近年、金(ゴールド)に裏付けられた暗号資産(RWAトークン)の市場が急拡大しています。トークン化された金は、金庫に保管されている実際の物理的な金によって裏付けられ、毎月の証明報告書によって検証されています。
2025年12月時点、トークン化された金市場の時価総額は41億ドルを突破し、デジタルゴールドとしての活用が進行。世界的な経済不安の中で安全資産としての需要が高まる中で、Paxos Gold(PAXG)やTether Gold(XAUt)などの主要トークンの取引量も増加しています。
その後も市場は拡大を続け、2026年に入るとスポット取引量が急増。2026年1月には金価格が史上最高値を更新した局面と重なり、トークン化された金の時価総額は一時60億ドル超まで拡大しました。2026年9月上旬時点では、金価格の調整とともに時価総額は45億〜60億ドル前後で推移しています(数値は概算)。
目次
- 主要な金トークンの市場規模
- 主要取引市場
-
代表的な金トークン
4-1.Paxos Gold(PAXG)
4-2.Tether Gold(XAUt) - 注目トピック
- 金商法改正で広がる税制優遇の可能性
- 国内で投資可能な金トークン
- まとめ
主要な金トークンの市場規模
2026年9月上旬時点で、主要な金トークンの市場規模と取引高は以下の通り(CoinGecko調べ)。
| トークン | 時価総額 | 24時間取引量 | 価格 |
|---|---|---|---|
| Tether Gold (XAUt) | 約27.0億ドル | 約1.1億ドル | 4,403.33ドル |
| Paxos Gold (PAXG) | 約19.0億ドル | 約7,118万ドル | 4,402.67ドル |
| Kinesis Gold (KAU) | 約3.4億ドル | 約11.2万ドル | 142.51ドル |
| Matrixdock Gold(XAUM) | 約7,175万ドル | 約45.2万ドル | 4,393.47ドル |
時価総額・取引量ともにPAXGとXAUtが市場をリードしており、流動性の高さが際立ちます。
※CoinGecko等調べ、2026年9月上旬時点の概算。数値は変動します。
主要取引市場
金トークンは中央集権型取引所(CEX)と分散型取引所(DEX)の両方で取引されています。
CEX(中央集権型取引所)
XAUtはBitfinex・OKX、PAXGはBinance・KuCoin・Krakenなど、大手グローバル取引所に幅広く上場しています。主要な取引ペアはXAUt/USDT・PAXG/USDTで、USDTやBTCとのペアを軸に活発に取引されており、価格差を利用したアービトラージ(裁定取引)も日常的に行われています。
DEX(分散型取引所)
DEXではUniswapを中心に取引が行われており、PAXG/ETH・XAUt/ETHなどのプールが存在します。CEXに口座を持たずウォレットのみで取引できる一方、CEXと比べて流動性は限定的で、大口取引時のスリッページ(想定価格との乖離)に注意が必要です。
総じてCEXが取引量・流動性の中心を担い、DEXはウォレット完結型の取引ニーズを補完する位置づけとなっています。
代表的な金トークン
数ある金トークンの中でも、時価総額・取引量の両面で市場をリードするのがPaxos Gold(PAXG)とTether Gold(XAUt)の2銘柄です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
① Paxos Gold(PAXG)
- 流通基盤:イーサリアム、ソラナ
- 時価総額:約19.0億ドル(24時間取引量:約7,118万ドル、価格4,402.67ドル、2026年9月上旬時点)
- 裏付け資産:ロンドンのグッド・デリバリー・バー(1トロイオンス)
- 規制:ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の監督下
- 主な取引所:Binance、KuCoin、Kraken
- メリット:保管料ゼロ、最低購入額20ドル、即時決済可能
- 流動性:XAUtと並ぶ主要2銘柄の一つとして高い流動性を持つ。主要CEX・DEXでの取引が活発。
- 公式サイト:Paxos Gold 公式サイト
② Tether Gold(XAUt)
- トークン形式:ERC-20(イーサリアム)
- 時価総額:約27.0億ドル(24時間取引量:約1.1億ドル、価格4,403.33ドル、2026年9月上旬時点)
- 裏付け資産:スイスの金庫で保管(1トロイオンス)
- 規制:透明性に関する懸念あり(監査情報が限定的)
- 主な取引所:Bitfinex、OKX、Uniswap(DEX)
- メリット:Uniswapで取引可能、アクセスが容易
- 流動性:PAXGに次ぐ取引高だが、取引所の選択肢はやや限定的。
- 公式サイト:Tether Gold 公式サイト
