ブロックチェーン技術にも言及、日本政府が「デジタル庁」創設を見据えた重点計画を閣議決定

デジタル庁創設を見据え

政府は18日、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定したと発表した。

本計画については、「2021年9月のデジタル庁の創設を見据え、デジタル社会形成基本法に基づく重点計画を先取りする形で策定」するものであると説明。計画の中には、ブロックチェーンに関する言及も見られた。

ブロックチェーン技術を評価

政府は本計画について、2020年7月に閣議決定されたIT戦略(世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画)を全面的に改訂して策定するものであり、2021年9月のデジタル庁創設を見据え、デジタル社会形成基本法に基づく重点計画を先取りする形で策定するものであるとした。

「研究開発・実証の推進」という節では、AI/ビッグデータ、量子コンピュータ等の次世代コンピューティング技術などに加え、ブロックチェーンについても言及されている。

ブロックチェーン及び分散台帳技術は、データに関する耐改ざん性が高く透明性が確保されたシステムを分散システムとして実現する技術である。これを利用することで、取引上の仲介が不要となり、サービスにおける取引コストの削減が図られる等の利点がある。

このため、暗号資産(仮想通貨)の取引管理等では既にその技術が広く活用されているほか、身分証明等の真正性確認や、サプライチェーン管理や電力取引、環境価値取引といった商取引など、様々な分野での商用化、実証及び検討が国内外で進められている。

ブロックチェーンについて、データの改ざんが困難である点や、取引上の仲介を失くし取引コストの削減が見込めるなどの利点を挙げ、「データの耐改ざん性が高く証跡の確保に優れた技術 」と評価。身分証明等の真正性確認やサプライチェーン管理や電力取引など様々な分野で利用されているとし、ユースケースが拡大しつつある現状に触れている。

さらに、国内外のブロックチェーンを使用した先進的な取り組みや民間主体の活動を参考にしつつ、高水準の信頼性が求められる高い分野への導入について引き続き検討していくとした。

実証実験

これまでに行われてきた実証実験の内容と今後の予定についても明かされた。

2018年度より、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いて、自家消費される再生可能エネルギーのCO2排出削減に関する環境価値を創出し、その価値を低コストで自由に取引できるシステムを構築する事業を実施している。遠隔での売買取引に伴う環境価値の移転をブロックチェーンにより記録する実証実験に成功したという。

2019年度は、複数地点で同時に複数の取引が発生した際にシステムがダウンしないことを確認するため、システムの負荷実験を行い、1万トランザクションを発生させてシステムのパフォーマンスを評価した。

2020年度は「いつ・どこで・誰が・どのような再生可能エネルギーで・どれだけ発電したか」といった環境価値に関連する情報を、その後の実証実験の内容に合わせて表示・閲覧・検索することのできる取引システムを構築し、環境価値の支払意思を高めるために、行動科学の知見を用いた行動変容の実証実験を実施した。

2021年度以降は、前年の予備実証を踏まえた本格的な実証実験を進め、価格設定や取引方式などに着目した環境価値取引の実証実験を実施する。

2022年度までに、行動変容の実証実験を通じ、環境価値の取引に影響を与えるマーケットデザインを明らかにする。

関連動向

デジタル改革を打ち出す菅内閣は、目玉政策の一つとしてデジタル庁の設置に向けて動いている。

平井デジタル改革担当大臣は、「民間に知恵を求めていく中で人材が見つかればいい」と述べ、民間からの起用を念頭に人選を進める考えを示しており、改革の姿勢が前面に押し出されているといえる。

また、2020年より政府へブロックチェーン技術の推進を働きかける動きが活発化している。

2020年10月、日本ブロックチェーン協会(JBA)代表理事であり、デジタル分野で国内を代表する企業である「bitFlyer Blockchain」の加納裕三CEOが、平井大臣を表敬訪問。「ブロックチェーンを国家戦略に」するよう働きかけを行っていた。

2021年5月には、自民党の国会議員らが、NFT(非代替性トークン)などブロックチェーン技術の普及を目指す「ブロックチェーン推進議員連盟」を発足。NFTやステーブルコインなど6つの柱をテーマに掲げた、「ブロックチェーンを国家戦略に。~ブロックチェーンの普及に向けた提言~」という提言書を作成しており、政府に提言することで、法整備を整えた上で事業者のイノベーションを後押ししていく考えだ。

関連:「ブロックチェーンを国家戦略に」NFT事業などを見据え、自民党の議員連盟発足

また、立憲民主党と国民民主党は6月11日、「インターネット投票の導入の推進に関する法律案」(インターネット投票推進法案)を衆議院に提出。法案の内容は選挙などへのインターネット投票の導入を推進するものであり、セキュリティ確保のためにブロックチェーン技術の活用も検討されている。

関連:ブロックチェーン活用も視野──立民・国民、ネット投票推進法案を提出

その他、日本維新の会の音喜多議員が財政金融委員意において、政府に対し質疑を行い、仮想通貨やNFTを含めたブロックチェーン技術について推進していくように要請している。

関連:「NFTは日本の文化コンテンツを世界に売る武器になる」 財政金融委員会で音喜多議員が質疑

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