仮想通貨取引所FTX、約1,000億円を調達 ソフトバンクやコインベースなども参加
業界最高の調達金額
大手グローバル仮想通貨取引所FTXを運営する企業FTX Trading Ltd.はシリーズBで約1,000億円(9億ドル)を調達したことがわかった。企業価値が約2兆円(180億ドル)に達すると試算されている。
シリーズBに参加しているのは、ソフトバンクグループ、コインベース、VanEck、Circle、ヘッジファンドレジェンドのポール・チューダー・ジョーンズファミリー、著名投資家アラン・ホワード氏、Sequoia Capitalなどを含む計60の投資家だ。
また、今回の調達額は、仮想通貨業界における資金調達としては、過去最高額になっている。以下がThe Blockが統計した過去の資金調達ランキングだ。
この資金調達は、FTXのプラットフォームトークンFTTの販売ではなく、エクイティによるものになる。
Forbes誌の報道によると、FTXの初期投資家であるバイナンスはすでに2019年に出資していたFTXの株式を売却しイグジットしている。バイナンスのCZ氏は取材で、「FTXは大幅に成長してきており、我々は満足した」、「イグジットはノーマルな投資サイクルだ」と語ったという。
FTXは香港に拠点を置く取引所で、CEOはサム・バンクマン・フリード氏。主に仮想通貨のデリバティブを中心に、株トークンやNFTプラットフォーム、決済サービスFTX Payなどの関連サービスも提供。CoinGeckoのデリバティブ取引所の出来高ランキングにおいて、FTXは2位に位置する。
今年は特にプロスポーツ分野におけるマーケティングに力を入れており、米プロ野球リーグ「MLB」との長期的パートナーシップや、NBAチーム「マイアミ・ヒート」のアリーナへの命名権取得といった事例がある。
さらに、直近では米NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)を代表するトム・ブレイディ選手と妻のジゼル・ブンチェン氏もFTX Trading Ltd.の株主となったことが発表された。
調達資金の利用目的
フリードCEOはThe Blockの取材で、今回調達した資金の用途について、「仮想通貨取引や決済ポータルを検討するネオバンクなどの金融企業にも、APIを通じてさまざまなサービスを提供していきたい」と言い、すでに新しいクライアントへ紹介されているところだと説明した。新たなビジネス戦略として、「ホワイトラベルソフトウェア」をウォール街金融への導入と見られている。
また、上述したプロスポーツ分野における取引も強化していくとした。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します