米大手ベンチャーキャピタル「a16z」、ステーブルコイン規制の三原則を提案
ステーブルコイン規制の基本三原則
米大手ベンチャーキャピタル「アンドリーセン・ホロウィッツ (a16z)」は27日、ステーブルコインは「民主化された次世代の金融サービス」で重要な役割を果たすと主張。消費者保護と金融犯罪の防止、さらに金融システムの安全性と安定性のために「賢明で効果的な」ステーブルコイン規制が必要だとして、以下の基本三原則を提案した。
- 公平なアクセスの促進
- ステーブルコインの発行者及びその担保資産の完全性の確保
- ステーブルコインネットワークの技術的・運用的な回復力の強化
すでに多くの種類のステーブルコインが市場に出回っているのに加え、市場は革新を続けているため、ステーブルコインの技術を活用し、かつリスクを抑制するためには、画一的な規制は適切ではないと、a16zは主張している。
優れた規制は、犯罪者を抑止し、ダウンサイド・リスクを管理するだけではない。テクノロジーがどのように人々に利益をもたらすかについての、枠組みとビジョンを確立するものだ。
公平なアクセスの促進
a16zは、ステーブルコインの規制で、まず優先するべきは、全ての消費者に平等なアクセスを提供することだと述べている。そのためには、現在、金融包摂の障壁となっている既存の金融システムがもたらすコストや非効率性などを取り除くことが重要だという。
政策立案者が、ステーブルコインを基本的な金融システムの構成要素として受け入れることで、金融インフラを刷新し、効率性と競争力を高める新しいシステムを構築することに舵を切るよう提案している。
ステーブルコインの発行者・担保資産の完全性の確保
また、a16zは米国で各州が行ってきたステーブルコイン発行者の認可を、連邦政府が担う可能性を検討するよう提案した。
米通貨監督庁(OCC)は国法銀行によるステーブルコインの扱いについてガイダンスを発行するとともに、Paxos、Anchorage、Protegoの3社に対し、条件付きで国法銀行の設立を認可した。一つの道筋が示された一方で、全てのステーブルコインに有効な手段ではないとa16zは指摘。
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一部のステーブルコインは、スマートコントラクトのプロトコルによって管理され、アルゴリズムによって価格の安定を維持しているため、従来の銀行設立条件の枠組みに当てはめることはできないと指摘。このようなステーブルコインの多様性を考慮し、規制の選択肢を提示すべきだとした。
さらに、ブロックチェーンが監査可能であること、また規制遵守をスマートコントラクトにプログラム可能であるなど、革新的技術の利点を活用した新しいコンプライアンス対応により、不正行為の検出や規制強化などに関して、現状が大幅に改善できることにも言及した。
技術的・運用的な回復力の強化
a16zは、仮想通貨担保型・アルゴリズム型のステーブルコインに関しては、市場参加者からの協力を得ることで、検証とガバナンスに関する具体的なガイダンスを作成することを提案した。多くの場合、これらのプロジェクトは自律分散型組織(DAO)によって統治・運営されているため、市場参加者からの協力なくして効果的な規制の枠組みづくりは望めない。
また、ステーブルコインはCBDC(中央銀行デジタル通貨)の問題とも密接に関連してくるが、ステーブルコインとCBDCは共存可能だとa16zは指摘。CBDCの実現には、特にプライバシーとセキュリティの面で多くの課題があるが、米国の開発者が他国に遅れを取らず、米ドルがデジタル通貨の分野で基軸通貨であり続けることが重要であると主張した。
様々な米ドル建てのステーブルコインを育成することは、この目的をサポートすることになる。また、単一障害点を回避することで、金融インフラの回復力を高めることにつながるとa16zは強調した。
地政学的にもドル建てステーブルコインは重要
a16zは、米国が「金融イノベーションにおける地政学的軍拡競争」に勝つためには、すでに活発な民間のステーブルコインのエコシステムを活用することが重要だと訴えている。
過去の幾世代におけるNATOやワルシャワ条約機構への加盟と同様、一国のデジタルインフラの選択が、今後、その国の地政学的方向性を形成する上で重要な意味を持つことになるかもしれない。
a16zは、米国建のステーブルコインが、世界経済における米ドルの優位性及び金融システムにおける中心的地位を維持するのに役立つとの見解を示した。
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