WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

DID(分散型ID)とは 将来的なユースケースを解説|XSL Labs寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

DIDとは

XSL Labsは、分散型ID(Decentralized Identity)であるSDIを開発する。ここでは、DIDのような新たなツールの性質や技術的な特性、将来的なユースケースについて読者の理解を深めるため、一連の記事でそれぞれ異なる側面から議論を行っていく。Web3.0において、もっとも革新的である一方で、まだあまり知られていないこのツールに光を当てていきたい。

まず最初に、DIDはまだ初期の段階にあり、この記事において紹介された機能は、出来るだけ一般的なものであることを意図している。そのため、紹介されたものの異種となる技術や、全く異なる技術を使用しているDIDもあるかもしれない。

この記事の目的は、読者が分散型IDの基本的な原則を理解することであり、様々な種類のDIDにおける差異にはこだわらない。また、この記事は技術的な詳細をまとめたものを意図しているわけではなく、一般的な情報を伝える記事であり、多くの人々への読みやすさを目的としている。

私たちは、XSL Labsのプロジェクトをサポートする全ての人々に、我々が構築しようとしている安全なデジタルID、DIDの機能について、分かりやすく説明するためにこの記事を制作した。

記事では、分散型IDの概念に慣れ親しんでもらい、IDソリューションがもたらすものや「インターネットの明日」において分散型IDがもたらすユースケースについて紹介していきたい。

ブロックチェーン、非中央集権化とデータセキュリティ

W3Cによると、分散型識別子、あるいはDIDとは、「分散型台帳技術(DLT)やその他分散型ネットワークによって登録されることで、中央集権型の登録機関を必要としないグローバルに固有な識別子」とされる。

既存のID管理システムは、彼らのサービスの全ユーザーのIDデータを、大きなデジタル保管庫と表現できる「巨大な中央集権型のデータベース」で保管しており、中央集権型の組織に依存している。また、それらの保管庫を守る様々なセキュリティシステムにもかかわらず、どれ一つとして強靭なハッカーの攻撃には耐えられない。

銀行の保管庫のように何千もの預金者からなる預金を一つの場所に置けば、もし攻撃者が保管庫を守るシステムを打ち破る方法を見つけた場合、彼らは一つの場所で管理しているため、全ての預金へアクセスができる。同様に、中央集権型のデータベースを攻撃するインターネットのハッカーは、一回の試みで多くのユーザーのあらゆるデータを取得するチャンスがある。

DIDの中核技術であるブロックチェーンは、識別可能なエンティティのID情報を分散化することによって、我々をこの中央集権型のID管理から解放する。このシステムでは、エンティティは分散型識別子(DID)によって識別され、様々な証明(デジタル署名、KYCのようなプライバシー保護の生体認証プロトコルなど)によって認証される。また、データは様々な種類の分散型サーバーによって保管される。

さらに、ハッカーは分散型ネットワークで暗号化されたデータと特定のユーザーを結び付けることは決してできない。このデータを復号できるエンティティは、データを復号化するのに必要なキーをただ一人持っているDIDの本人だ。

このため、個人のIDデータを手に入れて、それを売るか、あるいは違法な使い方をしようとしているハッカーは、ユーザー個人のデバイスに侵入することでしかできなくなる。このプロセスでは、タスクの複雑さと実行時間に対して、得られる利益が少なすぎる結果に終わるだろう。それはまた、全ての顧客の預金が保管された単一の銀行の金庫のセキュリティシステムを突破した場合と同じ利益を得るために、泥棒がそれぞれの家に侵入し個人の金庫を探し、それらを一つ一つ開けていかなければならないようなものだ。

また、分散化は、情報が不変に保たれることを可能にする。もし、ハッカーが集権型のサーバーで情報を手に入れられたら、保存されているサーバーで自由にデータを修正することも可能だ。これは、ブロックチェーンのおかげで不可能となっている。情報は違うブロックでも手に入るため、もしそれらの中の一つが手を加えられたとしても、他すべてが不正な情報を取り入れることに異を唱え、真の情報を復元することができる。

次のセクションでは、DIDのベースとなる技術について議論する。特に、証明可能な証明や公開鍵暗号の概念を取扱う。

DIDテクノロジーとは

DIDは、URI(Uniform Resource Identifier)の特別な種類であり、特有の識別子を構成する文字列がそれぞれのユーザーに割り当てられる。SYLメソッドを用いたDIDの例は“did:syl:6fb56ca533abb42”といった形になる。

