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「資産をただ持つのではなく、働かせる」 エバーノースCEOが語るXRP運用戦略

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

XRPを中核資産とするデジタルアセットトレジャリー企業Evernorth(エバーノース)。同社はSBIホールディングスから2億ドルの出資を受け、Armada Acquisition Corp. IIとのSPAC合併を通じたNasdaq上場を進めている。

WebX2026の開催時期に合わせて来日した代表取締役CEOのアシーシュ・ビルラ(Asheesh Birla)氏に、CoinPostが単独インタビューを実施した。

Asheesh Birla
Asheesh Birla(アシーシュ・ビルラ)
Evernorth Holdings|Chief Executive Officer(CEO)
シリコンバレーで25年以上の経験を持つ起業家・ブロックチェーン経営者。Ripple、MoneyGram、Bitsoなど複数のフィンテック企業で取締役を務めた。Ripple在籍時には同社初のエンタープライズ向け仮想通貨プロダクトの立ち上げに携わり、スタートアップから1,000人超の企業への成長を支えた。ウォートン校(ペンシルベニア大学)でMBA、ミシガン大学で学士号を取得。

「保有」から「稼働資産」へ

EvernorthはXRPを単に保有するのではなく、利回りを生み出す運用対象として捉えています。この戦略を選んだ理由と、これから暗号資産(仮想通貨)を保有し始める日本企業にとってどのような意味を持ちますか。

ブロックチェーンを活用する意義は、資産を保有するだけでなく、資産をより生産的にすることにあると考えています。

今日の世界では、資産を実際に動かすことは容易ではありません。多くの企業がアイドル状態の資産を抱え、個人も資産配分を最適化できていないことが多い。

私たちは単なる「受動的な乗り物」ではなく、能動的な存在であることに意義を感じています。資産を稼働させ、利回りを生み出す。

将来的に、より多くの資産がトークン化されるにつれ、Evernorthはそれらの資産もすべてオンチェーンで、より生産的にする役割を担えると考えています。そのための最適な技術がXRPだと確信しています。

関連記事:機関投資家がデジタル資産インフラに関心を寄せる背景とXRPの役割|Evernorth CEOインタビュー

EvernorthのCEO・アシーシュ・ビルラ氏が語る、デジタル資産市場の成熟と機関投資家参入の背景、XRPが担う役割、そして既存金融との連携戦略。

DATモデルの持続可能性への懸念

ビットコインやイーサリアム、XRPの価格変動を受け、DATという戦略の持続可能性について市場が懸念を持ち始めているようにも見えます。これについてメッセージはありますか。

私たちのアプローチは異なると考えています。Evernorthは受動的なデジタルアセットトレジャリーではなく、能動的な存在であろうとしています。オンチェーンで、XRPレジャー上で利回り戦略を構築していきます。

市場は、運用機能を持ち受動的でない他のデジタルアセットトレジャリーに好意的な反応を示してきたと思います。市場が下落しているような時期には、より質の高い運用体制へと資金が集まる傾向があり、私たちはその高品質な存在の一つになりたい。

もう一つ言えるのは、価格が下落していても、この金融の未来を信じるなら、各種指標は右肩上がりだということです。

XRPレジャー単体で見ても、トークン化された実物資産(RWA)は36億ドル規模に達しており、これは過去12か月で24倍の増加です。

この未来の成長と指標は非常に励みになるものであり、この方向性が正しいという裏付けになるデータポイントだと思います。

編集部注:ここで言及されている「36億ドル・24倍」はXRPレジャー単体でのトークン化実物資産(RWA)の数字。後述する「340億ドル」はオンチェーン全体のRWA市場規模を指す発言であり、対象範囲が異なる。

XRPエコシステムにおけるステーブルコインの役割

企業のトレジャリー管理やクロスボーダー決済において、XRPとステーブルコインはそれぞれどのような役割を果たすと考えますか。

XRPエコシステムを、一つの金融エコシステムとして捉えるべきです。伝統的な金融の多くの側面が、XRPレジャーのようなブロックチェーン上で再構築されていきます。

現在、株式から金、外国為替(FX)まで、多くの資産取引は米国外で行われていても米ドルで決済されています。XRPレジャー上でも、金融アプリケーションや取引の構築を進めるうえで、しっかり規制された米ドルステーブルコインの存在が非常に重要になります。

