フィリピン決済大手「PayMaya」、デジタルウォレットに仮想通貨サービス機能を統合

オールインワンの決済サービスを提供

フィリピンのデジタル金融サービス企業「PayMaya」は6日、デジタルウォレットに暗号資産(仮想通貨)の売買及び決済機能を統合したと発表した。

PayMayaユーザーは、新たな口座を開設せずとも、「オールインワン」のアプリを使用し、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨が購入可能になった。

ユーザーは保有するPayMayaアカウントを、身元確認プロセス(オンライン)を完了しアップグレードすることで、フィリピンペソで直接、仮想通貨の取引が開始できる。なお、仮想通貨の売買に伴う現金の出入金手数料は無料。現在、利用可能なのは以下の通貨だが、他の通貨にも順次、対応していく予定だという。
  • Cardano(ADA)
  • Chainlink(LINK)
  • Uniswap(UNI)
  • Solana(SOL)
  • Quant(QNT)
  • Polkadot(DOT)
  • Polygon(MATIC)
  • Tether(USDT)

また、PayMayaはユーザーに仮想通貨について、アプリで学ぶ機会も提供する。

PayMayaの提供するサービス

PayMayaはフィリピンの中央銀行Bangko Sentral Pilipinas(BSP)からライセンスを承認された電子マネー発行事業者であり、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)。フィリピン全土で、4,400万人のユーザーにエンドツーエンドのデジタル決済サービスを提供する同国最大のデジタル決済業者だ。

そのサービス内容は多岐に渡り、政府機関を含む請求書の支払いから実店舗及びオンラインでの商品購入、銀行振り込み、ユーザー間の支払いや送金、全国の11万以上のキャッシュイン・タッチポイントから現金の払込や引き出しが可能になっている。

このようなPayMayaの決済エコシステムに、仮想通貨が利用できるようになる意義は大きいと見られる。同社のShailesh Baidwan社長は、仮想通貨機能の導入にあたり、次のように述べた。

仮想通貨の人気の高まりは、特にデジタルファーストの若いユーザーの間で顕著だ。PayMayaの電子ウォレットは、すでにこの世代の日常生活の一部となり、毎日の購入と取引に使われている。そしてユーザーは今、スマートかつシームレスに仮想通貨を購入し、収益を得ることを望んでいる。それが、電子ウォレットアプリに仮想通貨機能を統合した理由だ。

仮想通貨の利用が広がるフィリピン

フィリピンでは、仮想通貨利用が急激に拡大しているようだ。

BSP(中央銀行)によると、2021年上半期の取引は前年同期比で362%増加し、2,000万件に達した。年間ベースの取引金額は71%増の約2,550億円(1,060億ペソ)に相当する。

フィリピン政府は2017年に仮想通貨を決済手段として認めるなど、仮想通貨の規制整備に積極的な国でもある。昨年1月には、BSPが、仮想通貨サービス事業者の登録制を施行。いち早く金融活動作業部会(FATF)が推奨する『トラベル・ルール』への対応を図った。

BSPのBenjamin Diokno総裁は規制拡大措置は、仮想通貨セクターの急速な成長を考慮し、法的抜け穴を塞ぐと同時に、イノベーションと規制のバランスを維持するためであると説明した。

トラベルルール

トラベル・ルールとは、マネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールで、VASPには取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。

▶️仮想通貨用語集

関連:フィリピン中央銀行、マネロン規制で仮想通貨ライセンスの適用範囲拡大へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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