米FRB、デジタル通貨(CBDC)研究の監督マネージャーを求人募集
「デジタルイノベーション政策プログラム」の責任者を公募
米連邦準備制度理事会(FRB)が、ステーブルコインや中央銀行デジタル通貨(CBDC)の性質を検討するプログラムのマネージャーを求人募集していることが分かった。
求人は、ビジネスSNS「LinkedIn」上で「デジタルイノベーション政策プログラムのマネージャー」として公開されている。FRBがCBDCなどの研究にさらにリソースを向けている様子が窺えるものだ。
マネージャーは、テクノロジーと決済が交差する地点で新たに発生する問題、特に「決済の将来に関する問題に焦点を当てたプログラム」のすべての側面を監督することになるという。
このプログラムは、次のような事項を検討する。
- デジタル化する環境における、通貨や決済プラットフォームの性質の変化
- ステーブルコインやCBDCなどのデジタル資産に関連する潜在的な利益とリスク
- デジタルイノベーションがFRBの運営や金融サービス監視にもたらす影響
- 新たな決済プラットフォーム、活動、機関を監督・規制する枠組み
また職務内容の備考としては、このプログラムが「理事会と準備銀行全体の多様な見解を考慮に入れる必要」があり、「関連機関間の協力とコミュニケーションに時間とリソースを大幅に投資する必要」があるとしている。国内外の様々なパートナーと協力する能力も必要だという。FRB全体で、また関連機関とも協力して、広くデジタル通貨についての対応を検討していくようだ。
「ステーブルコインの検討は優先度が高い」
FRBのパウエル議長は今月、ステーブルコインは「一夜にしてシステム上重要になる可能性」があると指摘。FRBにはそのリスクを検討する役目が期待されており、他国の中央銀行とも協力して、ステーブルコインの課題に取り組むとしている。「優先度は非常に高い」という。
2020年12月、米金融規制当局のトップで構成される米国大統領諮問委員会(PWG)はステーブルコインについて声明を発表した。デジタル決済は、効率を高め、競争を促し、手数料を下げて金融包摂を促進するなど恩恵をもたらす可能性があるものの、金融システムの安定を維持できるような方法で設計・運用されるべきだという。
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CBDCについての調査研究
CBDCについては2020年11月、米国連邦準備制度の主席エコノミストが、先行研究を調査して、その課題や利点についてまとめている。
先行研究では、「銀行の仲介機能が排除される」「銀行融資の減少につながる」といったリスクが挙げられてきたが、金融政策にとっては「マクロ経済のショックに対応するためにCBDCが提供する柔軟性」が重要な要素であるという。
またCBDCは、一般消費者の家計が利用する決済や貯蓄の手段を広げるものであるという側面についても理解することが不可欠だとした。
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