はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

中国、禁止しても広く普及する仮想通貨取引の実態=WSJ報道

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

地下ネットワークを利用

暗号資産(仮想通貨)取引が禁止されている中国で、今でも人々の間で日常的に取引が行われている実態が、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によって明らかになった。

VPNの使用からカフェやコインランドリーでの秘密会議まで、投資家たちが中国による仮想通貨取引禁止の回避に成功している事実は、世界中の規制当局がこのセクターを取り締まることがいかに難しいかを示している。

WSJは18日、中国事情に詳しい関係者の話として、トレーダーが用いる仮想通貨の取引方法について詳述している。その一つが、中国が禁止令を敷く前に開設した中国国外の取引所アカウントに、VPN(仮想プライベートネットワーク)を利用してアクセスする方法だ。中にはVPNを使用することなく、アクセス可能なトレーダーも存在するという。

Bybit、KuCoin、Gate.ioなどの取引所は現在、中国本土のユーザーの口座開設を認めておらず、中国本土を拠点とするアカウントを閉鎖する動きもあった。

一方、 Huobiは、中米のドミニカ国が提供する「デジタル市民権」プログラムを導入し、口座開設時にユーザーは同国のデジタルIDの申請が可能となった。このデジタルIDを取得することで、中国在住のユーザーにも事実上Huobiのプラットフォームへのアクセスが許可されたことになる。

また、WeChatやTelegramなどのSNSプラットフォームがトレーダーにとって重要なツールとなっている。専用グループ内では、取引所を介することなく、買い手と売り手がお互いに連絡を取り合うことが可能だ。

対面の現物取引

さらに、昔ながらの対面方式の取引も盛んなようだ。トレーダーはカフェや飲食店、コインランドリーなどの公共の場で落ち合い、その事業主や他の顧客とウォレットのアドレス交換を行う。仮想通貨を直接交換したり、現金や銀行振込などが支払い手段になっているという。取引相手を見つける方法は、取引所のP2Pサービスの利用や口コミとのことだ。

かつては、路地裏で落ち合って、欲しいものと引き換えに現金の入った袋をディーラーに渡すのが一般的なイメージだった。今は仮想通貨を使えば、カフェに行ってサムドライブを渡したり、ウォレットの詳細を交換したりするだけで済む。

仮想通貨取引の利便性について、シンガポール国立大学のBen Charoenwong助教授は、このように指摘している。

現物取引は特に、成都や雲南省などの中国内陸部で人気があるという。海岸から遠く離れたこれらの地域は、一般的に貧しく、地方政府が他の社会問題への対応に追われているため、仮想通貨に対する取り締まりが緩いことがその理由だと関係者は述べた。

関連:未規制の仮想通貨店舗、香港が中国投資家にとっての魅力的な選択肢に=報道

中国の存在感

ブロックチェーン分析会社Chainalysis(チェイナリシス)が昨年9月に発表した、2023年版「グローバル仮想通貨採用指標」では、草の根で人々が仮想通貨を採用している国として、中国が11位にランクインしている。同社の分析によると、中国のトレーダーは、2022年7月から2023年6月の間に仮想通貨活動から、約12兆7,500億円(860億ドル)の現金を受け取った。

中華系仮想通貨取引所Bitgetが2023年5月から2023年8月にかけて行った世界の仮想通貨投資調査によると、ヨーロッパ、中国、日本、韓国、トルコおよび一部の英語圏諸国のうち、投資額が一番多かったのは中国だった。中国の投資家は、18%が740万円から1,490万円、19%が1,490万円以上を、仮想通貨投資に割り当てていた。

また、世界最大手の取引所バイナンスでは、昨年1カ月間に、中国トレーダーによって約13兆3,500億円(900億ドル)の取引が行われたという。

関連:「日常的に仮想通貨を利用する国」インドが首位、チェイナリシス23年ランキング

取り締まりを強化する中国政府

中国は2021年に仮想通貨取引およびマイニングを禁止した。しかし、上述のように、現実には規制をかい潜って盛んな取引が行われているようだ。

マイニングに関しても、禁止令が発表された21年5月直後は、ほぼゼロとなったものの、22年1月の時点では米国に次ぐ2位に返り咲き、世界のハッシュレートの約21%を占めるというデータが、英ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センターによって示された。

関連:ビットコインの世界採掘シェア、中国が2位に返り咲く=英ケンブリッジ大学

このような状況に対し、中国人民銀行の潘功勝総裁は昨年10月、国務院の財政活動に関する報告の中で、「違法な金融行為を厳しく取り締まる」という目標を掲げ、「仮想通貨取引などの投機活動」を徹底して取り締まる姿勢を改めて示した。

関連:中国人民銀行総裁『仮想通貨取引を徹底して取り締まる』 全人代の発表文章で言及

また、中国の国家外貨管理局は昨年12月、「仮想通貨を購入して外国の法定通貨と交換する行為は違法である」と警告した。

さらに同月末には、同局と最高人民検察院が違法の外貨交換行為について共同声明を発表。ステーブルコインUSDTを使った摘発事例を示した上で、外貨交換の監督・検査をさらに強化し、犯罪行為は厳格に処罰していくと、仮想通貨の違法使用を牽制した。

