経済制裁回避のため仮想通貨マイニング
ベネズエラ政府の軍隊が、仮想通貨ビットコイン(BTC)のマイニングを行うセンターを発足させた。米国の制裁を回避して「封鎖できない収入」を生み出すことが目的で、同国の仮想通貨規制当局Sunacripも後ろ盾となる。
ベネズエラ軍の仮想通貨マイニングセンターは、Agustín Codazzi Engineer Conditioning 題61旅団の元に施設を設立した。
センター立ち上げのセレモニーは、旅団のLenin Herrera司令官が主催し、ベネズエラで最高位の軍人の1人Domingo Hernández Lárez少将や、Sunacripと民間の仮想通貨マイニング企業Crypto&Tradingの代表者も参加した。
旅団は、この仮想通貨マイニングセンターの様子を説明する動画をInstagramに投稿。軍人が数多くのマイニングマシンを設置する様子が映し出されている。
動画では、これらのマイニングファームが、ベネズエラ国民の生活に悪影響を及ぼしている「米国により操作される法定通貨システム」を打ち負かすことを可能にすると説明している。
Lenin Herrera司令官は、センター設立について次のように述べた。
民間と軍の強固な同盟により、制裁で封鎖できない収入源を確保するため、仮想通貨生産の時代が始まる。
経済封鎖とハイパーインフレが背景に
この仮想通貨マイニングセンターは、10月にベネズエラで承認された封鎖防止法の一環として行われた。
この法律は、ベネズエラ政府に米国の制裁による経済、商業、金融面の封鎖に立ち向かうメカニズムを与えるものだ。「技術者、学者、企業、労働者評議会などから、戦略的セクターへの投資を確実にする」もので、法律が制裁措置により、適用できない、または非生産的になった場合、それを一時停止することもできる。
ベネズエラでは、ハイパーインフレにより法定通貨「ボリバル」が機能不全に陥っており、民間でも貯蓄を守る手段として仮想通貨が利用されている。政府は金融封鎖対策で、世界で初めて国家による仮想通貨「ペトロ」を発行するなどしたが、今ではビットコイン等の送金や決済にも力を入れている。
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米国の対応
一方、懸念すべきは経済制裁逃れに対する米国の対応だ。
米国はベネズエラの仮想通貨をめぐる活動を注視しており、米海軍のCraig Stephen Faller提督は、マドゥロ政権の仮想通貨使用を、麻薬密売やテロリズムとも関連付けて監視していると発言している。
一方で、11月に米国の仮想通貨決済企業サークル社が、米ドルを裏付けとするステーブルコインUSDCを使用して、「コロナウィルスと戦う」ベネズエラの医療従事者を支援した際には、米国政府も協力した。
ただし、現マドゥロ政権に対してではなく、野党指導者グアイド氏を正当な政府トップと認識し、同氏側の口座に入金したもの。グアイド氏は、2019年1月に暫定大統領への就任を宣誓し、米国をはじめとする多数の西側諸国から支持を取り付けている。
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