ボストン連銀総裁「CBDCの金融安定に対する脅威など、米国はトレードオフを考慮すべき」

ボストン連銀総裁、CBDCについて

ボストン連邦準備銀行(FRB)のEric Rosengren総裁は12日、中銀デジタル通貨(CBDC)の発行には今後さらなる調査が必要になると発言した。ボストン連銀は昨夏からマサチューセッツ工科大学(MIT)とCBDCの共同研究を進めている。

ハーバード大学法学部(ハーバード・ロースクール)のオンラインイベントに登壇したRosengren総裁は、現在進めるCBDCの研究があくまで「調査目的の研究」であると形容。実際のCBDCの導入するには技術的な実現可能性や導入方法だけでなく、さまざまな要因を考慮する必要があると述べた。

Rosengren総裁はCBDCの利点として、金融包摂の向上、国境間の金融取引コストの低下、並びに金融政策の導入に「柔軟性」を与える点などを挙げた。

一方で、連邦準備銀行(FRB)関係者はデジタル通貨を導入することで発生する政策面での影響や、トレードオフを考慮すべきと慎重な見方を示している。

また、Rosengren総裁は次のようにも発言した。

CBDCがどのような問題を解決するために設計されているのか、また、他の技術の方がより安価に、または効率的に問題を解決できるのか理解する必要がある。

共同研究の発表

ボストン連銀は昨年8月から、MITのDigital Currency InitiativeとCBDCの共同研究を行っている。「デジタル・ドル」のプロトタイプに関する研究を進めており、2021年3Q(7月から9月)頃に研究成果の発表を行う予定。

研究結果を発表する際には、プロジェクトのコードなども公開される見込みだ。ボストン連銀の責任者のJames Cunha氏は以前、ブルームバーグに対して、研究は米政府の方針には中立的な立場を保ち、「技術的に可能なものを示す意図がある」と述べていた。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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