ポリゴン、ゼロ知識証明利用の分散型ID認証サービスを公表
分散型IDにゼロ知識証明を活用
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のスケーリングソリューションを提供するポリゴン(MATIC)は29日、ゼロ知識証明を活用したユーザー識別サービス「Polygon ID」を発表した。Polygon IDにより、ユーザーの匿名性を確保しながら、顧客確認(KYC)を要求するdApps(分散型アプリケーション)へのアクセスが可能になる。
GameFiやDeFiなどブロックチェーン・アプリケーションの利用が拡大する中で、国際的な制裁対象者や未成年者の利用を制限するなどのコンプライアンスが運営側に求められている。そこで注目されているのが、ブロックチェーンを使ってユーザーのデジタル・アイデンティティを作成・保管し、「検証可能な証明(VC)」をアプリケーションへ提示する分散型ID(DID)の分野だ。
開発段階にあるPolygon IDは、分散型な形で個人の認証サービスを構築するためのプラットフォーム。ゼロ知識証明を使用するため、検証者とVCを共有するのではなく、計算による証明に基づいてユーザーを識別できる。オンチェーンでの認証が可能となり、中央集権的な仲介者に依存する必要性も排除する。
Polygonの共同設立者であるMihailo Bjelic氏によると、デフォルトでプライバシーが保護され、オンチェーン認証とパーミッションレス認証に対応するプロダクトはデジタルID領域でまだ存在しないという。
ゼロ知識証明とは
ゼロ知識証明とは、証明(Proof)プロトコルの一種であり、証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズム。
▶️仮想通貨用語集
Polygon IDのユースケース
Polygon IDは、Polygonが提供する仮想通貨ウォレットと連携する形で利用可能になる。エンドユーザーにとっては、自分のDIDにレピュテーションを構築することも可能。例えば、DeFiにおけるクレジットスコア、DAO(自律分散型組織)におけるシビルスコア/専門性に基づいた投票力の評価、Web3ゲームのプレイヤープロファイル、分散型SNSのプライベートコミュニケーション等の利用が想定されている。
Polygon IDは分散型IDプロトコル「Iden3」を利用しており、ウォレットアプリ、プラットフォーム、統合APIが構築されている。22年第3四半期までに開発者向けにこれらのアプリケーションとソフトウェア開発キット(SDK)がリリースされ、開発者が独自にユースケースを実装できるようになる。
Polygonは昨年、HermezとMirという2つのゼロ知識証明(ZK)プロジェクトを買収。また、ZKロールアップの技術開発と採用に注力し1,150億円規模の投資を約束した経緯がある。今回発表されたPolygon IDは、彼らのZK関連ポートフォリオの最新プロダクトだ。
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