仮想通貨における減税目的の取引防止ルール、米下院で審議

仮想通貨にも取引ルールを拡大

米下院歳入委員会は15日、暗号資産(仮想通貨)に関する内容を含む財政支出案の税務条項を承認した。

関連部分は、タックス・ロス・ハーベスティングについての制限を、仮想通貨にも適用しようとするものだ。減税目的の取引を抑制することを目的としている。

財政支出案はバイデン大統領の政策を実行するために、3.5兆ドル(約383兆円)の予算を計上するもので、インフラ法案と同時に審議が進められている。

タックス・ロス・ハーベスティングとは

別名はタックス・ロス・セリング。含み損の株式等を売却して損失を確定させることで、売却益が出ている株式等の利益と相殺し、課税額を抑えること。

▶️仮想通貨用語集

税務条項の草案は、歳入委員会(税制に関わる予算を担当)を投票結果24対19で通過し、次の段階として予算委員会に送られることになる。仮想通貨メディアThe Blockによると、民主党は予算案の修正を加えず進めようとする方針であり、上院でよほどの混乱がない限り、現在の文言が変更されることはない見込みだという。

ポジション保持しながら損失計上することを抑制

歳入委員会の民主党議員らは、バイデン政権の予算案に伴う財源確保の一環として、仮想通貨取引におけるタックス・ロス・ハーベスティングを削減する新たな規則を提案していた。

仮想通貨の法的遵守についてのサービスなどを提供する企業CoinTrackerのShehan Chandrasekera氏は、新規則について次のように説明している。

仮想通貨の保有者は、売却し損失を出したコインを、ふたたび購入する時には、30日間待たなければいけない。30日間を空けずに同じ仮想通貨を購入した場合、内国歳入庁(IRS)は、その課税年度の報告額から、売却損失を控除することを認めないだろう。

一方で、損失が税金におよぼす影響が完全になくなってしまうわけではない。損失を繰り延べることは可能だ。後になってからその仮想通貨を売却した時に、損失額を考慮してキャピタルゲインの額を減らすことはできる。

同様の規則は、証券の領域にはすでに適用されているものであり、「ウォッシュセール」を防ぐものとしても説明できる。

「ウォッシュセール」とは、「タックス・ロス・ハーベスティング」と類似の用語。含み損となっている資産をいったん売却して損失を計上した後に、すぐにその銘柄を買い戻すことで、実質的にポジションを保有したまま、損失による減税のメリットを得ようとする方法だ。

米国のルールでは株式などを売却した後、30日以内に「実質的に同一の銘柄」を購入した場合、ウォッシュセールによる損失を控除することはできない。現在、仮想通貨にはこのルールが適用されておらず、抜け道になっていると指摘されていた。

歳入委員会が今回の審議にあたって用意した資料の中では、次のように述べられている。

この条項は、これまで株式などの有価証券に適用されていた不正防止ルールであるウォッシュセール・ルールの対象に、コモディティ、通貨、デジタル資産も含めるものだ。改正は、2021年12月31日以降に開始する課税年度に適用されるものとなる。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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