金に裏付けられた仮想通貨の中でも、Paxos Gold(PAXG)とTether Gold(XAUt)は、市場規模・取引量ともに圧倒的な存在感を誇ります。しかし、どちらも中央集権型取引所(CEX)での取引が中心であり、分散型取引所(DEX)での出来高は比較的少ない状況です。
なお、大手DeFi(分散型金融)レンディングプロトコルのAaveでは、XAUtの預け入れに対応しています。一方、PAXGについては2025年12月時点でAaveやCompoundでの対応は確認されていません。
また、DEX(Uniswap)での取得自体は可能であり、PAXGやXAUtの取引ペアが存在します。CEXを介さずに取引したい場合は、MetaMask(メタマスク)を取得し、Uniswapの利用方法を確認するとよいでしょう。
関連:メタマスク(MetaMask)の使い方完全ガイド|送金・スワップ・ガス代節約・トラブル対処【2026年版】
注目トピック
金トークン市場は2024年から2025年にかけて30%以上の成長を遂げた後も拡大が続いています。政府主導の金トークンとして、キルギスのUSDKGのような国家支援型のデジタルゴールドが登場し、信頼性の高い選択肢として注目されています。特に、経済不安が続く新興国では、金に裏付けられたデジタル資産への関心が高まっています。
金価格の値動きも市場の追い風となっています。2025年3月には史上初めて1トロイオンスあたり3,000ドルを突破し、その後も上昇を継続。2026年1月28日には史上最高値(Tether Gold基準で1トロイオンスあたり約5,500ドル、Paxos Gold基準で約5,619ドル)を記録しました。その後は調整局面に入り、2026年9月上旬時点では4,400ドル前後で推移しています。史上最高値からの下落を経てもなお、金トークン市場全体の時価総額は2025年12月時点の41億ドルから大きく拡大した水準を維持しており、資金流入は継続しています。
金商法改正で広がる税制優遇の可能性
2026年7月15日、暗号資産(仮想通貨)を金融商品として初めて位置づける金融商品取引法の改正法が参院本会議で成立しました。対象となる「特定暗号資産」については、現行で最大55%が課される総合課税から、株式や投資信託と同様の申告分離課税(税率20%)への移行が見込まれており、施行が2027年度となる場合、税制変更の適用は2028年1月からの見通しです(詳細は金融庁の発表を参照)。
日本経済新聞は2026年9月7日、この動きが金(ゴールド)に裏付けられた暗号資産(金トークン)にとって追い風になるとし、三井物産グループが発行するジパングコイン(ZPG)のようなデジタルゴールドが、税制面で金ETF並みの扱いに近づく可能性を報じました。ただし、対象範囲や適用時期の詳細は制度設計の途上であり、確定した内容ではない点に留意が必要です。
金商法改正の全体像・ETF解禁への道筋・NISAとの関係については、暗号資産ETF 日本解禁へ|金商法改正で何が変わる?対象銘柄・NISA・スケジュールを徹底解説【2026年】で詳しく解説しています。
国内で投資可能な金トークン
日本でも、ブロックチェーン技術を活用した金トークンが登場し、従来の金ETFや金現物投資よりも柔軟な資産運用手段として注目されています。
ジパングコイン(ZPG)
- 発行会社:三井物産デジタルコモディティーズ株式会社
- 時価総額:17.8億円(2025年10月時点)
- 特徴: 金1グラムと等価の価値。株式会社デジタルアセットマーケッツを介して各暗号資産取引所や投資家に販売。
- 取扱拡大:2026年4月にGMOコイン(OPメインネット対応)、2026年8月末にコインチェック(イーサリアム)で新たに取扱いが開始され、国内での購入経路が拡大している。
- 関連銘柄:銀に連動する「ジパングコインシルバー(ZPGAG)」、プラチナに連動する「ジパングコインプラチナ(ZPGPT)」も展開中。
- 公式サイト:三井物産デジタルコモディティーズ プレスリリース
PAXGやXAUtとは異なり、日本の金融機関が発行する金トークンは、国内の規制下で運用され、信頼性の高い選択肢として長期投資家にとって魅力的です。
まとめ
金価格の変動を背景に、金トークン市場は2026年に入って一段と拡大し、時価総額は一時60億ドル超に達しました。政府主導型のトークン化が進む国も現れ、金のデジタル化は新たな投資手段として確立されつつあります。
特に、インフレリスクや地政学リスクに対するヘッジ資産としての需要が高まっており、PAXGやXAUtのような流動性の高いグローバル市場向けトークンだけでなく、国内発行の金デジタル資産(ZPG)も取扱取引所の拡大により存在感を増しています。加えて、金商法改正に伴う税制優遇の議論は、金トークンへの追い風として今後の展開が注目されます。
投資家は、価格変動の影響を踏まえつつ、取引のしやすさや規制面での安全性、そして今後の税制動向を見極めた投資戦略が求められます。
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