仮想通貨ビットコインの「未確認取引数」が急増、考えられる影響と背景
ビットコインの未確認取引数急増
暗号資産(仮想通貨)ビットコインのネットワークで、BTCの未確認取引数が急増していることがわかった。
BTC情報アラート(@btc_status)によると、その数は11月30日夜の価格上昇に伴い増加しており、12月1日の朝8時時点で、89,751に及んでいる。
未確認取引数はビットコインの混雑度を示す「メモプール(mempool)」を示す。メモプールは、新しいブロックチェーン取引が承認される前の記録場所だ。
ビットコインの採掘(マイニング)では、莫大な計算能力を使って正しい「ナンス(Number used once)」を競争相手の中で最初に探し当てた採掘者が、メモプールからブロックを作成し、ブロックチェーンにつなげる権利を獲得する。
未承認取引数の増・減は、ネットワークにおける送金詰まりやトランザクション手数料の高騰に繋がることがある。
未承認取引数は送金詰まりを見るデータであることから、数値の急増は価格高騰に伴う売買需要や価格乱高下に伴う裁定取引(アービトラージ)需要などを意識したトレードの注目ポイントにもなり得る。裁定取引の仕組みにもよるが、グローバルに送金が可能な仮想通貨の仕組みから、売買時に送金を挟むケースもあり、遅れて着金したコインが売り圧力になることは市場に一定の警戒感を招く。
トランザクション手数料は上昇傾向
bitcoinfees.earn.comで手数料と承認時間の状況を確認すると、送金が遅延しない(待機時間ゼロの可能性が高い)手数料のゾーンは、102〜129+Satoshi/byte。送金をスムーズに行える最安値基準では、手数料が増えている状態が確認される。
平均手数料のデータでも、仮想通貨バブルが弾ける2018年2月ごろの水準に戻っており、手数料の観点から、高騰局面での送金詰まりなどから、一刻も早く送金完了させるべく手数料上昇を招いている可能性がある
ハッシュレートは下落傾向
一方、ビットコインのハッシュレート(採掘速度)は下落傾向にある。ハッシュレートと未確認取引数の関係として、ハッシュレート減少によりオンチェーン取引を処理する能力が落ちるため、待機する未確認取引数が増えることになり得る。
ハッシュレートの減少の背景としては、中国雲南省の電力会社が仮想通貨マイナーに対して電力提供を停止していることなどがあると見られる。
中国事情に詳しい有識者のWu Blockchain氏は1日、雲南省宝山市の電力会社が仮想通貨採掘業者への電力提供を停止する旨を伝える通知を発出したとする内容を投稿。「宝山電力会社」が11月30日に通知を出し、12月1日の0時より電力供給を停止する予定であることを伝えている。一部の業者が影響を受け、マシンの運転を止めている状態が考えられる。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します