関連:中国、仮想通貨テザー(USDT)などによる外貨交換の取締り強化

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/12 水曜日
13:45
「仮想通貨は正当なポートフォリオ分散手段」 機関投資家のアプローチに大きな変化=シグナム
スイスのデジタル資産銀行シグナムが発表した最新調査で、回答した世界の機関投資家の89%が仮想通貨をすでに保有し、仮想通貨を投機ではなくポートフォリオの有効な分散投資手段とみなしていることが明らかになった。
13:00
米上場ターボ・エナジー、ステラ・タウラスと提携 スペインで再エネ融資をトークン化
ナスダック上場のターボ・エナジーがタウラス、ステラと提携し、スペインでクリーンエネルギー融資のトークン化実証実験を開始。ブロックチェーン活用で744億ドル規模のEaaS市場参入を目指す。
12:45
JPモルガンとDBS、トークン化預金の相互運用で取り組み
JPモルガンとDBS銀行がトークン化預金の相互運用性フレームワーク開発に取り組んでいると発表した。KinexysとDBSトークンサービス間でリアルタイム決済の実現を目指す。
12:37
Bitcoin JapanのCEO、ビットコイン準備金基盤のAIインフラ投資計画など明かす 
エネルギー軸でビットコインとAIを融合 Bitcoin Japan株式会社(旧堀田丸正)は11日、臨時株主総会で商号変更を完了し、ビットコイン財務戦略の詳細を発表した。 関連:…
11:40
ソフトバンクG、エヌビディア株を9000億円で全売却、オープンAI投資へシフト
日本のソフトバンクグループが保有のエヌビディア株を全売却し、オープンAIへの最大400億ドル投資に充てる。ビジョンファンドは234億ドルの投資利益を計上し、純利益は前年比2倍以上となった。
11:15
XRP現物ETF、今週中に米国で上場見込みか 最終書類提出=専門家
カナリー・キャピタルがXRP現物ETFのナスダック上場に向けた8-Aフォームを提出した。専門家は明日か木曜日のローンチを示唆しており、米国で2つ目のXRP追跡ETFとなる見込みだ。
10:35
ビットコイン量子コンピュータ対策で議論白熱に、アドレス移行提案の是非めぐり
仮想通貨ビットコインの量子コンピュータ対策として、Taprootアドレスからの移行が提案され議論が起こった。量子耐性の獲得方法で専門家の見解が分かれている。
10:25
7年ぶりの米国ICO「モナド」、トークンセール開示文書を公開 評価額3800億円弱
モナド財団が11日、MONトークンのコインベース公開販売に関する開示文書を発表。FDV約3,750億円、最大75億トークンを販売。大口集中を防ぐ「ボトムアップ方式」を採用し、11月17日から販売開始。
10:10
ソラナ現物ETF、取引開始から10日間連続で資金が純流入
仮想通貨ソラナの現物ETFは10日時点で、取引開始から10日間連続で資金が純流入。この状況について、事前の予想を上回っているとの見方が上がった。
08:05
スタンダードチャータード、シンガポールでステーブルコイン決済カード「デカード」を支援
スタンダードチャータードがDCSカードセンターと提携し、ステーブルコインを実店舗で使用できるクレジットカード「デカード」の主要銀行パートナーとなった。
07:35
プライズピックス、ポリマーケットと提携 米国で予測市場参入
プライズピックスが世界最大の予測市場プラットフォームのポリマーケットと複数年提携を締結した。連邦規制下でスポーツやエンターテインメントに関する予測市場契約を提供し、米国での事業拡大を目指す。
07:02
メタプラネット、株主数が日本の人口の約0.2%相当まで増加
仮想通貨ビットコイン財務企業メタプラネットのサイモン・ゲロヴィッチ代表取締役社長は、同社の株主数が日本の人口の約0.2%相当にまで増加したと報告。過去数カ月で日本の株主数は66%増加したとも説明した。
06:30
TDコーウェン、ビットコイン年末価格を14万ドルと予想 ストラテジーのBTC追加購入数も試算
TDコーウェンがストラテジーの新規ユーロ建て優先株発行により6720ビットコインが追加されると予測した。ビットコインの年末ベースケース価格は14万1277ドルに据え置かれ、強気シナリオでは16万ドルを想定。
06:05
ブラジル中銀、仮想通貨と国際資本取引の新ルール導入
ブラジル中央銀行が仮想通貨取引および国際資本取引に関する包括的な規制を発表。サービス提供企業への許可制度や報告義務を設け、資本移動の透明化および安全性を強化する。
05:35
中国がアメリカによる20兆円ビットコイン窃取を主張、ルビアンハッキング事件で
中国国家計算機ウイルス緊急対応センターが、2020年のルビアンマイニングプールから127,272ビットコインが盗まれた事件について、米国政府による国家級ハッキング作戦だとする報告書を公表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