この識別子は証明の発行者によって作られたその人物に関する全ての認証が結びつけられ、ユーザーのウォレットIDやIPFSの分散されたサーバーで保存される。

検証可能な証明と公開鍵暗号

これらの文書は検証可能な証明(Verifiable Credentials)と呼ばれ、全てのエンティティがDIDの本人に関する認証の検証を求めることができる。つまり、DIDの保有者はそれらが正確であることを検証できる。DID本人に関する認証は、信任を得た信頼されたサードパーティーによって作成されるかもしれない。

これは、情報の信用の連鎖とみなすことができる。この鎖を基に、国家機関、学校、病院、企業といった信頼される情報発行者のリストを作成することも可能だ。

作成される当初のDIDは、それら(リスト内)のものになり、その後、それらの機関は他のDIDユーザーへの彼ら自身の情報が含まれた検証可能な証明を発行することが出来るようになる。さらにその後、検証可能な証明を受け取ったDIDユーザーは、信頼できる情報として自身の持つ情報を提出できるようになり、検証され、他のDIDユーザーが検証可能になる。

発行体の一つによって発行される証明は、公開鍵、秘密鍵のシステムに関わる信頼されたサードパーティーによる暗号証明を添えることによって検証可能になる。これらの鍵は一方向暗号関数を通した情報の暗号化を可能にする。

このような関数によって、二つある鍵のもう片方を知らないと複合することが出来ない、数学的関数の二つの鍵の一つを使って情報を暗号化することが容易だ。

DIDのケースでは、DIDを持つそれぞれのエンティティは、公開鍵という、DIDドキュメントと呼ばれるスマートコントラクトで求められる鍵と、秘密鍵と呼ばれる、DID本人だけが保有しておく鍵を持つ。

暗号ハッシュ関数

証明に署名するには、本人であることを確かめるための、二つのプロセスがある。それが公開鍵暗号の使用と、暗号ハッシュ関数だ。

ハッシュ関数は一方向の関数で、データのセットを表すバイト(ハッシュ)の並びを得るために使用される。どの最初のデータセットでもハッシュは常に同じだ。デジタル署名においては、私たちは特に暗号ハッシュ関数に関心をもっている。これらは、他のセットと同じハッシュを与えるデータセットを作成する可能性が著しく低い。よって、この関数を文書の整合性を確認するために使用する。

暗号ハッシュ関数と非対称性公開鍵暗号の組み合わせによって、署名の5つの特性(本物、偽造耐性、再利用付加、改変不可、回復不可)を確保することが出来る。

暗号署名の例

例えば、エンティティAは、DIDユーザーBに発行された証明の発行者であり著者であることを、暗号署名を添えることで保証したいと考えている。

エンティティAはハッシュ関数を用いて証明を含むドキュメントのハッシュを生成し、秘密鍵を使ってこのハッシュを暗号化する。エンティティAは、ドキュメントの終わりに添えられたドキュメントの署名を得て、ユーザーBにドキュメントを送る。

ドキュメントを検証するには、BはAの公開鍵を使って署名を復号しなければならない。もしこれが上手くいかなかったら、ドキュメントはAから送られたものではない。

上手くいけば、BはAの署名がある受け取った文書のハッシュを生成しなければならず、それはAが使用したハッシュ関数を用いる。生成されたハッシュと署名からのハッシュを比較する。

もしこの二つのハッシュが同一だったら、署名は検証されたことになり、Aが送った文書は署名されて以降改変されていないことが確かめられる。

そして、この暗号署名は、紙と同等の、本物であることの証明における法的な価値を持つ。

DIDテクノロジーに関するこの新しい知識が得られたところで、次の記事では、DIDを使用してユーザーのデータの分散を回避する方法と、なぜDIDが巨大インターネット企業に対する強力な対抗手段となるかについて説明する。

XSL LabsのSDIの詳細については、Webサイトwww.xsl-labs.org を参照できる。XSL Labsによって開発されたエコシステム、およびプロジェクトのホワイトペーパーを紹介するビデオと説明が記載されている。