RLUSDがXRPレジャー上に導入されて以降、XRPエコシステムにおける金融取引関連の経済活動の成長を目にしています。実際、RLUSDがXRPレジャーに導入されて以来、米ドルおよびRLUSDで決済される取引は12倍に増加しました。

これは大きな成長です。理由は、世界の金融取引の多くが米ドルで取引されているためであり、現在RLUSDの47%がXRPレジャー上にあり、残りはイーサリアム上にあります。RLUSDがXRPレジャー上へ移行するにつれ、より多くの金融アプリケーションや取引に使われるようになっています。

関連記事:RLUSD(リップルUSD)の買い方・仕組みを解説|SBI VCトレードで即時購入可

RLUSDはリップル社傘下SCTC社が発行する米ドル連動ステーブルコイン。2026年6月24日SBI VCトレードで国内初の第4号電子決済手段として取り扱い開始。日本円から直接購入可・入出庫無料。仕組み・JPYSCとの違いをCoinPostが解説。

RLUSDと日本円ステーブルコインの関係

RLUSDは日本で初めて認可された海外発行のステーブルコインとなりました。日本における米ドルステーブルコインの将来をどう見ていますか。

米ドルの興味深い点は、世界のどこで取引をしていても、トップクラスの資産の多くが米ドルで決済されるということです。

日本、韓国、欧州などでFXを取引する場合、決済は米ドルになります。そのため、日本に米ドルステーブルコインがあることで、決済がずっと容易になると考えています。

オンチェーンでの取引へのエクスポージャーが得られ、市場が成熟するにつれて重要性が増します。オンチェーンのFX市場が成熟していく中で、基軸となるペアは米ドルと各国通貨になると予想しています。

今日のオンチェーンの金の取引でも、最大のペアは米ドルです。

したがって、日本経済がこうした世界的に発展しているオンチェーン経済に参加するためのアクセスを提供することになると思います。

数字は急速に伸びており、トークン化された実物資産(RWA)は現在340億ドル規模に達しています。この数字は18か月前にはごく小さいものでした。

トークン化を待つ資産はまだ数兆ドル規模あり、市場はまだ非常に初期の段階ですが、日本にステーブルコインがあることで、日本市場はこうしたオンチェーン市場の成長に参加できるようになります。

オンチェーンでの取引には米ドルステーブルコインが必要であり、それが多くの資産に対して最も流動性の高いものになります。

日本にとって、しっかり規制された米ドルステーブルコイン、たとえばRLUSDのようなものを持つことは非常に重要です。世界の外国為替市場の88%が米ドルで決済されています。

ただ最終的に、日本の国内経済には日本円が必要です。人々は日本円で支払いを行い、最終的には銀行口座へ日本円で引き出す必要があります。

だからこそ、国内経済にとってはブロックチェーンとの出入口として、質の高い日本円ステーブルコインも同様に重要だと考えています。

日本企業への提言

日本企業の多くはまだデジタル資産を保有すべきかどうかを検討している段階にあります。日本企業へのアドバイスはありますか。

デジタルアセットトレジャリーは、この資産クラスへのエクスポージャーを得るための、より取り組みやすい手段だと考えています。

特にXRPとEvernorthについて言えば、金融アプリケーションの未来はブロックチェーン上に構築されると信じています。XRPは2012年の立ち上げ当初から、ブロックチェーンを使った金融テクノロジーのために設計されたものです。

他の多くのブロックチェーンはさまざまな用途に使われていますが、XRPは金融アプリケーションのために目的を持って作られています。

日本企業がブロックチェーン上に構築される金融の未来へのエクスポージャーを求めるなら、DATはその第一歩として分かりやすい手段になります。そこから始めて、ポートフォリオを拡大していけばよいのです。

