北朝鮮、2021年はサイバー攻撃でデジタル資産450億円不正取得か=チェイナリシスレポート

最低でも7回のサイバー攻撃を実施か

ブロックチェーン分析企業チェイナリシス社は13日、2021年に北朝鮮が行ったデジタル資産関連のサイバー攻撃についてのレポートを公開した。

同国が最低でも7回、暗号資産(仮想通貨)プラットフォームにサイバー攻撃を行ったと分析した。

攻撃は主に、投資会社や中央集権型取引所(CEX)に対して行われた。マルウェアやコードの脆弱性などを利用し、ホットウォレットから北朝鮮が管理するアドレスに資金を抜き出した可能性がある。同社によると、デジタル資産の被害総額は、4億ドル(約450億円)相当に達した。

北朝鮮によるサイバー攻撃は、同国が管理するハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」が主導しているとされる。2021年、北朝鮮に盗まれた仮想通貨は、58%がイーサリアム(ETH)だった。ERC-20トークンとアルトコインはそれぞれ22%で、ビットコイン(BTC)は全体の約20%にすぎなかった。

グラフからは、盗まれた通貨のうちビットコインの占める割合が、2021年に近づくにつれて減少していることが確認できる。

出典元:Chainalysis

ERC-20とは

「Ethereum Request for Comments(Token Standard #20)」の略。イーサリアムチェーン上でICOを実施する際に採用される統一規格のこと。

▶️仮想通貨用語集

DeFiとミキサーを活用して資金洗浄

北朝鮮は、盗んだ仮想通貨をDeFi(分散型金融)やミキサーなどを使用して資金洗浄している模様。ミキサーとは、仮想通貨の出所や持ち主の情報を難読化するウェブサイトあるいはソフトウェアを指す。ミキサーを使う理由は、盗んだ仮想通貨の出所を隠蔽し、法定通貨に交換するためと思われる。北朝鮮が2021年に盗んだ仮想通貨のうち、65%以上がミキサーを通して資金洗浄された。

DeFi(分散型金融)については、現金に交換できないERC-20トークンとアルトコインのスワップに使用しているようだ。これらをビットコインやイーサリアムに交換することで、より幅広いミキサーや取引所が使用できる。

多くのDeFiプラットフォームでは使用者のKYC(本人確認)を行っておらず、またユーザーの資金を預からない。資産が凍結したり身元が明らかになる恐れがないため、サイバー犯罪者(今回の場合は北朝鮮)に利用されてる傾向がある。

出典元:Chainalysis

ロンダリングに緻密な計画が存在か?

チェイナリシス社は、北朝鮮が未だにロンダリングしていない、合計1.7億ドル(約200億円)の仮想通貨の存在を特定したという。これらの未洗浄資産は、2017年~2021年の期間に、北朝鮮が実施した49回のサイバー攻撃で盗まれたものだ。

北朝鮮が保有する仮想通貨のうち、約3,500万ドル(約40億円)は2020年から2021年にかけて入手したもので、5,500万ドル(約60億円)以上は、2016年に実行された攻撃によるものだ。これらの情報は、北朝鮮関連のハッカーが、盗んだ仮想通貨を即座にロンダリングするとは限らないことを示唆している。

出典元: Chainalysis

ハッカーがロンダリングを早期に行わない理由は不明だが、法執行機関や他国の関心が薄れる時期を待っている可能性が考えられる。

いずれにしても、同国の仮想通貨を含むデジタル資産へのサイバー攻撃は、緻密な計画に基づいて実施されていると見られる。チェイナリシス社は2021年の仮想通貨産業にとって、北朝鮮は持続的に脅威をもたらしたと結論付けた。

関連:仮想通貨狙う北朝鮮のサイバー攻撃が急増=米マイクロソフトレポート

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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