米Apple社:iPhoneやiPadでの仮想通貨マイニングを全面禁止へ

アプリによるデバイス上での仮想通貨マイニングの禁止
米Apple社は、世界開発者会議の中で、仮想通貨関連アプリに言及した新しい「開発者ガイドライン」を公開。デバイス上で仮想通貨マイニングを行うアプリの提供を禁止しました。
過去の仮想通貨関連アプリの問題
以前にも、バックグラウンドで、仮想通貨MoneroをマイニングしていたCalendar2というアプリや、MyEtherWalletの偽アプリが問題になっていたことから、今回のガイドラインの修正は、消費者保護のための適切な変更であったと考えられています。
マイニングとは
仮想通貨の取引記録をブロックチェーンに追記する際、膨大な計算が必要となる。 世界中の有志からコンピューターリソースを募って「共有・追記」を行なっているが、この追記に成功した場合、マイナーに対して報酬が支払われる。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

アプリによるデバイス上での仮想通貨マイニングの禁止

アップル社は、6月4日〜6月8日にかけて開催された『世界開発者会議』の中で、仮想通貨関連について言及された「新しい開発者ガイドライン」を公開。

iOSおよび、Macの「App Store」で公開されている全てのアプリにおいて、デバイス上で行われる仮想通貨マイニングを全面禁止することを明らかにしました。

新しいガイドラインでは、以下のように記述され、仮想通貨マイニングがデバイスに与える悪影響について危惧。

急激にバッテリーを消耗したり、過度の熱を発生させるなど、デバイスリソースに不必要な負担をかけるアプリケーションの制限をかけることによって、故障などのリスク低減を目指します。

「2.4 ハードウェア互換性

2.4.2

電力を効率的に使用できるように、アプリを開発してください。そのアプリによって、急激なバッテリーの消費、過度の発熱、デバイスに不必要な負荷がかけられることは避けてください。

第三者の広告を表示しているアプリも含む全てのアプリにおいて、仮想通貨マイニングのような関連しないバックグラウンドでの処理は不適切であると見なされます。」

出典:Apple 開発者ガイドライン

さらに、新規ガイドラインでは、マイニングを含む、仮想通貨全般についても以下のように言及されており、仮想通貨関連アプリの種類によって、さまざまな制約が追加されました。

「3.1.5 (b) 仮想通貨:

(i) ウォレット:仮想通貨ストレージアプリに関しては、登録された組織に属する開発者によってのみ提供可能です。

(ii) マイニング: 仮想通貨マイニングが、(クラウドマイニングのように)デバイス外で実行されない限り、アプリによる仮想通貨マイニングを行うことはできません。

(iii) 取引所:アプリ内での仮想通貨取引や、送金は、認可された取引所に限り可能であり、アプリはその取引所によって提供される必要があります。

(iv)イニシャル コイン オファリング:イニシャル コイン オファリング(ICO)や、仮想通貨先物取引、仮想通貨関連証券、準証券取引関連のアプリは、既存の銀行、証券会社、先物取次業者(FCM)、または、認可された金融機関によって提供される必要があり、該当する法律を順守する必要があります。

(v)仮想通貨関連アプリにおいて、他アプリのダウンロードや、他者へのダウンロードの促進、SNSへの投稿などを含む、何らかのタスク完了における通貨の提供を禁止します。」

出典:Apple 開発者ガイドライン

過去の仮想通貨関連アプリの問題

過去にも、仮想通貨マイニングを行なっていたCalendar2や、MyEtherWalletの偽アプリなど、仮想通貨関連のアプリが問題になったことがありました。

2018年3月に、Mac版「App Store」にて公開されていた”Calendar 2”というカレンダーアプリは、プレミアム版を無償で提供する代わりに、バッグラウンドで仮想通貨Moneroのマイニングを行うプランを提供しましたが、記述の”ハードウェア互換性”のガイドラインに反しているとして消去されました。

さらに、イーサリアムおよび、イーサリアムトークン向けに開発された「MyEtherWallet」のアプリも、昨年12月にApp Storeでファイナンス部門:第3位を記録しましたが、MyEtherWalletの公式Twitterにて、このアプリが公式のものではなく、偽物であることが発表され、問題になっていました。

今回のガイドライン修正によって、仮想通貨関連アプリ制約の詳細が定められたことから、今後このような偽のアプリや、不正にマイニングを行うアプリが公開されることはなくなる、と考えられています。

マイニング業界に与える影響

また4月には、Google社が、Chromeウェブストアでの「cryptocurrencyマイニング」拡張を禁止すると発表しています。

ただし、マイニング業界では、米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)や老舗GPU(画像処理装置)メーカーの米Nvidiaによって、マイニング専用グラフィックカードなどがすでに提供されており、より効率的にマイニングを行える機器が揃っています。

よって、今回のガイドライン変更が、マイニング業界に与える影響はほとんどないと言っても過言ではなく、「消費者保護のための適切な変更」であると言えるでしょう。

日本での不正マイニング事件

毎日新聞が12日に報じたところによると、「他人のパソコンを無断で使用して、仮想通貨「Monero(モネロ)」を強制マイニングさせたとして、神奈川、千葉、栃木などの県警で作る合同捜査本部が、複数の人物を不正指令電磁的記録(ウイルス)供用などの容疑で捜査。1人を書類送検し、他に関与した人物を今月中旬までに立件する方針としています。

プログラムは「Coinhive(コインハイブ)」と呼ばれ、マイニングで得られる報酬の30%を開発者側、70%をプログラムをHPに設置した人が得る仕組みとされています。

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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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