エルサルバドル大統領、議会に「ビットコイン法案」を提出
歴史的な法案
中米エルサルバドル共和国のブケレ大統領は9日、仮想通貨ビットコイン(BTC)を国の法定通貨として採用するための法案を議会へ提出したことを伝えた。
この法案を提出する意向を最初に表明したのは、先週末に米マイアミで行われた過去最大級のビットコインカンファレンス「Bitcoin 2021」上で、今回は実際に法案の正式提出に至った。
エルサルバドルは2001年、不安定な自国の法定通貨「colón(サルバドール・コロン)」の流通を撤廃し、唯一の法定通貨(リーガル・テンダー)として米ドル(USD)を採用していた経緯がある。米ドルの採用から20年が立つ今、ブケレ大統領は自国の通貨制度について大胆な変革を試みており、世界でも類を見ない事例となることから、国内外で大きな波紋を呼んでいる。
ビットコインを法定通貨として導入することを目的とするこの法案の内容は、以下のように紹介する。
法案の主な内容
法案の冒頭で、「最も多くの居住者の利益のために経済的成長を促進し、国富を増やすべく、フリーマーケット(自由市場)の原則に乗っ取ったデジタル通貨の流通を法的に認める必要がある」として、以下のようにビットコインに関する主な条項が記されている。
- 商品は、ビットコイン単位で価格表示が可能
- ビットコインで納税可能
- ビットコイン取引は譲渡所得課税の対象外
- ビットコインの参考価格は米ドル建てに留まる
- 全ての経済主体(サービス業など)は、消費者からビットコインの支払いを提示された場合、支払い手段としてそれを受け入れなければならない
特筆すべきは、プライベートセクターに対する公平な措置として、政府はユーザーに、ビットコインのトランザクションを行えるようなインフラを提供し、即時に米ドルに換金できる手段を提供しなくてはならないと規定する、とのことだ。
また法案で、同国の7割の人口が金融サービスへアクセスできておらず、連邦政府は今後、仮想通貨利用および普及に必要なトレーニングやメカニズムを広く推進すると記述されている。
なお、この法案は基軸通貨の「米ドル」の利用を撤廃するものではなく、「ビットコイン」を2つ目の法定通貨としての採用を目指すとしている。
重要な論点を動画解説
エルサルバドルによるビットコインの法定通貨法案提出に関連し、特に重要な論点や世界各国で発生し得る議論について、国内大手仮想通貨取引所bitFlyer創設者の加納裕三氏が詳しく解説した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します