関連:ゲーム業界と非中央集権型デジタルID(DID)の相性とは|XSL Labs寄稿

Google Newsでフォロー
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07:05
ベッセント米財務長官、クラリティー法案審議の継続を上院に要請
ベッセント米財務長官が10日、クラリティー法案の審議継続を上院に再び要請した。9月15日の採決は審議入りの可否を問う手続き投票で、可決が法案成立を意味するものではない。
06:35
メタマスクが分社、コンセンシスは独立へ
コンセンシス・ソフトウェアが社名をメタマスクに変更し、プロトコル部門を新会社コンセンシスとして分離すると発表した。分社化は2026年末までに完了する見通しで、消費者向けと機関投資家向け双方の事業拡大に注力する狙いがある。
06:10
カナリー・キャピタル、トロン現物ステーキングETFを米国で初上場
米カナリー・キャピタルは9日、仮想通貨トロンの現物価格とステーキング報酬に連動する新ETF「TRXS」を米国で上場したと発表した。
05:50
イタリア中央銀行、決済・仮想通貨事業者に制裁順守強化を要請
イタリア中央銀行は決済・仮想通貨事業者向けに制裁順守の通達を公表した。仮想通貨事業者にはコンプライアンス体制の点検が求められる。
05:00
ドイツ財務省、仮想通貨売却益に一律25%課税を提案
ドイツの財務省が仮想通貨の税制改革案をまとめた。保有期間にかかわらず売却益を課税対象とし、2027年施行、28年から自動源泉徴収を始める方針で、長期保有者の税負担が変化する見通しだ。
09/09 水曜日
19:20
DeFiデベロップメント、優先株発行で17億円調達 大部分はソラナ取得へ
デファイ・デベロップメントが優先株CHADの発行を完了し、約1,100万ドルを調達。資金の大部分をソラナ取得に充て、1株当たりSOL保有量の増加を目指す予定だとしている。
17:40
オンチェーン金融サミット10月開催 登壇者第1弾に三井住友FGら12名
Pacific Metaは10月5日、ブロックチェーンと金融をテーマにしたカンファレンス「Blockchain Summit 2026 Autumn」を東京・大手町で開く。登壇者第1弾は三井住友FGやa16z cryptoの担当者ら12名。
17:00
ストラテジー、ビットコイン柄ジョーダン即完売 決済は仮想通貨非対応
ストラテジーが250ドルのBTC柄ナイキ製ジョーダンを自社ストアで発売し即完売した。決済はカード・Apple Payのみでビットコイン非対応のため、海外の仮想通貨コミュニティから皮肉交じりの批判が相次いでいる。
14:00
オンチェーン決済、勝ち筋は「カード」と「AIエージェント」=Dune分析
即時決済網の普及で「速い・安い」はもはや差別化にならない中、オンチェーン決済の強みは銀行口座不要のカード決済とAIエージェントによる超少額決済にあるとDuneは分析している。
13:33
GMOコイン、3銘柄取扱廃止 10月24日で終了
GMOコインが9月9日、ザ・サンドボックス(SAND)、チリーズ(CHZ)、ファイルコイン(FIL)の取扱廃止を発表した。10月24日に取引・預入を終了し、11月中旬に未出庫分を強制売却する。
13:25
米シティ、日本でトークン化預金導入へ 外資初
米金融大手シティグループが年内にも、トークン化預金による海外送金サービスを日本企業向けに始める。外資による参入は初めてで、夜間や休日でも外貨を瞬時に送金できるようになる。
12:30
ビザ、オンチェーン融資のインフラ活用
ビザは、ブロックチェーン上の融資と日常的な支払いを結びつける新たな取り組みを発表。ステーブルコインと連携するカードを提供するフィンテック企業が運転資金を借りやすくする。
12:00
米NY州都市、仮想通貨採掘・AIデータセンター新設承認の一時停止措置検討
米ニューヨーク州プラッツバーグ市が、電力需要300kW以上のAIデータセンターや仮想通貨マイニング施設を対象に、新規承認を12カ月停止する条例案を検討している。
10:40
ビットコイン、7.9万ドル圏で横ばい 強弱材料で拮抗=グラスノード
グラスノードの週次レポートによると、ビットコインは7.9万ドル圏で横ばい推移。現物モメンタムは急減速する一方、先物・オプション建玉は拡大し、オプション市場ではコール需要優勢で上値を意識したポジショニングが鮮明になった。
10:05
ジャック・ドーシー率いるブロック、米信託銀行設立を申請
米フィンテック大手ブロックが、ビットコインやステーブルコインのカストディ業務を担う信託銀行「ビルダーズバンク」設立をOCCに申請した。認可されれば、ビットコイン・ステーブルコイン関連業務に連邦レベルの監督枠組みが加わることになる。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