はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

CBDCが商業銀行と金融政策に与える影響と今後の課題=米連邦準備制度

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FEDがCBDCの文献レビューを公開

米国連邦準備制度(FED)の主席エコノミストが、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に関する先行研究を検討し、総括した文献レビューを発表した。

文献レビューは、特定の研究テーマを深く理解し、問題点を把握するためには欠かせない作業であるため、米国政府によるCBDCの調査研究が前進していると読み取ることができそうだ。

CBDCのおおまかな定義

理論的な観点から見ると、CBDCの導入は以下のような、長年にわたる議論を提起するとレビューでは紹介している。

  • 公的通貨と私的通貨の供給
  • 一般世帯に金融政策を直接伝達する手段としてCBDCを活用する中央銀行の能力

そして、政策立案者や学識者が合意している普遍的な定義はないとしながらも、多くの研究文献では、「国民が直接保有する中央銀行の負債」の影響が研究されていると指摘した。さらに、CBDCは、広義には「利息の支払いが可能な支払手段」であり、「必ずしも商業銀行口座に保有する必要はない」と考えられているとまとめた。

商業銀行に与える影響

レビューでは、CBDCは「基本的に商業銀行の預金に代わる有利子の代用物」としての役割を果たす可能性が指摘された。

このような「代替品(=CBDC)」と共存しなくてはいけない状況下では、商業銀行は預金金利の変更を余儀なくされるかもしれない。その結果、影響を受けた資金調達コストの調整のため、銀行は融資条件の変更によって対応することが考えられる。

つまり、CBDCの導入によって、銀行の預金と貸出の量がともに変化する可能性がある。以上の点が、一部の政策立案者のCBDC導入に対する、次のような懸念を代弁していると著者は述べている。

  • CBDCが商業銀行の主要な資金源に取って代わる
  • 銀行の仲介機能が排除される
  • 銀行融資の減少につながる

金融政策と金融安定性への影響

「新たな形の中央銀行マネーであるCBDCは、新しい金融政策ツールとしての役割を果たすこと、あるいは世帯のポートフォリオ選択と銀行の取り付け騒ぎが起こる確率に影響を与えることで、中央銀行のより広範な政策目標に影響を与える可能性がある」と著者は総括している。

金融政策や金融安定性にとっては、「マクロ経済のショックに対応するためにCBDCが提供する柔軟性」が、重要な要素であるとした。

一つの具体例として、CBDCの支払い手段としての流動性という点に注目し、金融危機の際に政府が活用できる政策とその効果の研究をあげた。

デジタル通貨であるCBDCの資金の流れは観察可能であり、大規模かつ突然の資金流入等に注意を払うことで、中央銀行は財務状況を推測することができるようになる。特に緊急時の適切な政策対応を設計する上でこの特性は非常に重要になると指摘した。

今後の課題

レビューでは、先行研究の検討結果を踏まえ、今後の課題を次のようにまとめている。

「最も重要な問いは、どの資金を使用するかという家計のポートフォリオ選択にとって、支払い手段として、また価値の貯蔵手段としての、CBDCの本質的な特徴のどの面が重要なのかということだと考えている。」

CBDCは、真っ先に家計が利用できる支払や貯蓄の選択肢を拡大するため、まず消費者の支払いの選択について理解することが不可欠であると著者は述べている。その点を踏まえて初めて、理論的枠組みの中で、CBDC導入のマクロ及びミクロ経済効果を完全に理解するできると主張した。

CBDCが現金、預金、またはその両方の代替品となり得るかどうかを特定することも 消費者の支払い手段の選択肢として、CBDCの採用を左右する重要な要素だと付け加えた。

