ビットコイン暴落から一夜明け3万ドル台を回復、UST・LUNA騒動の影響は多方面に波及

仮想通貨市況

昨年最安値を1年半ぶりに割り込むなど、記録的な暴落から一夜明けた13日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコインは前日比+4.87%の394万円(30,437ドル)と反発した。

BTC/USD日足

NYダウ先物の反発もあり、東京株式市場では日経平均株価が前日比673.12円(2.61%)高と大幅反発。暗号資産(仮想通貨)市場も売られ過ぎ水準にあったことで、幅広い銘柄でショートカバーを誘発した。

デリバティブ(金融派生商品)のデータでは、買いシグナルも確認される。前日までに大幅続落しながらもロングポジションの大規模ロスカットは段階的な減少傾向にあり、需給整理が進んでいる様子が伺える。

ロスカット数の推移(bybt)

ボラティリティ(価格変動性)急上昇要因となるOI(未決済建玉)が激減したほか、Funding Rate(資金調達率)もマイナス圏に転じ始めたことで以前よりロングの優位性は上昇している。

OI推移(bybt)

Funding Rate(bybt)

ビットコイン(BTC)が一時的な反発に留まるかどうかは、日足・週足レベルで主要なレジスタンスライン(上値抵抗線)にあたる28,000〜30,000ドルの節目上を回帰できるかどうかにかかっていると言えそうだ。

FRB(米連邦準備制度)は、重点を置くインフレ抑制のため「金融引き締め」加速に舵を切り始めたが、先日のCPI(米消費者物価指数)は引き続き市場予想を上回る高水準にある。経済指標動向が好転しない限り”トレンド転換”は容易ではなく、この先も予断を許さない状況が続く可能性には十分留意したい。

関連:ビットコイン下落止まらず昨年最安値割り込む、USTの影響でLUNA下落率は前週比-99%に

UST騒動の影響は

テラ(LUNA)価格はBUSD建で0.000019ドルまで下落、最大手取引所のバイナンスは上場廃止を決めた。Terraバリデーターは、ブロック高:7,603,700でチェーンを停止している。

LUNAの希釈化は前例のない規模で、5月13日だけで2250億LUNAが発行されたとの観測も。Terraform Labsが発行するアルゴリズム(無担保)型ステーブルコインのTerraUSD(UST)と、USTをLUNAに交換可能な償還メカニズムと関係がある。

UST価格が1ドルを超えると、LUNAをバーン(焼却)することで1USTを入手できるが、UST価格が下落した場合は、1USTを1ドル相当のルナと交換できるカウンターウェイトが設計されており、UST燃焼量に応じてより多くのルナが鋳造されるためだ。

LUNAの供給において、TerraUSD(UST)が米ドルと1:1の価値を保つペッグ(連動)機能を完全喪失したことで、デス・スパイラルが加速。

米株市場を中心に金融市場全体のリスクオフでセンチメントが悪化する中、テラ(LUNA)の非営利組織である「Luna Foundation Guard(LFG)」が用意していた準備金のビットコインによる売り圧力が懸念されたほか、DeFi(分散型金融)市場で大規模な信用不安を引き起こしたことなどが背景にある。

この件について、あたらしい経済とCoinPostの共同チャンネルCONNECTVにて、HashHub平野CEOが解説した。

なお、Be [In] Cryptoの調査によると、Terraは2022年以降DeFiプロトコルに預け入れられた「Total Value Locked(TVL)」の内78%を失った。184億ドル→40億ドルまで減少したという。

出典:DeFiLlama(Terra TVL)

分散型レンディングプラットフォームであるアンカープロトコルのTVLが前月比80%減となったほか、オートDEXプロトコルのAstroportとTerraSwapも80〜90%流出超過となった。

今回のステーブルコインUST騒動は各方面に多大な影響を及ぼしており、スイスを拠点とする資産運用会社21Sharesにも影響が及んだ。

21Sharesは「Crypto Basket10ETP」といった暗号資産(仮想通貨)10銘柄のバスケット型インデックス商品などを提供しており、今年1月には、スイス証券取引所で世界初の「Terra ETP(上場取引型金融商品)」をローンチしていた。

ETPとは、上場投資信託(ETF)や上場投資証券(ETN)、コモディティ上場投資信託(ETC)など、証券取引所に上場して特定指標の値動き連動で運用成果を目指す金融商品の総称。Terra ETPは、原資産のパフォーマンスに1:1でエクスポージャーを提供するように設計されており、上場廃止につながる可能性があるという。

そのほか、オンチェーンデータ分析などから莫大な資金力を背景にした相場操縦行為が疑われたことで、FUD(Fear, Uncertainty and Doubt)が蔓延するなど情報が錯綜している。

「USTとLUNAに一体何が起こったのか」という点については、Route 2 FI (@Route2FI)氏が現状有力視される分析の要点をまとめ、Go Kobayashi(@GOU_0013)氏がこれを極めて分かりやすく翻訳している。

また、カルダノの創設者であるCharles Hoskinson氏が真偽不明の告発文のスクリーンショットをTwitterに投稿(現在は削除)したことなどを受け、大手資産運用会社BlackRock、多国籍ヘッジファンドのCitadel、暗号資産取引所のGeminiにも疑惑の目が向けられ、各社ともに否定声明を出すことを余儀なくされた。

関連:ブラックロックとシタデル、ステーブルコインUSTの取引を否定

ステーブルコインに関する法案検討を進める米規制当局もUST騒動は認知しており、今後しばらく尾を引くおそれがある。

関連:米イエレン財務長官「ステーブルコインは金融システムにリスクをもたらす規模にはない」

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