BTC採掘プールの大半がアップグレード支持
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)ネットワークへの「Taproot(タップルート)」アップグレードの適用について、BTCマイニングプールの大半が支持していることがわかった。
同アップグレードにより、ビットコインのスマートコントラクトの柔軟性や、ネットワークのプライバシーが強化される見込み。
11月29日時点で、BTCマイニングプールの計82%がサポートを発表。大手マイニングプールPoolin、F2Pool、Antpool、BTC.comが支持を表明しており、これらのプールを総計すると、マイニングハッシュパワーの50%以上を占めることになる。
また、仮想通貨取引所の保有するマイニングプールに関しては、10%以上のシェアを持つHuobiもアップグレードに賛成したが、BTCハッシュレートの10%弱を占める大手取引所バイナンスのBinance Poolは、現時点では「Taproot」を支持するかの態度を表明していない。
「Taproot(タップルート)」の利点とは
「Taproot」は、暗号を署名するアルゴリズムSchnorr(シュノア)署名スキームをMASTおよびTapscriptと呼ばれる新しいスクリプト言語と組み合わせた技術。複雑性の高いスマートコントラクトを、低コストで、比較的高いプライバシーをもって利用するために標準化された構造のようなものだ。
シュノア署名は、送信先が単独である場合にトランザクションの署名をまとめることが可能となる技術で、署名のデータサイズを削減できる。ブロック内の署名データサイズ縮小による、ネットワークのスケーラビリティ改善も期待されている。
これまでは、ユーザーが複雑なスマートコントラクトを用いる場合は、送金時にその使用条件をすべて開示する必要があり、記録コストやプライバシーの面で好ましくなかった。「Taproot」を使えば、署名による送金を、普通のBTCトランザクションと区別できない見た目で送金できるようになる。
また、ビットコインのブロックを小さく保ち、ブロックスペースにできるだけアクセスできるように設計されてもいる。
さらに、スマートコントラクトで「Lightning Network(ライトニングネットワーク)」を利用した送金の利用コストを下げる効果も期待できる。
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ライトニングネットワークは、既存のオフチェーンペイメントチャネルを介した取引を可能にするもので、ユーザーがオフチェーン取引のために、新たなペイメントチャネルを立ち上げる手間やコストを省き、スケーラビリティ向上にも貢献する。
Lightning Networkとは
ビットコインのスケーラビリティ問題解決のため、取引承認をブロック以外でも可能にする、パブリックブロックチェーンの2nd Layerに当たる技術。 直接繋がりのない2者間でのマイクロペイメント(1円以下の小額送金・少額決済)を実現することができる。
シュノア署名と一緒に統合
Taprootは、匿名機能強化技術であるMASTとシュノア署名のメリットを融合するソリューションであるため、BTCネットワークにはシュノア署名と同時に実装される予定。現在すでに、ネットワーク基盤のソフトウェア「ビットコインコア」にTaprootとシュノア署名の両方が統合済だ。
二つの技術は、ビットコインのブロックサイズを小さくする効果も有しており、BTCブロックチェーンのスケーラビリティ向上の面でも注目される。
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