出典:米国連邦準備制度

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/27 木曜日
17:20
モブキャストHD、ソラナ財団認定バリデータに選定 ステーキング運用規模を拡大
モブキャストHDがSolana財団の公式バリデータプログラムに採択。累計3億円・約1.1万SOLの取得実績が評価され、将来的には50万SOL規模の運用を目指す。
17:00
韓国大手取引所アップビット、約48億円の不正流出 全額を自社資産で補償へ
韓国最大の仮想通貨取引所アップビットがソラナネットワークで約48億円の不正流出を発表。24銘柄が流出も全額補償へ。ホットウォレットから未承認送金、入出金サービスは一時停止中。
15:07
リップル社のステーブルコイン「RLUSD」、アブダビADGMが正式認定
中東での企業利用が加速へ リップル社は27日、同社の米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」が、アブダビ金融サービス規制庁(FSRA)により「法定通貨参照トークン」として正式…
14:02
Xapo Bank、ビットコイン信用ファンドの提供範囲を拡大
ジブラルタルのXapo Bankがビットコイン建て信用ファンドを全会員に拡大。初期段階で1億ドル調達。2022年の業界崩壊後、厳格なリスク管理で市場回復。長期BTC保有者向けに安定利回りを提供。
14:00
ビットコイン需要の低迷続く 市場は横ばいか=Glassnode分析
Glassnodeが最新市場レポートで、仮想通貨ビットコインの需要低迷を指摘した。新たな資金流入が回復するまで市場は狭いレンジで推移する可能性が高いと分析している。
13:55
タイ当局、サム・アルトマンのワールドコインに120万件の虹彩データ削除を命令
タイ個人情報保護委員会が、生体認証プロジェクトWorldに対し、仮想通貨と引き換えに虹彩スキャンデータを収集した行為が個人情報保護法違反として、120万件のデータ削除と業務停止を命令。世界各国でも同様の規制措置が相次いでいる。
13:35
世界取引所連合が米SECに書簡、仮想通貨企業への免除措置見直しを要請 トークン化株式に懸念
世界取引所連合が米証券取引委員会にトークン化株式を提供する仮想通貨企業への包括的な免除措置の見直しを求める書簡を送付した。ナスダックやCMEグループなどが加盟する同連合は、適切な規制遵守なしに仮想通貨プラットフォームが証券取引所の役割を果たすことへの懸念を表明。
11:10
「BTCが74000ドルまで下落しても転換社債に対する価値は5.9倍」ストラテジー
ストラテジー社は、仮想通貨ビットコインの価格が同社の平均購入価格である74,000ドルまで下落しても、転換社債に対して5.9倍の資産を保有していることになると投稿。債務の安全性を強調した。
10:30
韓国最大級仮想通貨取引所Upbit、ネイバーと合併 約1.5兆円規模の株式交換で傘下に
韓国IT大手ネイバーが仮想通貨取引所Upbit運営のドゥナムを1.5兆円規模で買収。韓国国内シェア7割超のUpbitとネイバーペイを統合し総合デジタル金融エコシステムを構築。2025年6月の合併発効を目指す。
10:15
BTCマイナーのクリーンスパーク決算発表、売上高が過去最高に AIインフラを拡大中
ナスダック上場のビットコインマイナー、クリーンスパークが決算報告。過去最高の売上高を記録した。AIとビットコインの両ワークロード対応の包括的プラットフォームへ進化中だ。
09:55
ソラナ特化型ウペクシが最大35億円調達、SOL財務戦略などに利用
ナスダック上場のウペクシが普通株式とワラントの私募により最大2300万ドルを調達すると発表した。調達資金は仮想通貨ソラナ財務戦略と運転資本に充てられる予定だ。
08:45
セキュリタイズがEU取引決済システム認可を取得、アバランチで展開へ
セキュリタイズがスペイン国家証券市場委員会からEU全域での取引決済システム運営認可を取得した。同社は米国とEUの両方でライセンスを持つ唯一の企業となり、欧州システムはアバランチ上に展開される。
08:00
S&P、USDTのドルペッグ能力を最低評価に引き下げ
S&Pは、テザー社の米ドルステーブルコインUSDTに対する評価を最も低い「5」に引き下げた。仮想通貨ビットコインを準備資産として保有する割合などに触れ、判断の根拠を説明している。
07:02
大口投資家の売りが加速、ビットコイン平均入金額が1年ぶりの高水準に=クリプトクアント
クリプトクアントが報告したデータによると、ビットコイン価格が8万ドルまで下落した後、大口トレーダーによる取引所への送金が増加している。最近では9000BTCが送金され、その45%が100BTC以上の大口入金だった。
06:25
ビットワイズのドージコインETFも取引開始、グレースケールに続く
ビットワイズがドージコインETFの取引を米ニューヨーク証券取引所で開始した。管理手数料は0.34%で最初の1カ月間は資産5億ドルまで免除され、グレースケールとREX-オスプレイに続く3番目のドージコインETFとなる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