米上場ビットコインマイニング企業の平均損益分岐点は53000ドル=CoinShares分析
ビットコインの平均採掘コスト
暗号資産(仮想通貨)投資企業CoinSharesの調査責任者James Butterfill氏は5日、現在の ビットコイン(BTC)価格は、マイナー(採掘業者)の平均採掘コスト(損益分岐点)に近い水準で推移していると指摘した。
CoinSharesは、今年4月のビットコイン半減期後の1BTC採掘にかかる加重平均原価を、推定53,000ドル(約850万円)と予測。半減期時点でのマイニング企業14社の平均採掘コストをグラフで示した。
Bitdeer、Cleanspark、TeraWulf、Hut8などのマイニングコストは、平均原価より低い一方で、CoreScientificやBitDigital、Riot Blockchainなどは、平均原価を大幅に上回る結果となった。
経済データサイトMacroMicroによると、7月4日のビットコイン価格は56,977ドルであったのに対し、同日の平均採掘コストは70,631.66ドルで、ビットコイン価格に対する比率は1.24倍となっている。平均採掘コストが史上最高を記録したのは5月1日で、89,999.02ドル。同日のビットコイン価格は58,254.01ドルだった。(対BTC価格比率1.54)
半減期とは
ビットコインなど仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。仮想通貨にはインフレを防ぐために「発行上限」が定められているものが多く、一定周期で訪れる半減期の度に、新規発行量が半分に減る仕組みになっている。供給量が減ることで希少価値が大幅に上昇し、価格が高騰しやすくなるため、仮想通貨特有の注目イベントでもある。
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採掘難易度が低下
ビットコイン価格が下落する中、ビットコインの採掘難易度は5日に5.62%低下し、79.4952テラハッシュ/秒(TH/s)となった。これは3月以来の低い水準だ。
ビットコインマイニングプールを運営するF2Poolは5日、難易度の低下により、電力コストが0.07ドル/kWhと仮定すると、ビットコイン価格が54,000ドル(約866万円)であれば、ユニット電力が26W/T以下のASICマシンでもマイナーは採算が取れるようになると指摘した。
F2Poolは前日、電力コストが0.08 ドル/kWhの場合、23W/T(ワット/テラハッシュ)未満の性能のASICマシンでは、損失が出ると指摘していた。
F2Poolは、損益分岐点となるビットコイン価格を、機種ごとに提示している。
- Antminer S 21 Hydro :39,581ドル
- Antminer S21: 43,292ドル
- Avalon A1466I : 48,240ドル
- Antminer S19 XP Hydro: 51,456ドル
- Antminer S19 XP: 53,187ドル
- Whatsminer M56S++: 54,424ドル
マイナーの選択
ビットコイン価格の下落によって、採算が取れなくなったマイナーは、一時的にマイニングを停止するか、撤退することにつながる。
全体的にマイニングに従事するマイナーの数が減少すると、マイニング報酬をめぐる競争が緩やかになるため、ハッシュレートが低下。マイニングの難易度も下がり、マイナーによる検証作業が容易になる。
ビットコインは安定して「約10分に1度」のブロック生成を実現するために、ハッシュレートの増減に合わせて、マイニングの難易度を調整している。この調整は2016ブロック作成ごとに行われている。(約2週間に一回の割合)
マイニング難易度およびハッシュレートの低下の状況から判断して、マイナーが再度マイニングに参入することも選択できるだろう。
一方、マイナーが採掘コストを下げるためにできることとして、CoinSharesは、より安価なエネルギー源の確保、マイニングフリートの効率性の向上、より有利なマイニング機器取得の条件交渉、財務負債の削減によるバランスシートの改善などを提案している。
ハッシュレート /span>
ハッシュレートとは、マイニングの採掘速度のこと。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
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