では、資産の安全な避難先として、暗号資産(仮想通貨)への関心がますます高まっている。

25日のロイター報道によると、中国では「創造的な方法」を使って、ビットコインをはじめとする仮想通貨を所有する投資家が増加しており、国内の株式市場や不動産市場に投資するよりも安全だと考えているという。

中国では2021年より、仮想通貨取引およびマイニングが禁止されており、国境を越えた資金移動も厳しく規制されている。中国人民銀行の潘功勝総裁は昨年10月、「仮想通貨取引などの投機活動」を徹底して取り締まる姿勢を表明。国家外貨管理局は同年12月、「仮想通貨を購入して外国の法定通貨と交換する行為は違法である」と警告している。

関連:中国の外貨管理局、仮想通貨による外貨交換に警告

しかし、このような政府の規制や警告にもかかわらず、中国人の仮想通貨投資への意欲は微塵も削がれていないようだ。

上海の金融セクター幹部であるディラン・ラン氏は、グレーマーケットのディーラーを通じて、仮想通貨を購入。監視の目を掻い潜るため、小規模な地方銀行発行のカードを利用し、各取引の上限を5万元(約100万円)に設定しているという。

仮想通貨へのアクセス

ロイターの調査によると、中国本土でもビットコインへのアクセスは、それほど難しくはないようだ。

バイナンスやOKXなどの大手取引所は、依然として中国人投資家向けに取引サービスを提供。AlipayやWeChat Payなどの決済プラットフォームを利用して、人民元をステーブルコインに交換し、仮想通貨取引をするようアドバイスしているという。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国人投資家の取引方法として、仮想通貨禁止令以前に開設した国外の取引所アカウントにVPN(仮想プライベートネットワーク)を利用してアクセスする方法や、対面方式のP2P取引が盛んな現状を伝えている。

ブロックチェーン分析会社Chainalysis(チェイナリシス)によると、中国人投資家の仮想通貨活動の大半は店頭取引や、非公式のグレーマーケットのP2P取引を通じて行われている。中国は、P2P取引量世界ランキングで2022年の144位から、2023年には13位に急上昇した。

関連:中国、禁止しても広く普及する仮想通貨取引の実態=WSJ報道

中国経済の低迷と仮想通貨活動の胎動

ブルームバーグによると、中国本土と香港の株式市場は前回のピーク時から計6兆ドル(約885兆円)相当の時価総額を失った。中国本土株のCSI300指数は今月に入り大きく下落しており、過去3年間の下落率はほぼ40%に達するという。

株式アナリストのチャーリー・ウォン氏は、伝統的な分野で良いチャンスを見つけるのは難しいとして、次のように述べた。

中国株やその他の資産のパフォーマンスは芳しくない……経済は重要な転換期を迎えている。

そんな中、中国の仮想通貨活動は、政府による禁止令にもかかわらず、ますます活発になってきている。

チェイナリシスが昨年9月に発表した、2023年版「グローバル仮想通貨採用指標」では、草の根で人々が仮想通貨を採用している国として、中国が11位にランクイン。同社の分析によると、中国のトレーダーは、2022年7月から2023年6月の間に仮想通貨活動から、約12兆7,500億円(860億ドル)の現金を受け取った。

この額は香港における同時期の仮想通貨取引高の約9兆4,400億円(640億ドル)を大幅に上回っている。

香港の役割

香港のビジネス街や繁華街には、仮想通貨取引の実店舗が次々にオープンしており、その一つの人気店 Crypto HKでは、身元確認なしに500香港ドル(約9,400円)から仮想通貨の購入が可能だという。

香港当局は仮想通貨取引所に対しては明確な規制を定め、その監督下においているが、このような実店舗で行われるP2P取引に対しては、緩やかな対応に留まっているようだ。

また、中国には、海外旅行や教育などの使途について、年間5万ドルの外国為替購入枠があり、多くの投資家はこの制度を利用して、香港の仮想通貨口座に資金を移している。

香港に拠点を置く仮想通貨取引所の幹部は、中国経済の低迷により、「中国本土での投資はリスクが高く、不確実で、期待外れに終わっている」ため、多くの人々が海外に資産を割り振るようになってきていると語った。中でもビットコインや仮想通貨が、中国人投資家を引きつけているとして、次のように述べた。

ほぼ毎日、中国本土の投資家がこの市場に入ってきている。

仮想通貨投資に参入しているのは、個人投資家だけではない。同幹部は、中国のブローカーや金融機関も、香港で仮想通貨関連ビジネスを模索していると指摘した。

前述のウォン氏は、中国政府はビットコインが持つ破壊的な力と、巨大な可能性を認識していると主張する。香港が仮想通貨取引のハブとなることを中国が容認している背景には、世界で急成長する仮想通貨ビジネスへの足がかりを維持するという意図があると、同氏は考えている。

関連:香港、投資商品トークン化のガイドラインをまもなく発表へ

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/28 日曜日
11:30
ビットコイン相場は中期的には下降チャネル内での揉み合い続くか|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン半減期を終え1000万円周辺で推移する相場をbitbankのアナリスト長谷川氏が分析。ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|BTCの半減期完了に高い関心
今週は仮想通貨ビットコインが半減期を迎えたこと、QCP Capitalによる半減期後の相場分析、イーサリアムの証券性などを巡りConsensysが米SECを提訴したことに関する記事が最も関心を集めた。
04/27 土曜日
21:00
OKCoinJapan 5月にオプティミズム(OP)取扱い開始へ
OKCoinJapanが暗号資産(仮想通貨)オプティミズム(OP)の取扱いを開始へ。イーサリアムのレイヤー2ソリューションとして、その技術はCoinbaseが支援するBaseやバイナンスのopBNBの基盤に使用されている。OPのユースケースや今後の展望も言及。
17:20
機関投資家のDeFiリスク管理を強化、Fireblocksの新セキュリティ機能
FireblocksがDeFi製品にdApp ProtectionとTransaction Simulationを追加。リアルタイム脅威検知と安全なトランザクション実現で、機関投資家のオンチェーン活動をサポート。
13:00
BAYCで知られるYuga Labs、事業再編でチームメンバー削減 
Yuga Labsは、事業再編の一環としてチームメンバーの一部を削減した。「より小規模で機敏でクリプト・ネイティブなチーム」にする意向だ。
10:30
米国で仮想通貨発行の推奨事項5ヶ条、a16z明かす
大手ベンチャーキャピタルa16zは、米国で仮想通貨トークンを発行する際の推奨事項を挙げた。特に証券性など米SECをめぐる対処を中心としている。
09:30
ビットコインRunesデビュー1週間、200億円以上の手数料生み出す
手数料については、ミーム仮想通貨取引への高い需要が原因で、4月初めの5ドルから平均40ドルまで高騰している。ビットコインのマイニング報酬が半減し、収益が大幅に減少する見通しとなっていた採掘業者にとっては朗報だ。
08:00
半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
07:30
円安で1ドル158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
05:55
パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア