米上場のビットコイン採掘企業、合計時価総額が最高値更新=JPモルガン
BTC採掘企業14社を調査
米金融大手JPモルガンのアナリストは17日、米株式市場に上場する暗号資産(仮想通貨)ビットコインのマイニング企業の時価総額が、6月に228億ドル(約3.6兆円)に達し、最高値を更新したと伝えた。上場企業14社を調査したというアナリストのレポートを入手した海外メディアが17日に報じた。
アナリストは、ほぼ全てのマイニング企業の株価が、6月の最初の2週間におけるパフォーマンスでビットコインを上回っていると指摘。背景には、AI(人工知能)領域における事業多角化の可能性と、ハッシュレートのシェアの増加があるとみている。
ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。「1秒間に何回計算ができるか」を表しており、マイニング機器の処理能力を表したり、仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示したりする際の指標として用いられる。
▶️仮想通貨用語集
AIについてアナリストは、マイニング企業のCore ScientificとクラウドプロバイダーのCoreWeaveが今月、AIモデルのトレーニング向けのインフラ提供で12年間に渡る契約を結んだと発表したことに言及。株式市場の投資家は、このニュースを好意的に受け止めたと指摘した。
関連:米マイニング企業Core ScientificがAIインフラ企業と契約 12年間で推定5400億円の収益見込む
契約した12年間で、Core Scientificの累計総収益は35億ドル(報道時のレートで約5,440億円)を超えると推定されている。「TradingView」のデータによれば、同社の株価は前月比で159%超上昇。アナリストは、6月に株価を下げているのはArgo Blockchainだけだと指摘した。
最近は、Hut 8やIRENなどのマイニング企業もAI領域で事業を多角化しようと探っていると伝えられている。ビットコインは今年4月に半減期を迎え、マイニング報酬が半分になっており、各社は収益源や提携、買収の機会を模索しているようだ。
以下の画像は、アナリストがレポートに掲載したグラフ。このグラフは、米国に上場するマイニング企業の合計時価総額の推移を表している。
関連:トランプ氏、ビットコインマイニングの支持を表明 企業CEOらと面会
ハッシュレートのシェア
時価総額上昇の要因について、JPモルガンのアナリストがもう1つ指摘しているのが、ハッシュレートのシェアの増加。ビットコインの半減期後は、採算が合わなくなってマイニングから撤退するマイナーが増えるとの見方は以前から上がっていた。
関連:ビットコイン半減期とは?過去相場の価格変動から探る2024年の展望
半減期後にハッシュレートは下がったが、その中で米上場企業によるシェアは増加傾向にあるとアナリストは指摘。以下のグラフの通り、今月における各社のハッシュレートの合計は、ネットワーク全体の23.8%に相当すると計算している。
上場企業のシェアは5月と6月と2カ月連続で増加。アナリストは、米上場企業は次の4年間に合計で、65万BTCを採掘すると概算した。
関連:ビットコインの買い方|初心者が知るべき投資メリット、リスク、最適な取引所選び
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します