米司法省、仮想通貨専門チームを設立 犯罪利用防止へ対策を強化 

仮想通貨の専門チームを設立

米司法省は6日、暗号資産(仮想通貨)の犯罪利用に対抗するため、「National Cryptocurrency Enforcement Team(NCET)」という組織を設立することを発表した。

特に仮想通貨取引所や、取引を追跡しにくくするミキシングサービスやタンブリングサービスを利用した犯罪や、マネーロンダリングに対する対応を強化し、詐欺や盗難で失われた資産を追跡して取り返す取り組みも支援。また、対策の対象には、ランサムウェア攻撃も含むとしている。

ランサムウェア攻撃とは

企業などのコンピュータを強制的にロックしたり、中にあるファイルを暗号化したりして、元の状態に戻すことと引き換えに身代金を要求する攻撃。この身代金に仮想通貨が利用されているケースが多いとされている。

▶️仮想通貨用語集

今回の発表の中で司法省は、仮想通貨が広範囲な犯罪で利用されていると指摘。上述した以外にも、未認可で仮想通貨を取り扱う事業を行う企業があったり、違法薬物や武器、ハッキングツールを入手するための決済手段として使用されていると説明した。

NCET(国家仮想通貨施行チーム)は、司法省で仮想通貨とブロックチェーンに関する専門技術の開発を促進する。また、これらの新しい技術について、各地域や州、米国や国際的な法執行機関もサポートしていくとした。

リサ・モナコ(Lisa Monaco)司法副長官は、今回の発表に際し、以下のようにコメントしている。

犯罪者が違法に利益を得ることを可能にする金融組織を解体するために、NCETを創設する。

技術の発展に合わせて、司法省も進歩していかなくてはならない。プラットフォームから犯罪者を追い出し、ユーザーが安心してシステムを利用できるようにしていく。

司法省は「NCETは、仮想通貨の専門的な知識や技術を有する民間の企業や人々とも協力していく」と説明した。

司法省の最近の動向

米国では今年、米最大規模の石油パイプラインを運営するコロニアル・パイプライン社を初め、ランサムウェア攻撃の被害が急増。この事態を受け、バイデン政権は仮想通貨取引の分析・調査を強化することを発表するなど、対策を行なっている。

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一方で司法省は6月、コロニアル・パイプライン社が身代金として支払ったビットコイン(BTC)の大半を取り戻したことを発表した。その後も仮想通貨の犯罪利用に対抗するための体制強化を継続。司法省刑事局は、仮想通貨などデジタル資産を専門とする弁護士を募集していることが分かった。

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この求人は、マネーロンダリング・資産回収課(MLARS)の特別金融捜査ユニットで、仮想通貨部門の法的専門家として働くポジション。MLARSは、資金洗浄などに関与した者の訴追や関連立法の支援などを行う部門だ。

今回発表された国家仮想通貨施行チーム(NCET)は、MLARSのデジタル通貨に関する取り組みの一部として創設されている。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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