企業発行の仮想通貨を『証券認定』 イスラエルで新事例

イスラエル当局がトークンを証券認定した理由

イスラエル証券庁(ISA)が、ブロックチェーン・スタートアップ企業Kiroboが発行予定のトークン(仮想通貨)について証券と認定し、証券規制の対象になると決定したことが分かった。地元メディアが報道した。

Kiroboは、このトークンについて、セキュリティトークンではなくユーティリティトークンであるため、規制対象とすべきではないとISAに訴えていた。しかしISAはトークンは資産ではなく証券に分類されると結論した形だ。

ユーティリティトークンは、製品やサービスをユーザーに提供する目的で発行されるトークンのこと。一方で、セキュリティトークンは通常の証券のように、投資契約とみなされるもので、基準としては「投資先から収益が期待できる」「投資先が共同事業である」「プロモーターやサードパーティによる利益が期待できる」などから判断されることが多い。

今回、ISAは「トークンを保有するリスクがある」「トークン購入者が、短期または長期のリターンを受け取ることを期待する」ことを証券と認定した理由に挙げた。またKiroboにはトークンの0.8%を保持する計画があるが、このことはトークンの価値を高めようと計画していることを示すものだとも付け加えた。

「このトークンを金融の目的で、また価値が上がることを期待して購入する投資家がいる可能性があり、このことは証券への投資を特徴づけるものだ」とも表明している。

米証券取引委員会について

あるトークンが証券であるか否かは度々問題になるが、最近の大きな事例としては、暗号資産(仮想通貨)XRPが有価証券であるとして米証券取引委員会(SEC)が訴訟を起こしたことがある。

SECは2013年から約7年間に渡って、有価証券登録を行っていない仮想通貨XRPを販売し、1300億円を超える資金を調達したとして、リップル社やGarlinghouse CEO、共同創設者のChris Larsen氏を相手方として正式に訴訟を起こした。

弁護士のPalley氏によれば、SECの訴状には「リップル社と役員はXRPの販売で720億円以上の利益を得ていた」「2018年3月、Garlinghouse氏がCNBCの番組に出演し、リップル社はXRPを大量に保有しているため、XRPの成功を望んでいると発言した」「XRPの上場のために、2017〜2018年の間、10社以上の取引所に上場手数料を支払っていた」などのポイントがあるという。

関連:リップル訴訟まとめ──仮想通貨XRPへの影響・弁護士の見解

「Howei test」が有価証券である根拠の一つ

なお、SECは、XRPが証券である根拠の一つとして、ハウェイテスト(Howey test)を挙げている。

これは、特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテストで、1946年のHowey社訴訟事件の際に裁判所が「投資契約」の判断基準として定めたもの。いくつかのICOプロジェクトがこのテストスコアを計算して、トークンの「証券性」を検証している。

「資金を集めているか」「共同事業であるか」「収益性があるか」という3つの要素を柱にしており、この3要素のそれぞれについて、さらに細かくスコアを出していく仕組みだ。例えば、「収益性があるか」の要素については「トークンがどのような機能を持つか?」という質問を含んでおり、「従来の証券投資家としての権利が与えられている」場合は100pt、「トークン保有者だけが利用可能な機能を持つ」は0ptというように、数多くの設問の答えを加算していく。

一方でSECに対してリップル社の弁護士は「XRPは、SECがこれまでに提起してきた他のICOのケースとは似ても似つかないものであり、本件はHoweyテストによる判断基準を拡大解釈している」と反論した。

ハウェイテストの詳しい仕組みは以下の過去記事に掲載されている。

関連:仮想通貨が「証券」に該当するかを判定するHowey(ハウェイ)テストとは

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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