
再投票見送り
米下院は米時間7月15日、複数の仮想通貨関連法案の審議入りを進めるための手続き動議を196対223で否決した。この投票は「クリプト・ウィーク(仮想通貨週間)」として予定されていた3つの重要法案の審議を進めるためのものだったが、一部の共和党保守派の反対により頓挫した。複数の米メディアが報道した。
手続き投票で否決された法案には、ステーブルコイン規制を定める「GENIUS法」とデジタル資産市場の明確化を図る「Clarity法」が含まれていた。共和党から13名が反対票を投じ、その中にはマージョリー・テイラー・グリーン議員、チップ・ロイ議員、アン・パウリナ・ルナ議員らが含まれている。
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グリーン議員は中央銀行デジタル通貨(CBDC)禁止に関する懸念を表明し、GENIUS法がトランプ大統領の大統領令に従っていないと批判した。同議員は「この法案はCBDCを禁止しておらず、下院指導部はCBDC禁止修正案を認めなかった」と述べた。
ロイ議員もCBDCの「厳格な禁止」条項の欠如を理由に反対票を投じた。一方、ルナ議員は法案が中央銀行デジタル通貨への「バックドア」を許可する可能性があると懸念を示した。
本来、下院は同日午後5時(米東部時間)に再投票を行う予定だったが、共和党指導部はこの再投票を中止。保守派と共和党指導部の間での溝が埋まらず、進展の目処が立たなかったことが原因とみられる。
この事態により、仮想通貨法案だけでなく、2026年度国防予算法案や、トランプ大統領が提出した94億ドル規模の歳出削減パッケージの審議にも影響が及んでいる。歳出削減案は水曜日に上院で修正される見通しで、下院は金曜日までに再対応が求められるが、今後の審議日程は不透明なままだ。
報道によると、下院共和党指導部は現在もマイク・ジョンソン下院議長のもとで対応策を協議中だという。
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