バーレーン中央銀行、JPモルガンの「JPMコイン」実証実験に成功

中東地域初のJPMコイン実証実験

中東バーレーン王国の中央銀行であるCBBは5日、米大手投資銀行JPモルガンが開発したデジタル通貨「JPMコイン」を用いた実証実験に成功したと発表した。

中東地域初となるこの実験には、バーレーンの商業銀行「ABC銀行」と国営のアルミニウム精練会社「アルミニウム・バーレーン(ALBA)」が参加。JPモルガンのブロックチェーンネットワークを利用し、リアルタイムでALBAの米国の取引先とのクロスボーダー決済を完了した。

CBBは先進的なテクノロジーの導入によって金融サービス機能の開発・強化を推進するというビジョンを掲げている。CBBは昨年5月、ABC銀行とJPモルガンとの提携を発表。デジタル通貨決済に関する実験を行うとともに、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入にも意欲を見せていた。

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CBBのRasheed Al Maraj総裁は、この度の実験成功について以下のように語った。

我々はALBA、ABC銀行、JPモルガンのOnyxとの協力を通じて、従来のクロスボーダー決済に存在する非効率性や問題点に対処し、解消することを目指している

ABC銀行グループのSael Al Waary副最高経営責任者は、「未来の銀行を創る」というミッションの一環として、同行のAPIとJPモルガンのブロックチェーンネットワークを活用し、円滑なクロスボーダー決済を促進することができたと高く評価している。

そして、今回の実証実験は米ドルベースで行われたが、同じ技術を用いることで、将来的には既存のサービスを拡張し、より多くの通貨を導入することが可能になると述べ、デジタル通貨によって世界中が大きく変化する未来を想定していると付け加えた。

JPモルガンとJPMコイン

JPモルガンは2020年、次世代決済システムなど、ブロックチェーンを活用する新事業に特化した部門「Onyx」を立ち上げた。同時にその構想発表から1年を経て、米ドルのステーブルコインである「JPMコイン」の決済利用が開始された。

JPMコインはJPモルガンの許可型ブロックチェーン上で、同行に預金口座を持つ企業間の決済に使われている。

関連:JPモルガンの「JPMコイン」利用開始、仮想通貨カストディも視野に

JPモルガン・バーレーンのAli Moosa副会長は、Onyxが次世代の決済インフラの構築に取り組んでいることを強調。ALBAとABC銀行のクロスボーダー決済実験の成功が、同行のコルレス銀行パートナーが将来利用することになるJPMコインシステムの開発に寄与するだろうと述べている。

Onyxとは

Onyxとは、ブロックチェーンを活用して、価値や情報、デジタル資産をグローバルに移動させる方法を変革しようとしているJPモルガンのチーム。JPMコインを利用してデジタル資産を取引するネットワーク「Onyx Digital Assets」などを開発している。

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巨大なクロスボーダー決済市場

JPモルガンは昨年11月、クロスボーダー決済に関する報告書を発表。その中で、毎年約24兆ドル(2,770兆円相当)の企業間決済(ホールセール決済)が行われているが、グローバル企業が負担している取引コストの総額は1,200億ドル(13.8兆円)になると推測している。

そして、中央銀行と商業銀行が共同で「マルチCBDC(mCBDC)」ネットワークを開発した場合、企業の取引コストを年間最大1,000億ドル(11.5兆円)削減する可能性があると指摘した。

JPモルガンは、グローバルレベルでブロックチェーンを活用した決済インフラの構築に力を入れている。

昨年4月にはシンガポールの最大手銀行「DBS銀行」と同国政府系ファンド「Temasek」と共同で、ブロックチェーン企業「Partior」を設立すると発表。銀行を対象とした国際決済や取引、外国為替決済に焦点を置き、ブロックチェーン技術やスマートコントラクト機能を活用した決済ソリューション開発を行う計画を明らかにした。

当初はシンガポールを拠点とする銀行間のシンガポールドルと米ドル間の送金や決済に取り組むが、長期的には各国のCBDCへの対応なども視野に入れるとのことだ。

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