
高まる調整リスク
仮想通貨ビットコイン(BTC)が史上最高値12万3,000ドルを記録した後、オンチェーン分析で短期的な調整サインが確認されたようだ。クリプトクアント登録アナリストのTarekonchain氏は15日、取引所への流入急増により利益確定売りの波が発生していると分析した。

取引所流入データによると、中央集権型取引所への流入が顕著に増加し、短期保有者や一部のクジラによる利益確定活動が活発化している。この動きは通常、一時的な天井を示唆し、今後数日間の健全な調整や値固めにつながる可能性がある。
クリプトクアントのリサーチ責任者Julio Moreno氏も「ビットコインの取引所流入が史上最高値更新と同時に急増した」と指摘し、取引所流入の増加は通常、価格ボラティリティの前兆となると警告した。ただし、長期保有者は依然として保有を継続し、ETF流入も継続している。

さらに注目すべきは、14年間以上休眠していた8万BTC超を保有するウォレットが今週15日から約2万BTCの売却を開始したことだ。OnChainSchool氏の分析によると、売却はOTC取引から始まり、その後取引所へ送金されていた。
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この動きは2024年7月のマウントゴックス債権者への14万2,000BTC配布と類似しており、OnChainSchool氏は当時市場が31%下落し、価格回復に6カ月以上を要したと指摘。
同時期にはドイツ政府も映画海賊版サイトMovie2kから押収した約4万9,858ビットコインを売却した。コインベース、クラーケン、ビットスタンプを通じて約28億8,000万ドルで処分され、市場に大きな影響を与えた。
バイナンスでの動向
登録アナリストCrazzyblockk氏は、バイナンスでのクジラ活動スコアが急上昇したと分析した。昨日だけでクジラが約1800ビットコインをバイナンスに預け入れ、100万ドル以上の取引が総流入の35%超を占めた。
バイナンスは世界最大の仮想通貨取引所として全世界の現物取引量の25%超を占める。保有期間別流入データによると、通常の日次取引は3カ月未満保有の短期売買コインが中心だが、今回のクジラ流入はより長く保有された戦略的資金の市場復帰を示していると、同氏は分析した。

一方、長期保有者は依然として保有を継続しており、ETF流入とマクロセンチメントは引き続き良好。機関投資家ウォレットからの大規模な資金流出は確認されておらず、全体的な強気モメンタムは維持されている様子だ。
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