中国・北京の地下鉄、「デジタル人民元(e-CNY)」による決済を本格導入開始
デジタル人民元を決済手段として本格導入
中国の首都・北京の地下鉄で、テスト運用されていた「デジタル人民元(e-CNY)」が決済手段として正式に使えるようになった。
北京鉄道の発表によると、中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元は、地下鉄24路線、428の駅で決済や、決済残高のチャージをする手段として選択できるようになった。
デジタル人民元(e-CNY)
Digital Currency/Electronic Payment(デジタル通貨/電子決済)の略称で、2014年より中国の中央銀行が開発しているCBDC。e-CNYやe-Yuanなどとも呼ばれる。2020年後半より、中国各地で大規模な実証実験を行なってきた。
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北京地下鉄は、6月末よりデジタル人民元決済の試験運用を行っていた。この試験では、乗客は中国工商銀行(ICBC)のアプリや、地下鉄アプリ「Yitongxing」を用いて決済を行っている。
8月1日よりデジタル人民元は、「交通機関のカードへチャージする場合」「オンラインまたはオフラインで切符を購入する場合」「モバイルアプリを使用する場合」といったすべてのケースで使用できるようになった。北京地下鉄には1日約1,000万人の利用者がいるとされている。
北京の地下鉄駅内の切符販売タッチパネルでも、決済オプションとして、現金、WeChat Pay、AliPayと並んでデジタル人民元(e-CNY)が登場。e-CNYを選択した場合、ユーザーはe-CNYのデジタルウォレットを開き、スマートフォンなどの画面に支払い用QRコードを表示して、券売機に読み取らせる仕組みだ。
交通カードの残高チャージをする上でも、乗客は同様にQRコードを使用することになる。また、自動券売機に加えて、スタッフが直接対応するサービスカウンターでも、e-CNYによりカードにチャージしたり、切符を購入することができる。
人民銀行副総裁が仮想通貨について見解表明
中国はデジタル人民元の実証実験に熱心である一方で、ビットコインなど民間仮想通貨への取り締まりは強化している。中国国内の仮想通貨マイニング企業の多くは、閉鎖か海外移転を迫られている状況だ。
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7月8日の政策説明会で、中国人民銀行のFan Yifei(范一飛)副総裁は、ビットコインやステーブルコインなどの民間が発行した仮想通貨は、投機の対象となっており、金融の安全性や社会の安定を脅かすリスクがあると発言している。
特にグローバルなステーブルコインは「国際通貨システムと決済システムにリスクをもたらす可能性」があり、「私たちはまだこの問題についてかなり心配しており、いくつかの対策を講じた」と話した。具体的にどのような対策を行ったかは明かしていない。
民間の仮想通貨について、副総裁は「まだ観察し、調査しているところだ」と続けた。同時に、「中央銀行デジタル通貨については精力的に促進していかねばならない」としている。
デジタル人民元が金融の安定や金融政策にもたらす影響を注視しながら、その影響を最小化するよう努力し、これからさらに試験運転の規模を広げていく計画だという。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します