ポルカドット上のDeFiプロジェクト「Acala」、テラ基盤の「Anchor」を統合

AcalaとAnchorの提携

暗号資産(仮想通貨)ポルカドット(DOT)のネットワークを活用するDeFi(分散型金融)プロジェクト「Acala」は14日、TerraUSD(UST)の預金に安定利回りを提供する「Anchor Protocol」との統合計画を発表した。

AcalaとAnchorの提携により、主に2つの施策が計画されている。

  1. ポルカドット(DOT)やクサマ(KSM)のステーキング証明トークン(LDOTとLKSM)に対して、USTの借入が可能になる。
  2. Acalaネットワーク上で「UST/aUSD」の流動性プールを立ち上げ、UST保有者がポルカドットのエコシステムへ参入しやすくする。
  3. これにより、テラとポルカドットのユーザーが相互に往来できるようになり、より多くのDeFi(分散型金融)やGameFi(ゲーム+金融)等のアプリケーションを利用できるようになる。

    統合プロセスは、Acalaによるマルチチェーンブリッジ「Wormhole」の統合を待ち、ポルカドットの実験的ネットワーク「Kusama」から開始される。ロードマップは以下の通り。

    1. Anchorの担保としてLKSM提案・投票
    2. AcalaでのWormholeのローンチ
    3. Anchorの担保としてLDOT提案・投票
    4. Acala上のTapio Protocolで「aUSD/UST」プールの設置
    5. 関連:ポルカドット上のDeFiプロジェクト「Acala」、300億円のファンドをローンチ

      Anchor Protocolの高金利

      Anchorは、ステーブルコインUSTの預金に対して安定的かつ比較的高利回りを提供するプロトコル。DeFiLlamaによると、Anchorの預け入れ総額を示す「Total Value Locked(TVL)」は約2兆円(150億ドル)相当、DeFi(分散型金融)全体で第3位(執筆時点)。Anchorの利回りは19.45%と従来のステーブルコインの運用や伝統金融と比較して非常に高く、USTの需要を支えている。

      Anchorの高い利回りは、借入担保に紐づくPoSブロックチェーンのステークキング報酬に支えられている。原資産をステーキングした証明となるトークン(bAssets)を使用する設計で、現在のところAnchorは担保資産にbLUNA、bATOM、bETH、sAVAXの4つを受け入れている。

      Anchorの高利回りは魅力的だが、持続可能性には疑問の声も上がっている。今年1月には、Anchorの利回り準備金が急激に減少したためコミュニティで不安が広がり、AnchorとUSTの開発を主導するTerraformLabsのDoKwon共同創設者は2月に約500億円(4億5000万ドル)のUSTを補填した。

      関連:「サトシ・ナカモトを除き、過去最大のビットコイン保有者を目指す」仮想通貨テラの共同創設者が明かす

      USTへの影響

      仮にUSTの目標金利が引き下げられることになれば、USTの需要減退につながるだろう。そうなればUSTの1ドル価値へのペグ(固定)も崩れかねない。コミュニティにはそうした懸念がある。

      CoinGeckoのデータによると、USTはステーブルコイン銘柄としては時価総額4位を誇る(執筆時点)。USTは価格を一定に保つためにアルゴリズムを活用しており、ガバナンストークンのLUNAとUSTをそれぞれ発行・バーン(焼却)することで供給量を調節し、価格を維持する仕組み。

      22年2月には、USTの価格安定性を強化するためにLUNAと相関性が低いビットコイン(BTC)がUSTの準備金に導入された。Do Kwon氏は短期で約3,600億円分のBTCを確保する意向を示しており、テラ(LUNA)の非営利組織である「Luna Foundation Guard(LFG)」は執筆時点に42,000BTC(2,180億円相当)を保有している。

      関連:テラ関連のLFG、125億円のビットコインを買い増し

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