インターネット以来の商業的革新
全米で最も高く評価されるファイナンシャル・アドバイザーの一人であるRic Edelman氏が、ビジネスニュース番組「ヤフー・ファイナンス 」に出演。「ブロックチェーン技術と暗号資産(仮想通貨)は、世界の商取引に多大な影響を与える可能性が高い」と語った。
128万人の顧客を抱える米独立系投資顧問企業「Edelman Financial Engines」の創設者であるEdelman氏は、2012年から仮想通貨と関わってきた。
同氏がそこで学んだのは、「ブロックチェーン技術とそれから派生したデジタル資産は、インターネット誕生以来、最大の商業的革新」であり、今後、商取引に大きな影響力を持つ資産クラスであるのにも関わらず、「ほとんどの投資アドバイザーは、この事実に気づいていない」ことだとコメントした。
Edelman氏はファイナンシャル・アドバイザー(FA)の多くは、「経験豊富で、類稀なる才能があり、すでに成功している」ものの、その豊富な知識や経験が却ってビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨の理解を阻んでいると分析。その理由として、「ビットコインは、約150年ぶりに誕生した、全く新しい資産クラス」であり、主な投資対象である株式、債券、不動産、石油、金、コモディティなどの資産クラスとは「何の共通点もない」ためだと指摘した。
しかし、「新しくて異なる」資産クラスだからこそ、仮想通貨はポートフォリオの多様化を目指す投資家にとって「非常に大きな投資のチャンス」を秘めていると主張した。
ポートフォリオの多様化
Edelman氏は、まず、ポートフォリオの1%をビットコインに投資する戦略から始めることを推奨。1%は大変小さい割合だが、ビットコイン価格のボラティリティを考慮すると、リターンを高める可能性を保持しながらも、損害があったとしても気にならない程度に抑えられる割合だと説明した。
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さらに、投資家自身の好みではなく、真にポートフォリオの分散化やリバランス戦略に基づくのであれば、ビットコインの特徴である他の資産クラスとの非相関性やボラティリティほど有利なものはないだろうと主張している。
そのため、「FAは偏見を捨て、純粋な好奇心を持って仮想通貨について学ぶことが重要だ」と述べた。そして学びが深まれば深まるほど、実際のユースケースがあることに気づくだろうと付け加えてた。
Edelman氏は、人気ラジオ番組「The Ric Edelman Show」のホストとして、約30年にわたり住宅ローンや退職後の生活設計など、個人向けに金融アドバイスを務めてきた経験がある。同氏は3年前、仮想通貨教育企業「RIAデジタル資産協議会」(RIA Digital Assets Council)を立ち上げ、FAの仮想通貨の理解を促す活動にも尽力しているようだ。
ドージコインに苦言
Edelman氏は、仮想通貨投資の手始めとして、時価総額の2トップであるビットコインとイーサリアム(ETH)を勧めているが、ドージコイン(DOGE)には手厳しい。
仮想通貨市場における投資の多様化という点から、ドージコインについての考えを尋ねられると、同氏はドージコインは(正しくは「ドギーコイン」と発音すると指摘しつつ)「仮想通貨界の問題児」で、強く反対すると回答。
冗談として開発されたドージコインには、正当なユースケースもなく、金融業界における仮想通貨の正当性に対する評価も下げかねないと批判した。また、一過性のブームの範疇に入るコインで、「有名で裕福な人物」の発言で価格操作されるような「不正」の可能性も考えられるとした。
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Edelman氏が最も懸念しているのは、米証券取引委員会(SEC)によるビットコインETF承認に、このような状況が影響を与えるのではないかという点だ。
ETFとは
ETF(上場投資信託)は、個人・機関投資家が分散投資をするための金融商品。伝統金融では、一つの銘柄に限らず、複数の銘柄にいっぺんに投資することができるメリットがある。
一方、ビットコインETFの場合は、ビットコインという1つの銘柄に投資するが、投資家がビットコインの保管を行う必要がないため、仮想通貨市場へのアクセスのハードルが下げられる金融商品と見られている。
▶️仮想通貨用語集
Edelman氏は、投資手段として一般的に投資しやすいETFを高く評価しており、ビットコインETFの承認を待ち望んでいる。しかし、SECはビットコインETFを未だ承認しておらず、規制当局として市場監視の役割を果たしていない点を批判。
承認は早くても9ヶ月から18ヶ月後になるとの持論を明かした。
ETFの次善策として、Edelman氏はインデックス投資を勧めており、その一例としてビットワイズ(Bitwise)やグレースケールなどのファンドを挙げた。