ビットコインと米株市場の30日相関、コロナショック時上回り過去最高の0.9に
仮想通貨市況
19日の米ニューヨーク株式市場は続落。ダウ平均株価は前日比236.94ドル(0.75%)安となり、年初来安値を更新した。
一方東京株式市場では、ダウ先物の上昇もあり前日比309.52円(1.17%)高と反発。
ビットコイン価格は前日比3.82%高の388万円(30,250ドル)と上昇し、3万ドル台を回復した。
ここ数週間は、インフレの高止まりとFRB(米連邦準備制度)の金引き締め加速懸念が株価、及び暗号資産(仮想通貨)を押し下げてきたが、短期的には売られすぎ水準にあることから、押し目買いと戻り売りで思惑が交錯している。
先週12日のテラショックに関連する暴落局面にて、デリバティブ市場のロングポジションが一掃されており、Funding Rate(資金調達率)やOI(未決済建玉)推移などから、下げの燃料は一旦消化したとの見方もできる。当面は米株指数との睨み合いが続きそうだ。
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IntoTheBlockのデータによれば、米株式市場との相関係数(30日間)が一時「0.9」に達した。相関係数は、類似性の度合いを示す統計学的指標。1.0は完全相関、マイナスの値は逆相関を示すものだ。
0~0.2未満は、ほぼ無相関。0.7~0.9未満は強い正の相関があると定義される中、0.9以上は暗号資産(仮想通貨)の歴史上でも類を見ない高水準であり、資産価値の完全連動に近い。今年2月16日時点のダウ相関は0.54だった。
CoinMetricsの相関係数データでも、20年3月に発生したコロナ・ショック時の相関係数0.78をも上回る0.84に達している。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨は、ここ数年間で広く普及し新しい資産クラスとしてのポジションを確立した一方、米大手企業や機関投資家の保有割合の増加により、伝統金融相場との連動性を高めていた。
発行上限があることでインフレ局面で相対的価値を保ちやすいデジタル・ゴールドとの見方がある一方、ボラティリティ(価格変動性)の大きな特性上、リスクオフ局面では真っ先に利確や損切りで現金化対象となりやすく、ゴールドのような代替資産性に欠如するジレンマがある。
インジケーターは過去最低水準に
海外のアナリストRekt Capital氏によれば、ビットコインの相対力指数(RSI)が過去最低水準まで低下したことを指摘した。
これは、Mt.Goxの大規模流出事件を経た後の15年1月、ビットコインキャッシュ(BCH)のハッシュ戦争で暴落した18年12月、コロナ・ショックで金融相場全体が暴落した20年3月に匹敵するレベルにあり、過去の事例を振り返るといずれも相場の底値付近だったという。
Three ArrowsCapitalの共同創設者であるZhuSu氏は、「ビットコインが”買い集めフェーズ”に入っており、反転シグナルが出ている」との見解を示した。
7週連続の週足陰線は過去前例のないレベルあること、26,000ドルまでの急落局面で記録的な出来高となりデリバティブ市場で大量清算が発生したこと、相関を強めていた株式市場に対して相対的な強さを見せ始めたことなどを理由に挙げた。
ステーブルコイン情勢
ステーブルコインで最大のシェアを持つテザー(USDT)が、準備金の比率を改善することがわかった。無担保約束手形であるコマーシャルペーパー量を大幅に減らし、米国財務省証券の量を増やした。
アルゴリズム型ステーブルコインUSTのディペッグを発端にテラ(LUNA)ショックが発生したことを受け、狼狽売りとFUD(Fear, Uncertainty and Doubt)が発生。一時ペッグを外れたテザー(USDT)から、より信頼性の高いステーブルコインであるUSD Coin(USDC)に資金移動するような動きが目立ち始めていた。
裏付け資産の担保となる資産価値の評価を高めることで、安全性と信頼性、透明性強化を図る狙いがあるものとみられる。
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