米金利懸念の地合い悪化でビットコイン連れ安、コインベースProのカルダノ・プレミアムは一時40%に
米長期金利の急騰止まらず
FOMC後に低下していた米長期金利(10年債利回り)が一時1.75%まで上昇した影響で、米ナスダック市場ではハイテク株を中心に売りが先行し前日比3.02%安と急落。
ドル高やリスク資産への波及が嫌気され、一時6万ドルまで回復していたビットコイン価格も日本時間深夜〜明け方にかけて大幅下落した。原油価格の急落も市場心理を悪化させた。
背景には、金融引き締め(テーパリング)前倒しへの警戒感とインフレーション懸念の強まりがある。
ブラジルやトルコなどの新興国では、自国通貨の価値下落と物価上昇といったインフレ圧力にさらされており、原油輸入国でもあるトルコの中銀は、金融引き締めとなる利上げを余儀なくされた。米格付け大手フィッチ・レーティングスを筆頭に「インフレ局面が進めば、金融当局は想定よりも早期の利上げを強いられる」との見方は少なくない。
ビットコインは、中・長期では米ドルなど法定通貨のインフレヘッジ需要として白羽の矢が立つ可能性があるものの、再び地合い悪化が顕著になるようであれば、短期的な全面安は免れないか。
ビットコイン市場
19日のビットコイン(BTC)価格は、前日比-2.78%の627万円(57,500ドル)と反落した。
一時6万ドルを付け強気トレンドに回帰しかける場面もあったが、金融市場全般の急落を受け、出鼻をくじかれた格好だ。
金融市場では、追加経済対策の影響も着目されている。米政権は、新型コロナ感染拡大で苦難にある市民に向けた景気刺激策として、1,400ドルの特別給付金を配布する。
米分析企業HarrisPollの過去の行動履歴調査によると、給付金の使い道として、食料品や家賃など生活必需品に使った人は全体の43%、貯金した人は36%に対し、15%は「投資した」と回答した。投資した人の内、半数が仮想通貨を購入したという。
みずほ証券の調査によると、調査対象の約10%がビットコインや株式の購入を検討しているとされており、比率としては概ね一致する。
関連:米政権給付金、2兆円超が仮想通貨市場などに流入の可能性=みずほ証券調査個別銘柄の動向
19日にCoinbaseProで取り扱い開始したカルダノ(ADA)が、一時1.88ドルまで高騰。他主要取引所との乖離(プレミアム)sonoato+39%まで開き、その後+4%前後に落ち着いた。
カルダノを開発するIOHKのチャールズ・ホスキンソンCEOは18日、「ブロックチェーンアフリカ・カンファレンス」にて、金融包摂に向けた取り組みとカルダノ経済圏の拡大に言及。
官民パートナーシップを通じて、カルダノベースのデジタルID管理ソリューションである「Atala PRISM」について、エチオピアなどアフリカ諸国に普及させることを展望した。18年5月には、エチオピア政府との間で、同国の農業でブロックチェーンを活用するための覚書(MOU)に署名している。
21年3月2日には、開発プロセスの第3フェーズ「Goguen」に向けたアップグレード「Mary」により、カルダノチェーン上でネイティブトークンの発行、マルチアセットのサポートなどの機能が追加された。
今後スマートコントラクト機能が導入され、NFT(非代替性トークン)の作成やDeFi(分散型金融)機能の追加が期待されており、イーサリアム経済圏に類似した、よりスケーラブルなエコシステムを目指している。
先月25日には、ドバイの投資ファンドFD7 Venturesが、カルダノ(ADA)とポルカドット(DOT)への投資方針を明かしたことも材料視されていた。
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