2017年、私は日本にいて、SBIがリーダーでした。SBIは2016年にリップルへ投資し、そこからどのようにリーダーへと成長したかを見てきました。最初の投資から始まり、今ではSBIが日本のブロックチェーン領域におけるリーダーです。まずは投資から始めて、そこから拡大していく。SBIと同様のやり方です。

SBIを含む10億ドル超の資金調達

Evernorthは、投資家から総額10億ドル超の資金調達を確保している。その中でSBIは2億ドルを出資し、主要株主となっています。この出資はEvernorthの事業戦略にとってどのような意味を持ちますか。

SBIから大きなコミットメントを得られたことを非常に光栄に思っています。

私たちの専門知識と経営陣は、ブロックチェーンの専門家と伝統的金融の専門家の組み合わせです。米国企業が強力な戦略パートナーなしに日本に進出するのは非常に難しく、その戦略パートナーとしてSBI以上の存在は考えられません。

SBIは経営陣を信頼し、XRPとその技術を信頼していると思っています。Evernorthへの出資についても非常に前向きだと感じています。

ナスダック上場に向けたSPAC合併

Armada Acquisition Corp. IIとのSPAC合併、そしてNasdaq上場が近づいています。これはEvernorthにとって何を意味し、SBIなど日本のパートナーにどのような影響を与えますか。

昨日、SECからのコメントを受けてS-4の最新の修正を提出しました。これも一つの節目であり、合併と株式公開に向けて前進できていることを嬉しく思っています。

これは、企業がブロックチェーン上の金融の未来へのエクスポージャーを、公開株式を通じて得るための機会になると考えています。世界中の企業や個人がこの未来へアクセスしやすくなります。

Evernorthのような存在がなければ、XRPを購入し、それを自分でカストディし、管理しなければなりませんでした。しかし株式公開によって、多くの企業がすでに慣れている「他の上場企業を保有する」という形に落とし込めます。税制の扱いにも合致します。

私たちは、公開株式を通じて企業・金融機関・個人がこのエクスポージャーを得やすくすることを目指しています。

編集部注:Evernorthは2025年10月、Armada Acquisition Corp. IIとのSPAC合併を通じたNasdaq上場を発表。SBIホールディングスの2億ドルの出資に加え、Ripple、Pantera Capital、Kraken、GSR、Arrington Capitalなどが調達を支えている。合併完了後はNasdaqにティッカー「XRPN」で上場予定。

税制改正への評価

日本は暗号資産(仮想通貨)を金融商品として位置づける法改正を進めており、最高税率55%から20%への軽減も見込まれています。この変更は、企業や金融機関のデジタル資産保有・活用の判断にどのような影響を与えると考えますか。

各国政府が仮想通貨技術を受け入れる時、税制はその一側面に過ぎませんが、適切な規制と法律があれば普及は一気に進みます。

1990年代、米国はインターネットに関して非常に明確な規制を整備し、インターネット規制のリーダーとなりました。

トップ企業の多くが米国企業でサンフランシスコなどに拠点を置いているのは、まさに1990年代からの規制面でのリードによるものです。

各国が規制を検討する際、デジタル資産についても同じ土台を整えることは非常に前向きな動きだと思います。

税制もその一つです。ブロックチェーンを使うこと、デジタル資産を保有することが、より高コストになるべきではありません。税率を下げることは、この技術の普及を後押しする可能性があります。

ただし税制だけでなく、企業内・金融機関内でブロックチェーンを使うための規制も必要です。米国では1年前にジーニアス法が成立し、それ以降ステーブルコインの普及が急増しました。日本の規制変更、そして世界各国の規制変更でも同様の結果が生まれることを期待しています。

編集部注:日本では暗号資産を金融商品取引法の対象とする法改正が7月15日の参院本会議で可決・成立しました。税制改正大綱を経て分離課税20%は2028年1月からの施行が見込まれている。

日本市場のアジアでの位置づけ

Evernorthは早い段階から日本を主要市場の一つと位置づけています。アジアの広範なデジタル金融・トークン化の展望の中で、日本の位置づけをどう見ていますか。

日本はEvernorthにとって非常に重要な市場です。

SBIとリップルへの投資に取り組んだ経験から、SBIがリップルのアジア展開にとってどれほどの触媒になったかを直接見てきました。ある国での成長を促すには、その国に強力な足がかりが必要だと学びました。特にアジアでは、パートナーシップなしに米国企業が日本で良い立場を築くのは非常に難しい。

