ビットコイン再度急落で底値見えず|仮想通貨市場続落の背景を探る

仮想通貨ビットコイン急落で4千ドル割り
ビットコイン価格は11月25日早朝、12%以上の急落を記録し、昨年9月以来米ドル建で4000ドルを大きく割った他、仮想通貨市場全体も全面安となり、約1時間半で1兆3千億円以上の時価総額が縮小した。要因と考えられるビットコインキャッシュのハッシュ戦争を考察。

仮想通貨ビットコイン急落で4千ドル割れ

ビットコインの価格は11月25日朝6時過ぎから、米ドル建で4000ドル(≒45万1900円)を割る、前日比12%以上の急落を記録。ビットコインキャッシュの騒動から下落相場が続いている中で2番目に大きな下げ幅になった。

4000ドルを割ったのは、2017年9月以来初で、ビットコインの過去最高価格から80%安まで落ち込んでいる。

この急落を受け、仮想通貨市場全体も全面安相場となったことで、アルトコインも含めた仮想通貨市場時価総額が1353億USDから一時1233億USDまで下落、約120億USD(≒1兆3千億円)を失った形だ。

現物価格60万円前後の直近最安値を割り込んだことで急落したビットコイン価格は、重要な節目として意識されていた5,000ドル(56.3万円)ラインまでもを割り込む大暴落後も続落が続いているが、未だ明確に下げ相場の終わりを告げる大きな反発が見られておらず、戻り売りに押されやすい、下目線優勢の動きを払拭できていない。

重要ラインは?

依然CoinPostでも「相場の反発ポイントを探る」の記事で掲載したビットコイン続落の中での重要サポートラインは以下の通りだが、フィボナッチと複合して重要と見られていた重要なライン4170ドルを割った事で、もう一段下の価格まで押し下げられる動きを見せている。

  • 4813ドル付近(約54万円)
  • 重要ライン:4170ドル付近(約47万円)
  • 3562ドル付近(約40万円)
  • 3011ドル付近(約34万円)

下落要因は?

現在下落の要因として挙げられているのは、米BusinessInsiderが報じたビットコインキャッシュのハッシュ戦争に関するものだ。

ビットコインキャッシュの通貨分裂に伴いABCとSV派で行われているハッシュ戦争は、利益を度外視にしてBCH関連のチェーン(ABCとSV)にハッシュが集められている状況を作り上げており、マイニングの目的が、投資(機械代や電力費)を上回るリターン(マイニング報酬)ではなく、ハッシュをより高く維持できるかと言う部分に注力している状況を意味する。

現在ではABCとSVの通貨を入金し取引の再開または予定を発表する取引所も出てきているが、このハッシュ戦争で得られるマイニング報酬自体も雀の涙と言っても過言ではないほど、資金(巨額の電力代金)をハッシュ戦争に投じている状況が続いており、その資金源として各マイニング企業が保有している仮想通貨(BTCなど)が大量に売られているのではいかという懸念が生じている格好だ。

実際にどれだけ資金が投じられているのか?どれほど赤字でハッシュ戦争が続いているのか?Bitmexリサーチの分析を引用する。

BitMEX Researchがハッシュ戦争のコストを計算

仮想通貨商品取引所BitMEXの調査部門であるBitMEX Researchが、ビットコインキャッシュの「ハッシュ戦争」にかかる費用の試算を公表している。

ハッシュ戦争の最新情報

両陣営の総額

ABCリース費用:696万ドル(約7億8千万円)

ABC損失総額:446万ドル(約5億円)

SVリース費用:487万ドル(約5億5千万円)

SV損失総額:438万ドル(約4億9千万円)

このように日本時間16日に分岐が起きたハードフォークから1週間、すでに総額23億円以上の費用がかかっていることが明らかになった。

費用試算の範囲

費用の試算を行う上で、BitMEXリサーチは、以下の点を前提としている。

  • 電力コストのみ考慮
  • ハッシュパワーは、レンタルと仮定(実際のコストはさらに高い可能性あり)
  • コスト計算は控えめに試算
  • S9マイニングを使用

また、もう一点仮定としているのは、マイニングされている新通貨(BABCまたはBSV)が、マイニングされた現在の市場価格で売れるということだ。

もし仮に、双方のマイナー等が一度に新通貨を大量売却すれば、通貨の価格は暴落し、実際の収益(利益)は試算を下回る可能性が十分ある。

さらに電力費は安い場所で掘っていることを仮定し、ハッシュパワーなども条件が優遇と想定している為、実際にはコストがさらに掛かる可能性も高い。

予想される最大投資額

前述した通り、22日時点での「ハッシュ戦争」にABC側とSV側のマイナー等から投じられている資金の総額は、23億円以上を上回っているとされる。

また下記に、日別のBitMEX社の試算をまとめた。

16(金)*ハードフォーク直後

以前コインポストで紹介したBitMEXのフォークモニタリングサイトでは、ハードフォーク後にABC側とSV側のそれぞれのマイニングコストを試算する新機能が追加された。

出典:BitMEX

11月17日(土)

電力費だけで1.4億円以上の総損失。ハッシュパワーはおそらくレンタルなので、実際はさらに高い可能性あり。

11月18日(日)

無意味な戦いが終わるのは、時間の問題だ。

11月19日(月)、11月20日(火)

CoinGeek社CEOのCalvin Ayre氏とnChainのクレイグ・ライト氏は、この状況をいつまでも維持するわけにはいかない。

11月21日(水)、11月22日(木)

マイニングの電気代が安いとしても、SVのマイナーは、-441%で、220万ドル(約2億4800万円)の損失を出している。

海外大手メディアも取り上げ始めている観点からも、ハッシュ戦争によるビットコイン相場上での売り圧力は、投資家にも意識され始めているといえる。

実際に今回の下落相場の要因になったビットコインキャッシュ騒動の終結を告げる一つの節目としても、ハッシュ戦争の明確な終了報道が、仮想通貨の売り相場一服のサインとなり得るかもしれない。

ビットコイン相場に関する最新情報はこちら。

大幅な下落が続く仮想通貨市場だが、ビットコインは今年最安値の39万台を記録後に反発し、45万円台まで回復した。反発時に逆三尊が明確に出たのは初で、11月の暴落劇の中で注目のポイントとなる。

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