米FTC、仮想通貨投資詐欺に注意促す 若年層の投資家で被害が5倍増
仮想通貨詐欺が急増中
米連邦取引委員会(FTC)は17日、暗号資産(仮想通貨)に関する投資詐欺が急増中であることを警告。多くは若い投資家をターゲットにしているとの分析レポートを発表した。
FTCによれば、2020年10月以降から詐欺の報告が急増しており、約7,000人から総額8,000万ドル(約87億円)以上の被害届を受け取ったと説明。報告された被害額の中央値は約1,900ドル(約20万円)だった。
被害総額が750万ドル(約8億円)だった前年の同時期と比較すると、報告数は約12倍になり、損失額は約10倍に膨れ上がった格好だ。
対象となる時期は仮想通貨市場の高騰相場ともタイミングが重なっており、コロナ禍で投資アプリ「ロビンフッド」のような投資プラットフォームが普及し、若年層の投資家が引き寄せられた期間でもある。
調査結果では、特に若い投資家が投資詐欺に巻き込まれる傾向が確認されており、20〜49歳の消費者は年上の世代と比較して詐欺で資産を失う可能性が「5倍以上」だった。さらに「20代と30代の消費者は、他の形式の詐欺と比べて、投資詐欺で最も多くの資産を失った」とFTCは説明している。
代表的な詐欺の手口
FTCは、典型的な詐欺の手口として以下を例に挙げ、消費者に警戒を呼びかけた。
(1)仮想通貨投資・マイニングの詐欺サイト
詐欺サイトでは、ユーザーに「投資すればするほど、想定リターンは大きくなる」などと説明して資金を投入させるものの、こうした収益の約束は虚偽であると指摘。
このようなサイトでは、偽のユーザー証言や専門用語を活用することで信頼性を偽る傾向があると説明。また、巧妙な例ではユーザーがサイトをチェックすると投資額が成長しているように表示される場合も存在するという。
(2)ギブアウェイ(無料配布)詐欺
この手法では、「仮想通貨を送信すれば、すぐにそれを倍にして返す」などとして詐欺師のアドレスに送金させる。著名人の名前を無許可で模して、集客を狙うという。
過去6か月間には、イーロン・マスク氏になりすます者に、200万ドル(約2億円)以上の仮想通貨が送信されたという統計を例として挙げた。
ギブアウェイ詐欺の多くはツイッターやフェイスブックなどのSNSで行われており、過去には、アカウントの信憑性を高めるために、犯人がツイッターで「本人であることを確認済み」を表す、偽の青いチェックマークを付けている事例もあった。
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(3)オンラインデート詐欺
この手法では、オンラインのマッチングアプリ等を使用して、人々を仮想通貨投資詐欺に引き込む。恋愛関係を装って、被害者に仮想通貨投資について話を持ちかける手段となる。
こうした詐欺は、仮想通貨にかかわらず様々な資産について行われているものの、FTCによれば、2020年10月以降ではデート詐欺関連の被害額の約20%が仮想通貨で送信されていたと指摘した。
この手法については、日本の金融庁も、先日発表された仮想通貨投資詐欺への警戒をよびかける通知で、マッチングアプリや出会い系サイトを介した投資詐欺について重点的に取り上げていた。仮想通貨市場の高騰に伴い、各国で仮想通貨関連の詐欺が急増している点が伺える。
また、FTCは補足として投資詐欺に関わらず、詐欺師は政府機関や有名企業になりすますこともよくあると説明。社会保障局や、大手仮想通貨取引所コインベースを装った詐欺などを例として挙げた。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します