英フィンテック企業開催の仮想通貨取引アルゴ開発コンテスト、名門大学の学生が競う
仮想通貨の取引アルゴリズムを考案
英ロンドンのフィンテック企業APEX:E3が、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースやFTXなどと提携して、学生向けコンテストの開催を発表した。
英オックスフォード大学や英ケンブリッジ大学の数学科およびコンピュータサイエンス科の学生が、アルゴリズムによる取引を考案して競うものだ。
15チームがAPEX:E3の提供するAPIを使用してアルゴリズムを構築し、CoinbaseProとFTXでスポットマーケット取引を実行する。各チームは、技術サポートや取引に関する助言を受けられる仕組み。
12月には投資収益率、取引戦略、システム設計などの面から最終審査が行われ、コンテストに勝利したチームには、シードキャピタル(事業立ち上げ資金)と取引によるリターンが与えられるという。
APEX:E3によると、学生たちはすでに、様々なアルゴリズムのアイデアを考案しており、それらの中には裁定取引(アービトラージ)、機械学習、過去のデータで訓練されたニューラルネットワーク、時系列予測に基づくトレンド投資などが含まれている。
ケンブリッジ大学コンピュータサイエンス学科のQuentin Stafford-Fraser博士は、次のように期待を表明した。
アルゴリズムによる取引は、最先端のコンピュータサイエンスの多くの分野を活用する重要な使用例の一つだが、APEX:E3はそれをコンテストにすることで、学生がこの業界について学び、この分野の特定の課題に創造性と専門性を発揮するための、楽しくリスクのない方法を生み出した。
各チームがどのようなアイデアを出すのか楽しみにしている。
コンテストにはコインベースとFTXの他にも、SIX Digital Exchange、LMAX Digitalなどの仮想通貨取引所や、イーサリアムのエコシステムを支援するConsenSys Meshも提携企業として参加している。
仮想通貨業界の人材育成の必要性
SIX Digital ExchangeのCEO、Tim Grantは業界の人材育成の必要性に触れて、次のように語った。
2020年代の進化する資本市場では、デジタル資産やデジタル資産データを分析する技術の分野で、新たなレベルの革新と進歩が必要となる。また、この進化を推進するための人材を育成する必要がある。
ケンブリッジとオックスフォードの優秀な学生を対象とした刺激的なチャレンジは、こうした要素をすべて含むもので、コンテストをサポートできることを嬉しく思う。
APEX:E3のCEO、Usman Khan氏は、来年にはコンテストに参加する大学を増やすことも考えていると述べた。
2019年夏には、リップル社の「社会的影響」部門責任者Ken Weber氏が、ロックチェーン人材の教育および育成の重要性を訴えている。
2019年時点で、世界の上位50大学の40%以上が、様々な分野に関連したブロックチェーン・暗号資産のクラスを提供しているものの、必要とされるスキルとの間にギャップがあることから、実際に求められる業務に即したカリキュラムを提供する必要があると指摘した格好だ。
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今回のコンテストは、こうした必要性を満たす試みとなりそうだ。
主催企業であるAPEX:E3は、起業家、技術者、トレーダーから構成されるスタートアップで、CoinbasePro、FTX、バイナンスなど20以上の仮想通貨取引所からリアルタイムの注文板を取り込み、分析するビッグデータ分析アーキテクチャを構築している。従来型資産を横断するアセットデータ分析も開発予定だ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します