仮想通貨の使用例トップは食品・衣料品購入=現実とのギャップから見た普及への課題
仮想通貨に対する使途調査で食品がトップ
世界有数の製作・デザイン企業の作品及び事業紹介を行うウェブサイト、Visual Objectsが行った仮想通貨に対する認識及び使途調査で、食品や衣料品の購入が最も一般的な仮想通貨の使い道だという結果が明らかになった。
オンライン決済プラットフォームの使用経験があるアメリカ人938人を対象にしたこの調査では、84%が仮想通貨の投資経験がないと回答。そのため、仮想通貨の使途に対する一般的な認識調査という意味では参考になるが、実際の使途については、母集団が16%にあたる150人と限定的であることを念頭に置いて、論を進める必要がある。
仮想通貨使用に対する認識と現実
この調査結果で最も注目されるのは、仮想通貨がどのように使用されているかの一般的なイメージと、現実との大きな相違だろう。
仮想通貨で購入するものとして、どのようなものが対象となるかについて、一般的な認識は次のとおりであった。
- 株式 40%
- 不法・違法品 30%
- 電子機器 23%
- 金(ゴールド) 21%
- 衣料品 15%
- 不動産 15%
- 食品 14%
これに対し、実際に購入経験のある品物は以下となっている。
- 食品 38%
- 衣料品 34%
- 株式 29%
- 金(ゴールド) 21%
- 武器 15%
- 麻薬 11%
一般に考えられているような違法品の購入ではなく、実際には食品や衣料品などの日常用品に仮想通貨が使われていることが明らかになっている。この事実はブロックチェーンデータ分析企業、チェイナリシス(Chainalysis)が発表した、2019年の全仮想通貨取引における不正使用が1.1%に止まったという調査結果と合致する。
なお、上記の調査結果を見ると、武器や麻薬の購入にも仮想通貨が使われているようだが、一般に銃の所持が許可されているアメリカで、その全てが違法だとは一概に言うことはできないと思われる。
過去の負のイメージを引きずる仮想通貨
2013年に閉鎖された史上最大の闇サイト「シルクロード」における取引に、ビットコインが使用されていたことから、「仮想通貨は違法取引に使用されるもの」というイメージが生まれ、いまだにそのネガティブな認識は完全に払拭されていないようだ。
英エコノミスト誌と仮想通貨金融サービス会社Crypto.comが、3000人を対象に共同で行ったデジタル通貨に関する調査によると、仮想通貨に対する信頼性は、未だ非常に低いことが明らかになった。
現金に対する信頼度は84%、中央集権的な発行母体を持つ三種類のデジタル通貨=1.中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)、2.国際金融企業発行、3.国際テクノロジー企業発行は、それぞれ54%、40%、36%であるのに対し、ビットコインやイーサリアムに代表される分散型の仮想通貨は26%にとどまっている。一方、これらの分散型仮想通貨が信頼できないとの回答は38%にも上った。
仮想通貨普及に向けて
仮想通貨普及のハードルの一つとして、テクノロジーに対応するための能力とスキルが挙げられている。 同調査ではこの課題を裏付けるように、大学以上の学位を持つ回答者が、仮想通貨を使用する傾向はそれ以下の学歴の回答者の2倍以上高いと言う結果も示された。
またデジタル通貨の普及の課題については、デジタル通貨がよく理解されていない(44%)ことを筆頭に、どこで購入できるか知らず(25%)デジタル通貨の購入が煩雑(25%)であるとともに、使用できるオプションが限られている(25%)との回答が寄せられた。
さらに、デジタル通貨に関しては、データのプライバシー(61%)と、サイバーセキュリティなど安全性(32%)に関する懸念も強いことが明らかになった。
Crypto.comのCOOであるEric Anziani氏は、この調査結果を踏まえ、仮想通貨業界が普及を促進するためのより堅牢な基盤を構築するためには、データプライバシー、セキュリティ、そして教育が最も重要な分野であると述べた。
特に普及のハードルを下げる「仮想通貨に対する教育」という面では、仮想通貨メディアが果たす役割も大きいため、今、足元からできることを着実に進めていくことの重要性を改めて感じさせられている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します