SBIとEvernorthの関係、そして今回の出資は非常に重要ですが、日本はブロックチェーン普及のリーダーになると信じています。

政府は、より多くの資産がブロックチェーン上でトークン化されるよう正しい方向に動いていると考えています。

Evernorthは、トークン化された資産をより生産的にする、つまりより効率的なリターンを得られるようにすることで、その一助になりたいと思っています。

韓国市場との比較

過去のインタビューでは韓国も主要市場の一つに挙げていました。日本と韓国で戦略上どのような違いがありますか。両市場をどう評価していますか。

韓国と日本はいずれもデジタル資産のリーダーであり、共通点が多い。XRPは両国で高いパフォーマンスを示しています。韓国ではビットコインに次いでXRPが2番目に取引される資産であることが多く、日本でも同様の傾向があります。

現時点では日本の方が規制と普及の両面で先行していると思いますが、韓国も規制整備を進め、ブロックチェーン技術の普及を後押しすると見ています。

実際、韓国の大手投資銀行Mirae Asset(未来アセット)は韓国の仮想通貨取引所Korbit(コービット)に出資しています。

物事は日本と韓国の両方で急速に変化していますが、現時点では規制面で日本がやや先行しています。たとえば今回の税制改正のような動きです。

編集部注:韓国の未来アセットは2026年7月、公正取引委員会の承認を受けKorbit株式の92.06%を取得。同月末には97.15%まで買い増しした。韓国の財閥系金融グループが仮想通貨取引所を買収するのは初めての事例。

日本語アカウント開設の意味

WebXの前日である7月12日、Evernorthが日本語のXアカウントを開設しました。これは日本市場への正式な参入を意味するのでしょうか。

市場に参入する前にまず必要なのは、しっかりとしたアンカーパートナーを得ることです。SBIによるEvernorthへの出資が、そのアンカーパートナーの役割を果たしています。

次に必要なのは、金融機関にこの技術を教育することです。早い段階から、日本の読者向けに現地語での翻訳とコンテンツ制作が必要だと言われてきました。

今回の日本語アカウント開設は、日本における存在感を示す次の一歩です。最初のステップはSBIとの提携による出資確保であり、これはすでに達成されました。次のステップは、Evernorthやトークン化、XRPについて市場を教育していくことであり、今まさにそのフェーズにいます。

日本の投資家へのメッセージ

日本では個人投資家・機関投資家ともにデジタル資産に対してまだ慎重な姿勢が見られます。読者や投資家、日本企業に向けて伝えたいメッセージはありますか。

世の中には数多くのブロックチェーンがあり、NFTに特化したものもあれば、カジノなどさまざまな用途に使われているものもあります。

しかしXRPは、立ち上げ当初から金融の未来を構築するために存在してきました。金融の未来のために目的を持って設計された最初のレジャー技術であり、それには長い時間がかかるものです。2012年にスタートし、2026年の今、ようやく普及の指標や規制の進展が見え始めています。

これは息の長い道のりですが、私の考えでは、金融市場・金融の未来はXRPレジャーのようなブロックチェーン上に構築されていくと信じています。

今後5年のビジョン

EvernorthとXRPの今後5年の計画を教えてください。

5年後、Evernorthはオンチェーンでトークン化された資産をより生産的にすることのリーダーになりたいと考えています。

まずはXRPから始めますが、オンチェーン資産全般をより生産的にしていきたい。XRPから始め、それを稼働させ、XRPを中心とした利回り戦略を構築していきます。

さらに、その利回り戦略をXRPレジャー上のDeFiという技術そのものを使って直接構築することにも期待しています。

それがうまくできるようになれば、オンチェーンで利用可能になる他のトークン化資産にも展開していきたい。

Evernorthは、資産がトークン化された後、企業や個人がその資産をより生産的に活用できるようにするリーダーとして見られるようになりたいと思っています。

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