- 法案頓挫後、BTCは8%高、NEARは約2倍に
- 2029年の新政権発足がリスク
クラリティー法案頓挫後に相場上昇
米仮想通貨運用会社ビットワイズの最高投資責任者(CIO)マット・ホーガン氏は9月30日、米上院で仮想通貨市場構造法案(クラリティー法案)が頓挫した後も相場が上昇した理由を分析するメモを公開した。同氏は「仮想通貨は長期的な確実性と引き換えに、より良いルールをより早く手に入れた。悪くないトレードオフだ」と結論づけている。
上院は9月15日、同法案の討論を打ち切って採決に進むための動議(クローチャー動議)を49対50で否決した。可決に必要な60票には届かず、3年に及んだ交渉は行き詰まった。ホーガン氏によると、否決以降にビットコイン(BTC)は8%、イーサリアム(ETH)は7%上昇した。NEARは104%高と約2倍に。ユニスワップ(UNI)は49%、アバランチ(AVAX)は43%それぞれ値を上げた。
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ビットワイズが主要機関投資家15社への聞き取り調査を公表。仮想通貨市場が約50%下落した局面でも配分を減らした機関はなかった。ビットコインを軸に据え、イーサリアムやソラナを条件付きで保有する実態や、普及を阻む障壁も浮かんだ。
恩恵を受ける4つの分野
同氏は法案の頓挫で恩恵を受ける分野を4つ挙げた。1つ目はステーブルコインだ。銀行業界はクラリティー法案を通じてステーブルコインへの利息支払いを封じようとしていたが、2025年に成立した米ステーブルコイン法が禁じるのは発行体による利息支払いにとどまる。このため、コインベースなどの取引所は顧客のステーブルコイン残高に対し、連邦レベルの上限なく報酬を支払える状態が続くという。
2つ目は仮想通貨取引所。クラリティー法案が成立していれば、全米共通の現物取引所ライセンスが新設され、取引所機能とブローカー機能の分離も求められていた。同氏は、法案の頓挫でコインベースやクラーケンといった既存大手の優位性が保たれるとみている。
3つ目はトークン化プラットフォームだ。法案はトークン化についてSECに調査を義務づける内容だったが、SECは否決から2日後の9月17日、トークン化された米国株を参加者限定のAMM(自動マーケットメイカー)や流動性プールで取引することを認める免除措置を発表した。取引の場は取引所としての登録が不要となる。有効期間は5年で、対象は上場米国株に限られ、銘柄数や取引量にも上限が設けられる。ホーガン氏はSecuritizeなどが恩恵を受けると指摘する。
4つ目は収益を生むトークン。SECの企業金融局は9月25日、すでに機能しているネットワークのトークンであれば、買い戻し(バイバック)計画を発表しても証券に該当する根拠にはならないとするFAQを公表した。クラリティー法案では残っていたはずの曖昧さが取り除かれたと、同氏は評価している。
迅速な規則整備と2029年のリスク
ホーガン氏は今回の構図を、法律による長期的な確実性を手放す代わりに、既存の行政権限のもとでより有利なルールを早く得た取引だと整理する。法案が成立していれば、ステーブルコイン報酬の制限が加わり、トークン化をめぐるSECの対応も調査の完了を待つ必要があったとの見方だ。
主なリスクは2029年1月の新政権発足にある。新政権がより厳格なSECとCFTCの指導部を任命すれば、現在の有利な規制判断が覆る可能性がある。SECのFAQ自体にも法的拘束力はない。ただ同氏は、2029年までに世界の大手金融機関がブロックチェーン上での事業構築を何年も続けていることを踏まえると、大きな巻き戻しが起きる可能性は低いとの考えを示した。
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米国の暗号資産規制を担う「ジーニアス法(GENIUS Act)」と「クラリティー法案(CLARITY Act)」。ステーブルコイン発行者を規制する成立済みのジーニアス法と、SEC・CFTCの管轄を整理する審議中のクラリティー法案の違いを、比較表とともに初心者向けに解説します。



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