- 7種類の計算手順で量子ビットと演算回数を削減
- クロードが53時間でほぼ自力で新方式を考案
AIが計算手順を設計
米国人工知能大手アンソロピックは16日、同社のAI「クロード」が量子コンピュータの計算手順を8種類、自律的に設計したと発表した。仮想通貨の暗号を破る計算に使う1種類を除く7種類は、量子ビット(情報を担う単位)の数も演算回数も従来の最良設計より減り、改善幅が10倍以上の例もあった。
仮想通貨との関わりでは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)が取引の署名に楕円曲線暗号を使っている。現在のコンピュータでは公開鍵から秘密鍵を現実的な時間で逆算できず、これが資産を守る仕組みだ。十分な規模の量子コンピュータなら逆算でき、秘密鍵が割り出されると第三者が資産を動かせる状態になるとされる。
この逆算には、楕円曲線という数学の曲線が関わる。曲線上の2つの点から3つ目の点を求める計算を「点の加算」といい、アンソロピックによると、逆算を解く量子コンピュータの計算は、この加算を何度も繰り返す。計算コストの大半も、この加算が占める。
このコストを減らす必要がある背景には、現在の量子コンピュータの量子ビットが数百から数千個にとどまる事情がある。アンソロピックは、限られた量子ビットで役に立つ計算を動かすには、必要な量子ビット数と演算回数を減らす計算手順の設計が欠かせないとしている。
そこで同社は、計算手順の仕様を平易な文章でクロードに与え、設計の正しさを検証して、量子ビット数に演算回数を掛けた値(実行時間の目安)で採点するプログラムも用意した。クロードは採点結果を受けて、設計案の提出と改良を繰り返した。
8種類のうち残る1種類は、暗号を破る計算で最もコストの大きい「点の加算」で、ほぼ人手を介さない53時間の作業で新たな計算方式を導いた。新方式から生まれた設計の1つは、従来の最小設計より量子ビットが12%多い一方、演算回数が17分の1になった。
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仮想通貨への影響と今後
仮想通貨への影響を巡っては、グーグルが3月、ビットコインの署名暗号を破るのに必要な量子ビットは50万個未満との推計を発表している。現在の量子コンピュータの規模はこれを大きく下回り、解読は実現していない。
ただし、アンソロピックの発表は仮想通貨に直接言及しておらず、暗号を破るのに必要な量子コンピュータの規模も示していない。アンソロピックは今後、量子コンピュータを構成する各部品をAIが一括で最適化し、特定の問題向けの量子コンピュータ全体を設計できる可能性があるとしている。
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