ロシア議会の金融委員会長「仮想通貨企業の登録と課税を導入すべき」
仮想通貨マイニング企業の登録制度
ロシア議会の金融市場委員長は、暗号資産(仮想通貨)マイニング企業に登録制度を設ける必要があるとの考えを示した。現地メディアTASSが8日に報道した。
金融市場委員会のAnatoly Aksakov委員長は、仮想通貨規制の分野で法改正が期待される方向性について指摘。マイニング事業について以下のように語った。
仮想通貨マイニングは、企業活動の一種なので、今後は当局に登録し、活動コードを割り当てて、課税対象とするべきだ。
ロシアはビットコイン(BTC)マイニングが盛んな地域の一つであり、ケンブリッジ・ビットコイン電力消費インデックス(CBECI)によれば、ビットコインの総ハッシュレートのうち、約7%を占めていた。(21年4月時点)
同国の業界団体「クリプト経済・AI・ブロックチェーン協会(RACIB)」は、マイニング企業をロシアに誘致するプロジェクトも開始。特に中国からの移転需要も意識している。
関連:中国のビットコインマイナー大量撤退で激変する勢力図、新たなマイニング拠点は?=英ケンブリッジ大学の最新データ
「デジタル通貨」内の区別を明確に
また、Aksakov委員長は、「デジタル通貨」の概念や用語について明確に定義することも提案。デジタル通貨の中には、中央銀行デジタル通貨(CBDC)もあれば、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨もあり、混乱が生じないように、これらの区別を明確にすべきと指摘した。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。CBDCとは「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
▶️仮想通貨用語集
ロシアでは仮想通貨取引を合法とする「デジタル金融資産関連法(DFA法)」が昨年成立し、2021年1月より施行されている。同法は大枠を定めるものであるものの、課税やマイニングなどより詳細な項目については定めていなかった。
仮想通貨取引への課税を定める法案
課税に関しては、新法案が現在ロシア議会で審議されている。仮想通貨をロシア税務当局への申告が義務付けられる「個人資産」として規定し、ロシア連邦内の市民、居住者、登録済みの法人などに対して、仮想通貨の取引や残高の報告義務を課す内容が含まれる。
法案では、1年間で60万ルーブル(約90万円)以上の取引があった場合、税務当局に報告する義務が発生する。この法案は、最初の審議で承認され、次のプロセスを待っている状況だ。
地元メディアIzvestiaの4月時点の報道によれば、すでにロシア居住者は自発的に仮想通貨取引に関わる税務報告を行い始めている。
この背景には、DFA法が成立したことに加えて、税務当局が、ロシア人の海外取引に関して以前よりも広く情報を得るようになったことと、仮想通貨に関して規制当局が注目を高めていることがあるとされる。
一例として、ロシア労働省は2020年末に、公務員の仮想通貨保有を禁止する通達を行った。
関連:ロシア、デジタル資産関連法に基づき公務員の「仮想通貨保有」禁止へ
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します