仮想通貨に反転攻勢の兆し、Axie Infinity(AXS)などNFT関連銘柄の物色進む
ビットコイン相場と金融マーケット
週明け12日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は、前日比+2.26%の377万円(34,222ドル)とやや上昇した。
8日には安値32,100ドルまで下落したが、時間足でも徐々に下値を切り上げ反発基調を強めた。6〜7日の戻り高値35,000ドル、5日の36,000ドルが上値抵抗線にあるが、月初来高値を更新すればレンジ上限も見えてくるか。
”安全圏”と呼ぶにはまだ心許ない価格帯でありながら、相場復活の予兆も垣間見える。ビットコインの前週比+1.3%に対し、バイナンスコイン(BNB)が前週比+7.1%、FTXトークン(FTT)が前週比+21.8%と取引所系トークンに資金が集まった点は、反転攻勢の兆しの1つとして注目に値する。
また、個別銘柄では、ブロックチェーンゲームのガバナンストークン「Axie Infinity(AXS)」が、前週比+103%、前月比+326%と高騰し、CMCの時価総額80位にランクインした。仮想通貨相場全体としては下落トレンドの真っ只中の悪い地合いにあるなか、今年5月のアルトバブル時価格の約2倍に達するなど、過去最高値を大きく更新したインパクトは決して小さくない。
レアモンスターや仮想空間の土地などデジタル資産「NFT」の売買が盛んになったことに加え、相乗効果でステーキング需要も高まった。ゲーム内通貨の「Small Love Potion(SLP)」も前日比+11.3%と上昇している。
ブロックチェーン分析プラットフォームTokenTerminalによると、過去1ヶ月間で3,340万ドル(37億円)の収益を生み出したという。これは、2位のバイナンスチェーン基盤の分散型取引所であるPancakeSwap(CAKE)の約3倍だ。
デジタル資産の月間取引量は2億6000万ドルを上回った。NBAトップショット、CryptoPunksと大手NFTマーケットプレイスOpenSeaの合計に匹敵するする規模まで膨れ上がっている。
NFT関連銘柄では、コインチェックなどに上場するエンジンコイン(ENJ)が前週比+15.4%、Flow(FLOW)が前週比+63.9%、The Sandbox(SAND)が前週比+69.7%といずれも強く、Axie Infinityで動意付いたセクターごと物色されているようにも見受けられる。
ボラティリティ拡大の兆候
次第に落ち着きを見せ始めている昨今だが、ボラティリティ急拡大の兆候も散見される。
代表的なインジケーターのボリンジャーバンドは、レンジ内のもみ合い状態を経て2021年以来最も密集するスクイーズ(収束)を示しており、トレンド発生によるエクスパンション(拡張)の前兆状態を示唆する。ボリンジャーバンドは、統計学の概念を応用することで移動平均線と標準偏差を組み合わせた有名なテクニカル指標として知られるものだ。
また、直近出来高も5月19日に発生した相場のクラッシュをピークに減少傾向にあり、大量の出来高を伴って上下どちらかに抜けた場合は、強いトレンド発生し得るだろう。
一方で、Twitterにおけるビットコインに対する市場心理は、18年6月以来最も弱気な感情に支配されている。
機関投資家の動向も引き続き注目されるところだ。bitcointreasuriesのデータによれば、大量保有する企業の上位は、マイクロストラテジーの105,084BTCを筆頭に、2位のテスラが43,200BTC、3位のスクエアが8,027BTCと続いている。
テスラなど米上場企業による保有動向は、次の決算で明らかになるものと思われる。
なお、グレースケールのビットコイン投資信託GBTCの大量ロックアップ解除が18日に迫っている件について、市場に与え得る影響の有識者の見立ては、以下の記事で解説している。ボラティリティの急拡大やイベント通過で相場のアク抜けとなる可能性もあり、投資家の関心は高い。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します